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1部
12話 悪魔の巣食う島
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キグナス島でハロー達を待っていたのは、地獄だった。
上陸するなり、アトラス軍は猛攻を仕掛けてきた。ハローが対話を求めても聞く耳を持たず、数による暴力で本土の増援を駆逐してきた。
早々に最終手段を取ったハロー達だったが、アトラス軍の戦力は圧倒的。特に当時、ハロー達の知らない武器である爆弾や鉄砲によって、なすすべもなくやられていった。
個人によって威力のムラが出る魔法と違い、爆弾は誰が使っても安定した力が出せる。銃は弓よりも速く撃てて威力も桁違いだ。
兵力差により、僅か一時間で全滅。エドウィンを残し、ハロー達はアトラス軍に捕まってしまった。
聖剣を奪われ、ハローは敵陣にて縛り付けられた。痺れ薬のせいで力が出せず、指すら思うように動かせない。
己の無力さを呪う彼の前に、アトラス軍の総大将が現れた。
ハローより一回りも大きい、ひげを蓄えた大男だ。鋼鉄の鎧を着こみ、身の丈を超える大剣を背負っていた。
「勇者ハロー。お前の噂はアトラス国まで届いていたが、よもやこのような童だとは思わなんだ。やせっぽちだな、ちゃんと食っているのか?」
「……なぜ、あんな事が出来る。話す間もなく、一方的に攻撃するなんて!」
「青いな、ままごとのような戦しか経験してないと見える。おっとっと、名乗るのを忘れていた。失敬失敬。我が名は、ウルチ・マサガネ。アトラス軍の総大将をさせてもらっている」
ウルチは見せびらかすように、ハローの聖剣を掲げた。
「これが勇者の聖剣か。見事な物だが、我らから見ればカビの生えた骨とう品だな。アトラスでは剣と魔法による戦は終わった、今は銃と火薬が戦の主役よ。緒戦にて、貴様も思い知ったろう。我らとの力の差をな」
「何が言いたい」
「貴様らでは我らに勝てぬと言いたいのだ。国王に伝えろ、「降伏せよ」とな。さすれば我らはこれ以上貴様らを攻め立てはせぬ。対話を重んじる貴様ならば分かるだろう? 我らは和平に応じたいのだよ」
「信じられるわけない、お前達が本土に上がったら、絶対に多くの人々が犠牲になる!」
「断るか。こちらとしては穏便に済ませたかったのだが、致し方ないな」
ウルチが手を上げると、ミレイユが引きずり出された。酷い暴行を受けたようで、顔に青あざが出来ていた。
「ミレイユ! お前ら、何をした!?」
「ちょっとした歓迎だ。ほら女、お望み通り、勇者に合わせてやったぞ? 何か申す事は?」
「ハロー……助け……て……!」
「うんうん、それが辞世の句か。やれ」
ウルチは、ミレイユの処刑を執行した。
凄惨な光景にハローは絶叫し、助けようともがいたが、縄は固く結ばれ、解けない。
「ほらハロー、お前は勇者なのだろう? 早く助けないと、女が死ぬぞ?」
ウルチはハローの無様な姿を肴に酒を煽っている。配下達もハローを嘲笑い、からかうように囃し立てた。
ミレイユを目の前にして、ハローは何も出来ず、喚き散らすしか出来なかった。
上陸するなり、アトラス軍は猛攻を仕掛けてきた。ハローが対話を求めても聞く耳を持たず、数による暴力で本土の増援を駆逐してきた。
早々に最終手段を取ったハロー達だったが、アトラス軍の戦力は圧倒的。特に当時、ハロー達の知らない武器である爆弾や鉄砲によって、なすすべもなくやられていった。
個人によって威力のムラが出る魔法と違い、爆弾は誰が使っても安定した力が出せる。銃は弓よりも速く撃てて威力も桁違いだ。
兵力差により、僅か一時間で全滅。エドウィンを残し、ハロー達はアトラス軍に捕まってしまった。
聖剣を奪われ、ハローは敵陣にて縛り付けられた。痺れ薬のせいで力が出せず、指すら思うように動かせない。
己の無力さを呪う彼の前に、アトラス軍の総大将が現れた。
ハローより一回りも大きい、ひげを蓄えた大男だ。鋼鉄の鎧を着こみ、身の丈を超える大剣を背負っていた。
「勇者ハロー。お前の噂はアトラス国まで届いていたが、よもやこのような童だとは思わなんだ。やせっぽちだな、ちゃんと食っているのか?」
「……なぜ、あんな事が出来る。話す間もなく、一方的に攻撃するなんて!」
「青いな、ままごとのような戦しか経験してないと見える。おっとっと、名乗るのを忘れていた。失敬失敬。我が名は、ウルチ・マサガネ。アトラス軍の総大将をさせてもらっている」
ウルチは見せびらかすように、ハローの聖剣を掲げた。
「これが勇者の聖剣か。見事な物だが、我らから見ればカビの生えた骨とう品だな。アトラスでは剣と魔法による戦は終わった、今は銃と火薬が戦の主役よ。緒戦にて、貴様も思い知ったろう。我らとの力の差をな」
「何が言いたい」
「貴様らでは我らに勝てぬと言いたいのだ。国王に伝えろ、「降伏せよ」とな。さすれば我らはこれ以上貴様らを攻め立てはせぬ。対話を重んじる貴様ならば分かるだろう? 我らは和平に応じたいのだよ」
「信じられるわけない、お前達が本土に上がったら、絶対に多くの人々が犠牲になる!」
「断るか。こちらとしては穏便に済ませたかったのだが、致し方ないな」
ウルチが手を上げると、ミレイユが引きずり出された。酷い暴行を受けたようで、顔に青あざが出来ていた。
「ミレイユ! お前ら、何をした!?」
「ちょっとした歓迎だ。ほら女、お望み通り、勇者に合わせてやったぞ? 何か申す事は?」
「ハロー……助け……て……!」
「うんうん、それが辞世の句か。やれ」
ウルチは、ミレイユの処刑を執行した。
凄惨な光景にハローは絶叫し、助けようともがいたが、縄は固く結ばれ、解けない。
「ほらハロー、お前は勇者なのだろう? 早く助けないと、女が死ぬぞ?」
ウルチはハローの無様な姿を肴に酒を煽っている。配下達もハローを嘲笑い、からかうように囃し立てた。
ミレイユを目の前にして、ハローは何も出来ず、喚き散らすしか出来なかった。
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