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149話 ハローなりの説得

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 畑仕事が落ちついたので、ハローは木こり仕事に戻っていた。
 冬も間近に控え、主伐が近いので、木こりも大忙しだ。ハローは以前よりも真剣に仕事に取組んでいた。

「張り切ってるな、ハロー」
「これから三人の家族を食わせなきゃならないしね、当然だろ」
「その意気だ。子供が出来たらもっと忙しくなるぞー」
「子育てねぇ……ま、ほどほどに張り切っとけ。面倒な時は嫁さんに任せときゃ何とかなるからよ」
「そうはいかないさ。嫁と子供の前ではかっこいいお父さんで居たいんだ、仕事も家庭も両立するつもりだよ」

 ナルガ達はハローの宝物だ、自分の全てを賭して、大事にしなければならない。
 今頃ナルガは診察を受けている頃だろう。お腹の子は、大丈夫かな。いや平気だ、エドが何とかしてくれる。エドウィンは、ハローが全幅の信頼を寄せられる唯一の男だ。

「もうすぐお昼か、戻らないとな」

 昼休憩、ハローは常に家に戻っている。家族とのひと時が、ハローにとって一番の休憩だ。
 ラコ村に足を向けた時、ハローは気配を感じた。嫌な気配だ、数は八人と言った所か。
 ……久しぶりだな、ウルチの時以来か。

「よう、邪魔するぜ」

 振り向けば、野盗が姿を現した。最近村の近くに来た連中のようだ。秋ごろになると、作物を狙ってこうした輩が現れる。
「お前らの村まで案内してもらおうか、ちょっとこっちも物入りでね、食い物が必要なんだ」
「大人しく従えば、殺しはしないぜ? なんなら女も差し出してもらおうかねぇ」

 野盗は武器をちらつかせて威嚇してくる。ハローは木こり達を下げ、野盗に向かっていった。
 野盗相手に対話は必要ない。魔法で突風を起こし、八人まとめて遠くに吹っ飛ばした。
 ここで駆除しておかないと、こいつらはまたやってくる。根っこから消さないとな。
 宙を舞う野盗を追いかけ、仕事場から離れた場所で対峙する。倒れた野盗が起きる前に、ハローは一人の首を踏み折った。
 仲間が瞬殺され、野盗達は震えあがる。ハローは指を鳴らし、

「返り血を浴びたくないんで、同じように処理させてもらうよ」

 ハローは野盗全員の首の骨を折った。血まみれで帰ったらリナルドが恐がってしまうから、出来るだけ優しく介錯してやった。
 仕事場に戻ると、木こり達が不安げにハローを見つめて来た。ハローはにこりとし、

「もう大丈夫、あいつらは来ないよ。説得してきたからね」

 命に手を掛けるのは、変わらず罪悪感がある。でも、話が通じぬ相手には、武力を持って対処しなければならない。
 だからもう、俺は躊躇わない。俺の宝物は、俺が守らねばならないんだ。
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