ザ・兄貴っ！

同室者を替えてくれ！！そう叫ぶ彼は必死でした。

はじめまして。私、風紀副委員長を務めさせていただいてる藤堂 静(ﾌｼﾞﾄﾞｳ ｼｽﾞｶ)といいます。え？主人公かって‥?

私じゃありませんよ。


この話の主人公は‥

私の同室者です。あ、同室者とは言いましても委員長じゃありませんが‥

彼はただの一般人です。


え？なぜ、一般の生徒と私たち風紀が同じ寮部屋なのかって？

見ればわかります…


ただ、あえて言うなら-

彼の元同室者から苦情が来た、ということですかね… ﾊｧｰｯ…。


ーーーーーーーーーー……

――‥ｺﾝｺﾝｯ!


「どうぞ」

そう… 全てはこのときのノックから始まった。

「失礼します‥」

そう言った疲れた顔した生徒に、今まで書類と睨めっこしていた我らが風紀委員長はゆっくりと顔を上げた。


「ふむ、風紀室に何か？」

そう入ってきた生徒に問うのは、私の同室者でもある風紀委員長の‥ 九条 旭(ｸｼﾞｮｳ ｱｷﾋ)。思えばこの時が私たちの転機だったのかもしれません‥

「九条っ、藤堂っ！！頼む!!!俺を助けてくれっっ!!!」

いきなり泣きつかれた旭は、いつもみたいにあしらうことが出来ず、困惑を見せた。


「……イジメか？」

「…イジメじゃないと思いたい…」

ん？ 旭は首を傾げ、再度尋ねた


「強姦とか脅迫か？」

「それも違うっ！つか、俺、タチだから！強姦とかマジありえない」

じゃあ、何なんだ？と訊けば、そいつは困惑した顔で言った。


「もう無理なんだ！！同室者を替えてくれ！」

「「はぁ？」」


私と委員長の声がハモってしまいました。

「寮の部屋替えは基本、卒業するまで変更はできなかったと思いますが‥」

眼鏡のブリッジを指先で軽く押し上げる


「知ってるよ！だから頼みに来たんだっ!!! 寮長に言ったら、例外は認めないし、部屋は空いていないって！！

お願いします委員長っ!! 俺の同室者をどうにかしてくださいっ

もう、いろんな意味で無理なんです！」


彼は必死だった。