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42話 ピーチな女騎士
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王国近衛兵団はアザレア王国軍の超精鋭部隊だ。兵士の平均レベルは70と非常に高く、魔王軍との戦いでも各所で活躍していたな。
セピア・L・ソムニウムはその近衛団を束ねる二十八歳の団長様で、レベルはなんと100を誇る。俺様とカインが居なければ、確実に人類最強と謳われる女だろうぜ。
おまけに、超がつくほどの美女だ。俺様が出会った中でも間違いなく三本指に入るな。
「ハワード・ロック……ここで会ったが百年目だ!」
んでもってセピアちゃんが俺様の鼻先に剣を突きつける。魔王討伐の旅で何度か一緒に戦った仲だってのに、熱烈な歓迎の仕方だぜ。
「勢いよく剣突きつけて、俺様の耳を付け替えてくれるのかい? 顔面をアシンメトリーにする趣味はないから、やるなら両耳頼むよ。出来ればエルフ耳にしてほしいもんだね」
「相変わらずの軽口だな……私にあんな事をしておきながら、いけしゃあしゃあとよく叩ける物だ!」
セピアちゃんはほんのり頬を染めていきり立つ。でもってアマンダたんとリサちゃんから鋭い詰問の目を向けられる。いや、俺ちゃん別になんもやってないよ? ただスキンシップとして、
「わ、私と出会う度に……! 尻を執拗に揉みしだきおって! 恥を知れ恥を!」
「どでかい声で叫んじゃう君も恥を知ったらどうだい?」
早速墓穴掘ってやーんの、ケツだけに。
「だからあんた魔王討伐の旅で何してんだボケェ!」
「王国近衛兵団長相手にセクハラなんて命知らずにもほどがあるでしょう」
「いやぁ、熟れたピーチが目の前にありゃそりゃあ捥いであげないと」
決まったぜ、ナイスジョーク。なんて思ってたら二人から斧とハンマーで叩き潰されちゃった。桃より先に俺様がピューレになっちまうぜ。
「いやほんと、このスカタンがご迷惑をおかけして申し訳ないですはい……」
「このノータリンの処理は私共が責任をもっていたしますので、どうかご容赦を」
「あ、ああ……もう処理されているような気もするが、よろしく頼む」
「よろしくされてたまるか! するならホテルのベッドでその桃を叩かせてもらおうか」
『天誅!!』
はい二度目のお仕置き脳天直撃! いい加減にしないと頭がパーになっちゃいそうだぜ。
「……腕を失っても全然変わらないな……怒る気がうせてしまったぞ」
「別に俺ちゃん怒らせる気はないのよ? ただ剣に身を捧げたにしてはあまりにも見事なお尻をしているもんだからついね、手が動いちゃったのよ」
Eカップバストもさることながら、特筆すべきはやはり大きなお尻だ。騎士団長として鍛えているだけあって、柔らかさの中にも張りがあり、もはや一つの芸術品として成り立っている。是非とも薄明るいランプの下で堪能したいもんだぜ。
「こんな破廉恥な男が賢者になるとは……教会の判断はどうなっているのだ」
「神すら羨む俺様の魂を評価してくれたのさ。あと俺様、教会を辞めたんだよね」
「知っている、先週教会へ訪ねたからな」
「へぇ? 俺様をデートにでも誘いに?」
「違う! ただ、勇者をかばって右腕を失ったから、様子を見に行っただけで……って何を言わせるか!」
「ほーう、そうかそうか。いやぁやっぱ可愛いなぁセピアちゃんってばぁ」
意外とこの子、自分から墓穴を掘っていくスタイルなのよねぇ。いっやーここまでわかりやすいとからかい甲斐があるってもんよ。
「んで、どうして近衛兵団長とあろう方がかような場所へ? 任務で出張るにしては、ラドラは平和な場所だ。君では役不足な感じがするんだが」
「詮索はよしてもらおう、機密を話すわけにはいかない」
セピアちゃんが腕を組んだ。そこへ、若い近衛兵が駆け寄ってくる。
「団長! 周辺の哨戒、終了しました」
「そうか……ご苦労、クロノア。後程報告を聞こう」
セピアちゃんが労ったのは、彼女の副官、クロノア・L・ソムニウムだ。
団長様そっくりの銀髪を持った男で、年齢はカインと同じ十八歳。すらっとした痩身の美丈夫で、キザっぽい印象を受ける若者だ。魔王討伐の旅の中で、何度か顔を合わせたっけな。
んでもって、名前で分かる通り、セピアちゃんの弟君でもある。
クロノアはちらっと俺様を見やると、ぱっと目を輝かせた。
「貴方はまさか、ハワード・ロックでは!?」
「人違いだよ、通りすがりの煙突掃除さ。冗談はさておき、残念ながらヤローの指名は受けない主義だからそこんところよろしく」
「いえ、いえいえいえ! また貴方に会える日が来るとは、光栄です!」
俺様に尊敬の目を向けながら、クロノアが手を握りしめてくる。やめろや気色悪い、俺様は男に触られるのが大嫌いなんだ。
