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3部
176話 新たな子宝
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二人が定期的にリナルドとの時間を作るようにしてから、義息子が寂しがる様子は無くなった。
兄としての自覚も出て来たか、アマトの面倒も積極的に見るようになった。子供達が遊ぶ姿を、ハローとナルガは優しく見守っていた。
そんな中で、もう一方の夫婦にも、待望の時期が訪れようとしていた。
「ミネバももうじきか」
「はいっ。もう楽しみで楽しみで、夜も眠れません」
ミネバはナルガと話しながら、嬉しそうに腹をさすった。
彼女も臨月に入っており、出産まで秒読みだ。大きく膨れた腹を見やり、ナルガは首を傾げた。
「しかし、私の時より大きい気がするが」
「そうなんですよね、胎動もちょっと激しくて、凄く元気なんです」
「息災なのは重畳な事だ。出産の時は私も手を貸そう」
「心強いです。早く会いたいなぁ」
その願いは、一週間後に訪れた。
翌週の昼頃、ミネバの陣痛が始まった。エドウィンはこれまでになく緊張し、マンチェスター夫妻の協力の下、己の子を取り上げた。
「っし……産まれた、産まれたぞ……!」
元気な男の子だ。我が子を手に取り、産声にエドウィンは涙した。でも、何か違和感がある。ミネバの陣痛が、終わっていないのだ。
「まさか……! ミネバ! もうひと頑張りしてくれ!」
「どうしたんだよエド!?」
「もう一人居る……双子だ、双子だったんだ!」
予想外の二人目に、ハローとナルガは慌てて準備した。
程なくして二人目の男の子も産声を上げ、可愛らしい赤子が寝台に並んだ。ワイズナー夫妻は一人ずつ抱きかかえ、新たな家族を迎え入れた。
「双子だったなんて、言葉が出てきません……神よ、感謝します……!」
「…………」
エドウィンは何も言わなかった。ハローは胸中を察し、エドウィンの肩を叩いた。
「二人とも疲れただろ、一息入れようか」
「ふん、お前にしちゃ、気が利いてるな」
エドウィンは涙声になっていた。男二人で外に出ると、エドウィンはしゃがんで顔に手を当てた。
「おめでとう、これでエドもお父さんだな」
「何がおめでとうだ、子育てした事ないのに、いきなり二人も面倒見なきゃなんないんだぞ。ったく、ただでさえ面倒ごとは嫌いだってのに、双子だなんてさ……マジで神様、何考えてんだか……」
いつもの皮肉にキレがない。ハローは親友の隣に座り、彼の心に寄り添った。
彼の嫌味は、本心を隠すためのカーテンだ。本当は物凄く嬉しくて、感動しているのに。エドウィンは他人に弱味を見せるのが嫌いだからだ。
そんな彼が唯一、弱味を見せられる人物が、ハローだ。
「どうだエド、今、どんな気持ちだ」
「……人生で一番に決まってるだろ、バカヤロー……」
「そっか。よかったな」
「ああ……本当に、よかったよ……」
エドウィンが落ち着くまで、ハローは傍に居てあげた。
子供の頃、孤独を紛らすために、肩を並べていた少年達は。
今は互いに父親として、肩を並べていた。
兄としての自覚も出て来たか、アマトの面倒も積極的に見るようになった。子供達が遊ぶ姿を、ハローとナルガは優しく見守っていた。
そんな中で、もう一方の夫婦にも、待望の時期が訪れようとしていた。
「ミネバももうじきか」
「はいっ。もう楽しみで楽しみで、夜も眠れません」
ミネバはナルガと話しながら、嬉しそうに腹をさすった。
彼女も臨月に入っており、出産まで秒読みだ。大きく膨れた腹を見やり、ナルガは首を傾げた。
「しかし、私の時より大きい気がするが」
「そうなんですよね、胎動もちょっと激しくて、凄く元気なんです」
「息災なのは重畳な事だ。出産の時は私も手を貸そう」
「心強いです。早く会いたいなぁ」
その願いは、一週間後に訪れた。
翌週の昼頃、ミネバの陣痛が始まった。エドウィンはこれまでになく緊張し、マンチェスター夫妻の協力の下、己の子を取り上げた。
「っし……産まれた、産まれたぞ……!」
元気な男の子だ。我が子を手に取り、産声にエドウィンは涙した。でも、何か違和感がある。ミネバの陣痛が、終わっていないのだ。
「まさか……! ミネバ! もうひと頑張りしてくれ!」
「どうしたんだよエド!?」
「もう一人居る……双子だ、双子だったんだ!」
予想外の二人目に、ハローとナルガは慌てて準備した。
程なくして二人目の男の子も産声を上げ、可愛らしい赤子が寝台に並んだ。ワイズナー夫妻は一人ずつ抱きかかえ、新たな家族を迎え入れた。
「双子だったなんて、言葉が出てきません……神よ、感謝します……!」
「…………」
エドウィンは何も言わなかった。ハローは胸中を察し、エドウィンの肩を叩いた。
「二人とも疲れただろ、一息入れようか」
「ふん、お前にしちゃ、気が利いてるな」
エドウィンは涙声になっていた。男二人で外に出ると、エドウィンはしゃがんで顔に手を当てた。
「おめでとう、これでエドもお父さんだな」
「何がおめでとうだ、子育てした事ないのに、いきなり二人も面倒見なきゃなんないんだぞ。ったく、ただでさえ面倒ごとは嫌いだってのに、双子だなんてさ……マジで神様、何考えてんだか……」
いつもの皮肉にキレがない。ハローは親友の隣に座り、彼の心に寄り添った。
彼の嫌味は、本心を隠すためのカーテンだ。本当は物凄く嬉しくて、感動しているのに。エドウィンは他人に弱味を見せるのが嫌いだからだ。
そんな彼が唯一、弱味を見せられる人物が、ハローだ。
「どうだエド、今、どんな気持ちだ」
「……人生で一番に決まってるだろ、バカヤロー……」
「そっか。よかったな」
「ああ……本当に、よかったよ……」
エドウィンが落ち着くまで、ハローは傍に居てあげた。
子供の頃、孤独を紛らすために、肩を並べていた少年達は。
今は互いに父親として、肩を並べていた。
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