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【第4話】カーテンの向こう側
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閉ざした窓
どんなに心が荒んでいようが、変わらず朝はやって来る。
「――朝、か」
朝一番に無意識に零れ落ちた声は、自分でも驚くほどに掠れていた。昨日、女を家に呼んで散々やりまくったからだろうか。だが、半ば雄叫びのような嬌声を上げていたのは女の方だ。俺は荒い息をただ漏らしていただけだ。
それでも昨日から喉が少し痛かったような気がする。効きすぎたクーラーのせいで風邪を引いてしまったのかも知れない。まだ動かない頭で、それでもぼんやりとそんなことを思いながらカーテンを開ける。
窓の向こうに見えるのは、しっかりと閉ざされた窓を覆い隠す青いカーテン。いつの間にか日課になった一連の動作に苦笑い、一度開け放った自室のカーテンを再び閉ざした。
自室の窓は鍵もしっかりとロックしてある。この窓は、女との行為の後に消臭する時とたまに掃除する時以外に開放することはない。
あの頃の甘く苦しい感情を遮断するためだったとは言え、今は後悔している。かと言って、今となってはどうしようもないのだけれど。
徐々に覚醒して来た頭を持ち上げ、本格的にベッドから下りる。しんと静まり返る室内に微かに目覚まし時計のけたたましいアラーム音が聞こえて、その音についつい苦笑ってしまった。
俺の想い人は相変わらず朝が弱いらしい。しばらくその音が続いていたが、やがてぴたりと止まった。時計の針を見ると結構いい時間で、カーテンの向こう側の状況が気になってしょうがない。
「壱人、早く!」
「……っとに、おまえが寝坊したからだろうが」
「――っっ、そうだけどっ」
そう軽く拗ねながら俺の上着の裾を引っ張る腕を掴み、
「ほら、走るぞ」
なんて、青春していたのは随分と昔のことだ。子供の頃は良かった。何も考えなくてよかったから。
いつも隣にいる幼なじみのことが大好きで、そいつがいるのが当たり前で。思春期になり、その気持ちに邪な思いが入り混じるようになったのに気付いてからはその思いを押し殺すしかなかった。
どんなに心が荒んでいようが、変わらず朝はやって来る。
「――朝、か」
朝一番に無意識に零れ落ちた声は、自分でも驚くほどに掠れていた。昨日、女を家に呼んで散々やりまくったからだろうか。だが、半ば雄叫びのような嬌声を上げていたのは女の方だ。俺は荒い息をただ漏らしていただけだ。
それでも昨日から喉が少し痛かったような気がする。効きすぎたクーラーのせいで風邪を引いてしまったのかも知れない。まだ動かない頭で、それでもぼんやりとそんなことを思いながらカーテンを開ける。
窓の向こうに見えるのは、しっかりと閉ざされた窓を覆い隠す青いカーテン。いつの間にか日課になった一連の動作に苦笑い、一度開け放った自室のカーテンを再び閉ざした。
自室の窓は鍵もしっかりとロックしてある。この窓は、女との行為の後に消臭する時とたまに掃除する時以外に開放することはない。
あの頃の甘く苦しい感情を遮断するためだったとは言え、今は後悔している。かと言って、今となってはどうしようもないのだけれど。
徐々に覚醒して来た頭を持ち上げ、本格的にベッドから下りる。しんと静まり返る室内に微かに目覚まし時計のけたたましいアラーム音が聞こえて、その音についつい苦笑ってしまった。
俺の想い人は相変わらず朝が弱いらしい。しばらくその音が続いていたが、やがてぴたりと止まった。時計の針を見ると結構いい時間で、カーテンの向こう側の状況が気になってしょうがない。
「壱人、早く!」
「……っとに、おまえが寝坊したからだろうが」
「――っっ、そうだけどっ」
そう軽く拗ねながら俺の上着の裾を引っ張る腕を掴み、
「ほら、走るぞ」
なんて、青春していたのは随分と昔のことだ。子供の頃は良かった。何も考えなくてよかったから。
いつも隣にいる幼なじみのことが大好きで、そいつがいるのが当たり前で。思春期になり、その気持ちに邪な思いが入り混じるようになったのに気付いてからはその思いを押し殺すしかなかった。
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