ザ・兄貴っ!

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ネ… ペンテス…くん…?

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――…その炎を消火するのに、だいぶ時間が喰らった。黒ずみの部屋、足を中心に持っていくと‥

所々プスプスと鳴らし、黒ずんだ大きな巨体に思わず彼らは目を見開いた。


「ネ… ペンテス…くん…?」

それはまるで炎から守るように花の部分を下に身体を丸めた状態で焼け焦げたネペンテス君だった…。


「っ!」

そのとき、山田の父は気付いた。ネペンテス君の口が異様にもっこり膨らんでいることに-

まさか! 小さな希望が見えた気がした。ネペンテス君に駆け寄り、花を渚と二人掛かりで持ち上げ、口を開いてみると…


目を閉じた山田が少し窮屈そうにネペンテス君の口の中で丸まっていた。

「奈桜っ!奈桜っっ!!」


揺すると少し身じろいだのがわかった。よく見ると、微かだがきちんと呼吸もしている―― どうやら、ネペンテス君に助けられたらしい。

   しかし、ネペンテス君は山田を守るために自分の命を犠牲にした-

溶かさないように飲み込まず、遥らが後から来ることをわかっていて口の中に入れ… 炎から山田の命を守ったのだ。

「奈桜っ奈桜っっ!!!」


よかった… よかった!本当に… 涙を流し、着物が汚れることも構わず、山田の父は息のある愛しい息子を抱き上げた。


その横では、

山田の命を自分の身を呈してまで‥ 命懸けで守ったネペンテス君に彼らは黙祷を捧げていた。


「ネペンテス君…っ!」

「山田に本当に忠実だったんだね… 」


決して、好きでもないが嫌いでもなかった。今まで学園にあの騒がしい奇声を聞くことがないと思うだけで、少なからず寂しい気もした。

黒焦げになったネペンテス君に黙祷を捧げ、山田を病院へと運んだ。
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