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112話 当面は一緒に過ごそう

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 二人に連れられ、リナルドは村人達に挨拶して回った。昨年のナルガ同様、突然の余所者に村人達は難しい顔になったが、子供という事もあってとやかく言う者は居なかった。
 人が沢山居て、緊張のあまり気持ち悪くなり、リナルドは何度もふらついた。その度にナルガとハローが支えてくれて、次第に恐怖も薄れた。

「あとね! こっちが私の友達なの!」

 ミコのおかげで子供達の輪にも入れたため、リナルドが孤立する事もないだろう。ハローとナルガはほっとし、

「ナルガの時よりもすんなり行ったね」
「子供だからなのもあるだろう。怪物の件がどうにかなるまでは、ラコ村で保護できそうだな」
「そうだね。せめてここに居る間は、不自由ない生活をさせないと」

 引き取った以上、責任を持ってリナルドを預からねば。
 教会の方に目をやると、丁度よくミネバが来るのが見えた。

「おはようございます、エドウィン様から連絡を受けたのですが、そちらの子が?」
「ああ、昨日ちょっとね。それで相談したい事があるんだけど」

 ハローはリナルドの事情を話し、日曜学校への参加を話した。
 怪物の件がどれくらいで解決するか分からないが、その間だけでもリナルドに出来る限りの事をしなければならない。

「かしこまりました。次回の授業から参加できるよう、手はずを整えておきますね」

 ミネバがメモを取っていると、エドウィンがやってきた。

「よう、リナルドの様子はどうだ」
「うん、とりあえず皆受け入れてくれたみたい」
「そうかい。僕も村長に話を通しておいたからな。今の内に、孤児院も探しといた方がいいだろう」
「孤児院?」
「リナルドは多分、みなしごだ。だったら事件が解決した後、孤児院に預けるべきだろ」

 教会を通せば、彼を孤児院に引き取ってもらえる。孤児院に居た方が、リナルドの選択肢は多いはずだ。

「僕達は裕福じゃないんだ、みなしごだからって、見境なく引き取るわけにはいかない。リナルドはあくまで怪物から守るために身を寄せているだけ、事が解決したらここに留まる理由はないんだ。先の事も見据えて用意しておく必要があるだろうさ」

「確かに、そうだね……でも孤児院は、終わってからでいいかな。怪物の出現条件が分からない以上、下手に預けると被害が増える危険がある」
「そうだな、あのレベルの怪物では、どれほどの被害が出るか分からん。万一またリナルドの近くで現れれば、それこそ多くの死者が出る」

「ま、妥当な線かな」
「分かりました、孤児院の件は保留しておきます」

 四人はミコと戯れるリナルドを見やった。まだ緊張気味で、恐々としていて、時折助けを求めるように、ハローとナルガへ視線を送っている。
 いずれは別れる事になるだろうけど、それまで沢山の思い出を作ってあげられればいいな。
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