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157話 奮闘する未来の父さん

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 銃の装弾数は七発、ワーウルフと同数だ。
 一発でも外せば終わり……エドウィンは息を止め、狙いを付けた。
 初撃が先頭の一頭に当たり、眉間を貫いた。轟く銃声に驚き、ワーウルフが一瞬硬直した。エドウィンはミネバに腕を振り上げ、

「今だ! 二人を連れて逃げろ!」
「は、はい!」

 三人を背に逃走を計ると、ワーウルフが追いかけて来た。エドウィンは二頭目にも弾丸を当て、ワーウルフを近づかせない。
 本当は恐い、食い殺されると思うと、足が震える。けどあいつは、ハローは。そんな恐怖を物ともせず、多くの人達を救ってきた。

 あいつの相棒だったら、この程度の雑魚に怯えるな!
 エドウィンは更にもう一発、ワーウルフを撃ち倒した。怖気づいたのか、ワーウルフの足が鈍ってくる。
 何とかなるか。そんなエドウィンの予想を裏切り、ワーウルフのリーダーが遠吠えを上げた。

「きゃあっ!」
「しまった、前か!」

 ミネバ達の前に、ワーウルフが四頭現れた。奴らの狩場まで誘導されていたのだ。
 エドウィンはすぐに前のワーウルフを撃つが、動揺のあまり外し、撃ち尽くしてしまった。
 エドウィンの心の隙を見抜いたか、ワーウルフが一斉に飛び掛かって来た。リナルドにワーウルフが迫るのを見て、エドウィンは咄嗟に腕を伸ばした。

「ぐっ!?」

 左腕を噛まれ、牙が肉を抉る。エドウィンは食いしばって耐え、ワーウルフを振り払った。
 そのまま、長銃でぶん殴る。何としても、三人を守らなきゃ。僕だって、父親になるのだから!

「お前らなんかに、負けるかぁ!」

 エドウィンが叫んだ、その刹那。
 風を巻いてハローが飛び出し、ワーウルフを蹴り飛ばした。
 痛烈な一撃を受けて、ワーウルフの体が直角に折れ曲がる。ハローは続けざま、ワーウルフに拳を打ち込んで、頭蓋を砕いた。
 ワーウルフは数秒もかからず全滅し、エドウィンはぺたんと座り込んだ。

「大丈夫か皆?」
「う、うん。お父さん、どうしてここに?」
「銃声が聞こえてね、何かあったのかと思って、急いで来たんだ。エド、怪我の具合は」
「問題ない、僕を誰だと思ってんだ? 回復のプロだぞ」

 回復魔法で傷を治し、エドウィンは手を振った。ハローはほっとし、ワーウルフを見下ろした。

「思わぬ収穫だ、持ち帰って肉にしよう。毛皮も冬場に重宝するしね」
「はぁ……結局お前に助けられちまったな」
「エドにしては珍しかったな、あんな無茶をするなんて」
「まぁ、なんだ。いつまでもハロー頼みはよくないと思っただけだよ」

 エドウィンはガリガリ後頭部を掻き、ミネバに手を差し伸べた。

「怪我ないか?」
「はい、傷一つありません。流石私の旦那様ですね」
「おだてるなよ。リナルドもミコも、平気だな」
「ミコも大丈夫だよー」
「ぼ、僕も……その、ありがとう」
「礼を言われる程のもんじゃないよ」

 エドウィンは鼻を鳴らし、帰路に着いた。
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