って事で手を振りほどくも、クロノアは俺様へ熱い視線を送り続けている。あーもう、勘弁してくれよ。
「クロノア、任務中だぞ」
「申し訳ありません姉様……じゃなくて団長。でも私にとってハワード氏は、憧れの存在なのです。圧倒的な強さと、死をも恐れぬハードボイルドな気風の良さ……私にとって氏は、生きる男の教科書です。そんな方を前にして、黙ってなんかいられません」
「気持ちは嬉しいが、男に褒められると嬉しさ半減だぜ。出来ればセピアちゃんの喘ぎ声で褒めてもらいたいもんだなぁ、「ベッドの上の貴方は最高よ♡」的な感じに♪」
「死ね!!!」
セピアちゃんからの刺突が胸を貫通、過激なツッコミに周囲は仰天、ってな。
「おいおーい、頼んでもないのに風通し良くしてくれちゃって、お気に入りの一張羅が台無しだ。きちんと服弁償してくれよ?」
「胸に剣を刺されているのにどうして平然としているんだ貴様は」
「そりゃあれだよ、俺様がハワードだから♪」
「ぐっ……それで納得してしまう説得力は一体何なのだ……」
セピアちゃんは悔し気にうめいた。それとクロノア、そんな英雄を見る目で俺様を見つめるな。
にしても、あーあ。服がトップレスになっちまった。後でウサギのアップリケでもつけとかないとなぁ。
「それで、セピア様。近衛兵団はどのような任務に就いているのですか?」
「軍事機密だ、話すわけにはいかない」
「あー、いいよアマンダたん。大体読めたから。大方ザナドゥ関連だろ?」
近衛兵二人の顔色が一瞬変わった。やっぱドンピシャか。
「実は俺様、ザナドゥからラブレターを貰っていてね。デートのために大急ぎで来たってわけ。って事はザナドゥの、それも党首さんが近くに居るのはほぼ間違いない。でもって幹部、キングのヤローもな。そして君達は、キングを追ってラドラへ来た。そうだろう?」
「……なぜ、そう思う」
「クロノアの「哨戒が終わった」って発言で大方読めるよ。党首がノコノコ外に出るわけねぇから除外できる。末端の討伐なら、一般の王国兵で充分だ。近衛兵団長が出張るような相手で、かつ自由に外を出歩くような敵となれば、おのずと幹部に絞られる。名探偵ハワードの推理はいかがかな?」
「……ちゃらんぽらんな癖に、よく頭がキレるものだ。場所を変えるぞ、来い」
セピアちゃんが踵を返した。どうやら、大正解だったみたいだな。
くくっ、この後の流れも予想付くぜ。ラドラに到着早々、楽しいイベントに巻き込まれちゃったなぁ☆
トラブルあっての人生だ。今回もまた、心行くまでスリルを遊び尽くしましょうかね♪
セピア・L・ソムニウムはその近衛団を束ねる二十八歳の団長様で、レベルはなんと100を誇る。俺様とカインが居なければ、確実に人類最強と謳われる女だろうぜ。
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「ハワード・ロック……ここで会ったが百年目だ!」
んでもってセピアちゃんが俺様の鼻先に剣を突きつける。魔王討伐の旅で何度か一緒に戦った仲だってのに、熱烈な歓迎の仕方だぜ。
「勢いよく剣突きつけて、俺様の耳を付け替えてくれるのかい? 顔面をアシンメトリーにする趣味はないから、やるなら両耳頼むよ。出来ればエルフ耳にしてほしいもんだね」
「相変わらずの軽口だな……私にあんな事をしておきながら、いけしゃあしゃあとよく叩ける物だ!」
セピアちゃんはほんのり頬を染めていきり立つ。でもってアマンダたんとリサちゃんから鋭い詰問の目を向けられる。いや、俺ちゃん別になんもやってないよ? ただスキンシップとして、
「わ、私と出会う度に……! 尻を執拗に揉みしだきおって! 恥を知れ恥を!」
「どでかい声で叫んじゃう君も恥を知ったらどうだい?」
早速墓穴掘ってやーんの、ケツだけに。
「だからあんた魔王討伐の旅で何してんだボケェ!」
「王国近衛兵団長相手にセクハラなんて命知らずにもほどがあるでしょう」
「いやぁ、熟れたピーチが目の前にありゃそりゃあ捥いであげないと」
決まったぜ、ナイスジョーク。なんて思ってたら二人から斧とハンマーで叩き潰されちゃった。桃より先に俺様がピューレになっちまうぜ。
「いやほんと、このスカタンがご迷惑をおかけして申し訳ないですはい……」
「このノータリンの処理は私共が責任をもっていたしますので、どうかご容赦を」
「あ、ああ……もう処理されているような気もするが、よろしく頼む」
「よろしくされてたまるか! するならホテルのベッドでその桃を叩かせてもらおうか」
『天誅!!』
はい二度目のお仕置き脳天直撃! いい加減にしないと頭がパーになっちゃいそうだぜ。
「……腕を失っても全然変わらないな……怒る気がうせてしまったぞ」
