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3部
154話 子育てを学ぶ元四天王
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ハローが森へ出ている間、ナルガは洗濯物を干していた。
農作業も落ち着いているので、思い切ってベッドシーツを洗ってみた。身重の体では中々大変だったが、干してはためく様を見ていると、何とも言えない満足感がうまれた。
そういえば、リナルドの姿が見えない。どこに行ったのか探すと、シーツに隠れていた義息子がひょっこり顔を出した。
「なんだ、ここに隠れていたのか」
「うん。驚いた?」
「ああ、とてもな。どこへ行ったのか心配したぞ」
ナルガは笑顔でリナルドを撫でてから、一緒に散歩へ出かけた。
村の中を回るだけだが、丁度いい気分転換になる。中央に差し掛かった頃、ナルガの足に小さな生き物がぶつかって来た。
「アーリスっ! リナルドも居た!」
「ミコじゃないか、今日も元気だな」
「ミコは毎日元気だよ、リナルドもそうでしょ」
ミコはリナルドの手を取り、ぐるぐると回った。
遅れて母親がやってきて、ナルガに挨拶した。
「うちの子が悪いね、急にぶつかって。こらミコ、アリスはお腹に子供が居るんだよ、転んだらどうするんだい」
「あう、ごめんなさい」
「大丈夫だ、そう簡単に転びはしないさ」
ナルガはミコを撫でてやりながら、母親と話をした。
ナルガが妊娠してから、彼女は随分と気にかけていて、栄養のある物を分けてくれるなど手助けしてくれている。ハローとエドウィンだけでなく、村人同士で助け合ってくれるのだ。
「これでも二人産んでるからね、何かあったらいつでも話しなよ」
「ミコ、兄弟が居るんだ」
「そうだよ、お姉ちゃん。二こ上なんだけど、いつも偉そうできらーい」
ミコはふくれっ面になった。
「リナルド、遊ぼ。いつもの場所まで競争だよ」
「え、ま、待ってよ。お母さん、行ってくるね」
「遊んでこい、転ばぬよう気を付けろ」
走っていくミコを、リナルドは追いかけた。ナルガは微笑み見送って、
「子供はいいですね、癒されます」
「そう言ってられるのも今の内だよ。赤ん坊が産まれたらそりゃあもう戦争だからね、リナルドに構ってあげる時間も無くなるよ」
「そうですか……リナルドには、寂しい思いをさせたくないのですが。子育てする上での心構え、教えていただけませんか」
「そんな御大層な物はないんだけど、そうだね、私の場合はさ」
ミコの母親と話をしていたら、次第に農婦達が集まり、子育ての話でもちきりになった。
来るべき子育てのために、ナルガは真剣に彼女達の助言を聞き続けた。
農作業も落ち着いているので、思い切ってベッドシーツを洗ってみた。身重の体では中々大変だったが、干してはためく様を見ていると、何とも言えない満足感がうまれた。
そういえば、リナルドの姿が見えない。どこに行ったのか探すと、シーツに隠れていた義息子がひょっこり顔を出した。
「なんだ、ここに隠れていたのか」
「うん。驚いた?」
「ああ、とてもな。どこへ行ったのか心配したぞ」
ナルガは笑顔でリナルドを撫でてから、一緒に散歩へ出かけた。
村の中を回るだけだが、丁度いい気分転換になる。中央に差し掛かった頃、ナルガの足に小さな生き物がぶつかって来た。
「アーリスっ! リナルドも居た!」
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ミコはリナルドの手を取り、ぐるぐると回った。
遅れて母親がやってきて、ナルガに挨拶した。
「うちの子が悪いね、急にぶつかって。こらミコ、アリスはお腹に子供が居るんだよ、転んだらどうするんだい」
「あう、ごめんなさい」
「大丈夫だ、そう簡単に転びはしないさ」
ナルガはミコを撫でてやりながら、母親と話をした。
ナルガが妊娠してから、彼女は随分と気にかけていて、栄養のある物を分けてくれるなど手助けしてくれている。ハローとエドウィンだけでなく、村人同士で助け合ってくれるのだ。
「これでも二人産んでるからね、何かあったらいつでも話しなよ」
「ミコ、兄弟が居るんだ」
「そうだよ、お姉ちゃん。二こ上なんだけど、いつも偉そうできらーい」
ミコはふくれっ面になった。
「リナルド、遊ぼ。いつもの場所まで競争だよ」
「え、ま、待ってよ。お母さん、行ってくるね」
「遊んでこい、転ばぬよう気を付けろ」
走っていくミコを、リナルドは追いかけた。ナルガは微笑み見送って、
「子供はいいですね、癒されます」
「そう言ってられるのも今の内だよ。赤ん坊が産まれたらそりゃあもう戦争だからね、リナルドに構ってあげる時間も無くなるよ」
「そうですか……リナルドには、寂しい思いをさせたくないのですが。子育てする上での心構え、教えていただけませんか」
「そんな御大層な物はないんだけど、そうだね、私の場合はさ」
ミコの母親と話をしていたら、次第に農婦達が集まり、子育ての話でもちきりになった。
来るべき子育てのために、ナルガは真剣に彼女達の助言を聞き続けた。
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