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3部
170話 リナルドのために
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ミコの行動は早く、すぐさまナルガへ伝わった。
夜、子供達が寝静まった頃に、ナルガはハローへリナルドの事を教えた。ハローは腕を組んで唸り、リナルドを見やった。
「出来るだけリナルドとの時間を作ろうと頑張ってたけど、やっぱ寂しがらせちゃったか」
「思えば、私達からリナルドに構ってやるのも減っていたな。この所の頑張りは、気を引くための行動だったようだ」
「気を引くのに悪戯じゃなくて、働き者をアピールするのがリナルドらしいな。いい子で助かるよ、本当に」
下の子にかかりっきりになる両親に構ってもらうために、わざと悪戯をする子供も多いらしい。リナルドは過去の経験があるから、悪い事が出来ないようだ。
また捨てられてしまうんじゃないか、そんな恐れを、無意識に抱いてしまうのだろう。
リナルドを撫でていたら、アマトがぐずり出した。おしめが濡れて気持ち悪いようだ。ハローはでれっとした顔でおむつを替えた。そしたらアマトはハローに手を伸ばし、甘えたがった。
ハローはアマトを抱き上げ、娘が満足するまでゆりかごになってあげた。娘にメロメロなお父さんである。
半面、思い返してみる。アマトの育児が忙しくて、ハローからリナルドを抱き上げてあげられなくなった。リナルドにしてみれば、やっと甘えられる大人と会えたのに、ほんの数ヶ月で取り上げられたようなもの。疎外感を感じても、仕方ない。
眠ったアマトを寝台に戻し、ハローは頷いた。
「ずっとリナルドに甘え続けるのもダメだよな。リナルドの気持ちは、よくわかるから」
「ああ、私もだ。誰からも抱きしめられないのは、辛いからな」
ハローとナルガは、リナルドと同じ捨て子だった。独りぼっちの悲しみなんて、痛いほど理解している。
「よし! リナルドとの時間を増やそう。リナルドにしてあげたい事があるんだ」
「おいおい、まずは私からリナルドを誘わせろ。私だってリナルドと過ごしたいのだぞ」
「ごめんごめん、じゃあナルガ、俺の順番で」
即座に嫁へ順番を譲る夫。マンチェスター家はナルガが法律である。
二人でリナルドにしてあげる事を話し合っている内に、段々楽しくなってきた。
すっかり子供が中心の生活になっていて、リナルドとアマトが喜ぶ事を考えると止まらなくなってしまう。
「リナルドも喜んでくれるといいな」
「喜ぶさ。こんなにも、明日が来るのが待ち遠しく感じるとはな」
二人は「ふふっ」と微笑んだ。その後ろで、義息子と娘がすやすやと、穏やかな寝息を立てている。平和な家族の、とある夜の一幕であった。
夜、子供達が寝静まった頃に、ナルガはハローへリナルドの事を教えた。ハローは腕を組んで唸り、リナルドを見やった。
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また捨てられてしまうんじゃないか、そんな恐れを、無意識に抱いてしまうのだろう。
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ハローはアマトを抱き上げ、娘が満足するまでゆりかごになってあげた。娘にメロメロなお父さんである。
半面、思い返してみる。アマトの育児が忙しくて、ハローからリナルドを抱き上げてあげられなくなった。リナルドにしてみれば、やっと甘えられる大人と会えたのに、ほんの数ヶ月で取り上げられたようなもの。疎外感を感じても、仕方ない。
眠ったアマトを寝台に戻し、ハローは頷いた。
「ずっとリナルドに甘え続けるのもダメだよな。リナルドの気持ちは、よくわかるから」
「ああ、私もだ。誰からも抱きしめられないのは、辛いからな」
ハローとナルガは、リナルドと同じ捨て子だった。独りぼっちの悲しみなんて、痛いほど理解している。
「よし! リナルドとの時間を増やそう。リナルドにしてあげたい事があるんだ」
「おいおい、まずは私からリナルドを誘わせろ。私だってリナルドと過ごしたいのだぞ」
「ごめんごめん、じゃあナルガ、俺の順番で」
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「リナルドも喜んでくれるといいな」
「喜ぶさ。こんなにも、明日が来るのが待ち遠しく感じるとはな」
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