「別に俺ちゃん怒らせる気はないのよ? ただ剣に身を捧げたにしてはあまりにも見事なお尻をしているもんだからついね、手が動いちゃったのよ」
Eカップバストもさることながら、特筆すべきはやはり大きなお尻だ。騎士団長として鍛えているだけあって、柔らかさの中にも張りがあり、もはや一つの芸術品として成り立っている。是非とも薄明るいランプの下で堪能したいもんだぜ。
「こんな破廉恥な男が賢者になるとは……教会の判断はどうなっているのだ」
「神すら羨む俺様の魂を評価してくれたのさ。あと俺様、教会を辞めたんだよね」
「知っている、先週教会へ訪ねたからな」
「へぇ? 俺様をデートにでも誘いに?」
「違う! ただ、勇者をかばって右腕を失ったから、様子を見に行っただけで……って何を言わせるか!」
「ほーう、そうかそうか。いやぁやっぱ可愛いなぁセピアちゃんってばぁ」
意外とこの子、自分から墓穴を掘っていくスタイルなのよねぇ。いっやーここまでわかりやすいとからかい甲斐があるってもんよ。
「んで、どうして近衛兵団長とあろう方がかような場所へ? 任務で出張るにしては、ラドラは平和な場所だ。君では役不足な感じがするんだが」
「詮索はよしてもらおう、機密を話すわけにはいかない」
セピアちゃんが腕を組んだ。そこへ、若い近衛兵が駆け寄ってくる。
「団長! 周辺の哨戒、終了しました」
「そうか……ご苦労、クロノア。後程報告を聞こう」
セピアちゃんが労ったのは、彼女の副官、クロノア・L・ソムニウムだ。
団長様そっくりの銀髪を持った男で、年齢はカインと同じ十八歳。すらっとした痩身の美丈夫で、キザっぽい印象を受ける若者だ。魔王討伐の旅の中で、何度か顔を合わせたっけな。
んでもって、名前で分かる通り、セピアちゃんの弟君でもある。
クロノアはちらっと俺様を見やると、ぱっと目を輝かせた。
「貴方はまさか、ハワード・ロックでは!?」
「人違いだよ、通りすがりの煙突掃除さ。冗談はさておき、残念ながらヤローの指名は受けない主義だからそこんところよろしく」
「いえ、いえいえいえ! また貴方に会える日が来るとは、光栄です!」
俺様に尊敬の目を向けながら、クロノアが手を握りしめてくる。やめろや気色悪い、俺様は男に触られるのが大嫌いなんだ。
って事で手を振りほどくも、クロノアは俺様へ熱い視線を送り続けている。あーもう、勘弁してくれよ。
「クロノア、任務中だぞ」
「申し訳ありません姉様……じゃなくて団長。でも私にとってハワード氏は、憧れの存在なのです。圧倒的な強さと、死をも恐れぬハードボイルドな気風の良さ……私にとって氏は、生きる男の教科書です。そんな方を前にして、黙ってなんかいられません」
「気持ちは嬉しいが、男に褒められると嬉しさ半減だぜ。出来ればセピアちゃんの喘ぎ声で褒めてもらいたいもんだなぁ、「ベッドの上の貴方は最高よ♡」的な感じに♪」
「死ね!!!」
セピアちゃんからの刺突が胸を貫通、過激なツッコミに周囲は仰天、ってな。
「おいおーい、頼んでもないのに風通し良くしてくれちゃって、お気に入りの一張羅が台無しだ。きちんと服弁償してくれよ?」
「胸に剣を刺されているのにどうして平然としているんだ貴様は」
「そりゃあれだよ、俺様がハワードだから♪」
「ぐっ……それで納得してしまう説得力は一体何なのだ……」
セピアちゃんは悔し気にうめいた。それとクロノア、そんな英雄を見る目で俺様を見つめるな。
にしても、あーあ。服がトップレスになっちまった。後でウサギのアップリケでもつけとかないとなぁ。
「それで、セピア様。近衛兵団はどのような任務に就いているのですか?」
「軍事機密だ、話すわけにはいかない」
「あー、いいよアマンダたん。大体読めたから。大方ザナドゥ関連だろ?」
近衛兵二人の顔色が一瞬変わった。やっぱドンピシャか。
「実は俺様、ザナドゥからラブレターを貰っていてね。デートのために大急ぎで来たってわけ。って事はザナドゥの、それも党首さんが近くに居るのはほぼ間違いない。でもって幹部、キングのヤローもな。そして君達は、キングを追ってラドラへ来た。そうだろう?」
「……なぜ、そう思う」
「クロノアの「哨戒が終わった」って発言で大方読めるよ。党首がノコノコ外に出るわけねぇから除外できる。末端の討伐なら、一般の王国兵で充分だ。近衛兵団長が出張るような相手で、かつ自由に外を出歩くような敵となれば、おのずと幹部に絞られる。名探偵ハワードの推理はいかがかな?」
「……ちゃらんぽらんな癖に、よく頭がキレるものだ。場所を変えるぞ、来い」
セピアちゃんが踵を返した。どうやら、大正解だったみたいだな。
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