ザ・兄貴っ！

せっかく、ケーキ食べてもらおうと思ったのに…

「く、倉井ぃぃいいいいいいい！！大丈夫じゃねぇな… 何があった！？」

急いで病院に運ばれる倉井に茂村が訊くと、

返ってきた言葉は…


「や、山田が…」

（山田ぁぁああ！！お前かっっ！！）


『き、君っっ！！しっかりするんだ！！』

顔色が酷くなっていく倉井に救急隊員が叫ぶ


「や、山田が…っ

前まで俺と… 同室で楽しかったって…… そのお礼にっ 一口分、だけ…ど俺が作ったケーキ､食べ…てほしい……言われ…て…――」


話しが途切れた。


『き、君っっ しっかり意識を持つんだ！！』



倉井は完全に落ちた。


ピーポーピーポー…

病院へと搬送される倉井を目に茂村は後悔した。



（山田ぁぁあああ！！お前は不器用以前の問題だろうがっっ！！！）


茂村と他の班は手分けして山田を捜す。



――… と、その頃


「あっれー‥ おかしいなぁ… ネペンテス君がいなーい。せっかく、ケーキ食べてもらおうと思ったのに…」


なんで？？と首を傾げる山田はさっぱり分からなかった。

いつもなら拠点を構えている以前山田がいた寮部屋に主体がいるはずなのだが、なぜか壁は崩れ大きな穴。


"ネペンテスく～ん！"と呼べば、すぐに何処にでも現れるネペンテス君は山田にとって可愛いペット、第ニの弟分なのだが‥


なぜか今日に限って、山田が呼んでも現れもしなければ返事の一つもしない。山田はそれが不思議で堪らなかった‥。