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【第4話】カーテンの向こう側
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そんな泉との些細な一連のやり取りでさえ、狂おしく感じてしまうのは何故だろう。 結木には悪いが、本当に守りたいやつではない人間を懐に抱き入れながら小走りに校門を出る。
こうやっている時に結木に重ねるのも泉の姿。なまじっか背格好が同じだと容易に想像出来る。この温もりを泉のものだと思えば、寒さも全く感じない。
言ってみればやはりこの状態は、本命がいながら寄ってくる女に手を出している、いわゆる浮気をしている状態なんだと思う。一途に相手を思うのなら、その想い人に想いの丈をぶつけるはずだ。
中学生の頃から取っ替え引っ替え女を抱いて、これが浮気性以外になんと言えるのか。今回はたまたま長く持ってはいるが、結木のことも申し訳ないが本命じゃない。
「……ごめん」
「え?」
「あ。いや。家まで送っていく」
だからせめてもの罪ほろぼしに。付き合っている間だけでも彼女は大事にしたい。泉と同じくらいの肩幅で、泉より柔らかな結木の肩を抱き寄せて雨から守る。小走りで行く俺たちは周りの注目を浴びてはいたが、泉も俺たちを見ていたことには気付かなかった。
「じゃあな」
「……あ」
「ん?」
「え、と。なんでもない。また明日ね」
「ん。おやすみ」
いつもの癖でそう言って結木の額にキスをしたけど、よく考えればまだ昼過ぎだ。けれどその一言で今日は一緒にいるつもりがないことが伝わったのか、結木も笑いながらおやすみを返してきた。
再びバスに乗り、来た道を戻る。学校前のバス停まで引き返すと、バス停から学校をぼんやりと眺めた。泉はまだ補習を受けているだろう。教室に引き返したい気持ちをなんとか抑えて、本来の帰路を辿る。
再び勢いを増した雨。家の近くの学校にしてよかったと改めて思う。長かった梅雨が明けてからまだ数日も経ってないのに、悪戯に降り始めた雨が夏の気配を掻き消して行く。
少しだけ肌寒く感じるのは、腕に感じていた温もりが消えたからもあるのだろう。その温もりにまた泉を重ねながら、物悲しさに打ち拉がれる。
「ただいま」
一声掛けても返事がないということは、お袋はもう仕事に出掛けたのだろう。親父が飯を食ったかどうかが少し気になったが、取り敢えずはシャワーを浴びなければ風邪を引いてしまうとばかり風呂場へと向かう。
こうやっている時に結木に重ねるのも泉の姿。なまじっか背格好が同じだと容易に想像出来る。この温もりを泉のものだと思えば、寒さも全く感じない。
言ってみればやはりこの状態は、本命がいながら寄ってくる女に手を出している、いわゆる浮気をしている状態なんだと思う。一途に相手を思うのなら、その想い人に想いの丈をぶつけるはずだ。
中学生の頃から取っ替え引っ替え女を抱いて、これが浮気性以外になんと言えるのか。今回はたまたま長く持ってはいるが、結木のことも申し訳ないが本命じゃない。
「……ごめん」
「え?」
「あ。いや。家まで送っていく」
だからせめてもの罪ほろぼしに。付き合っている間だけでも彼女は大事にしたい。泉と同じくらいの肩幅で、泉より柔らかな結木の肩を抱き寄せて雨から守る。小走りで行く俺たちは周りの注目を浴びてはいたが、泉も俺たちを見ていたことには気付かなかった。
「じゃあな」
「……あ」
「ん?」
「え、と。なんでもない。また明日ね」
「ん。おやすみ」
いつもの癖でそう言って結木の額にキスをしたけど、よく考えればまだ昼過ぎだ。けれどその一言で今日は一緒にいるつもりがないことが伝わったのか、結木も笑いながらおやすみを返してきた。
再びバスに乗り、来た道を戻る。学校前のバス停まで引き返すと、バス停から学校をぼんやりと眺めた。泉はまだ補習を受けているだろう。教室に引き返したい気持ちをなんとか抑えて、本来の帰路を辿る。
再び勢いを増した雨。家の近くの学校にしてよかったと改めて思う。長かった梅雨が明けてからまだ数日も経ってないのに、悪戯に降り始めた雨が夏の気配を掻き消して行く。
少しだけ肌寒く感じるのは、腕に感じていた温もりが消えたからもあるのだろう。その温もりにまた泉を重ねながら、物悲しさに打ち拉がれる。
「ただいま」
一声掛けても返事がないということは、お袋はもう仕事に出掛けたのだろう。親父が飯を食ったかどうかが少し気になったが、取り敢えずはシャワーを浴びなければ風邪を引いてしまうとばかり風呂場へと向かう。
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1個目と同じく非王道学園ものです。
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