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プロローグ
『琥珀の奥の手と ” 呪 ”
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「わーかってるって!だから、俺達から極力離れるなよ?
………で、どーすんだよ?"琥珀様"」
「………」
「俺パス!考えるのは得意じゃねぇからな。こういうのはお前のほうが得意だろ?閻魔大王の第一補佐官サマなら」
「…………」
「……はぁ、とりあえず彼は私の部下ということにします。ま、部下という名の保護ですが。彼を一人にするわけにもいきませんし」
「それはいいけど、他の連中はどうすんだよ?他の補佐官の連中なら、術で何とかなるが‥
さすがに、十王、相手には効かねぇぞ?」
「そこなんですよね‥」
小さく溜め息つく
「……ふぅ、どうにかなりませんかね?椿」
「いや、策士のお前に答えられないなら俺が答えられるわけねぇーだろ」
腕を組み、投げやりに言う椿に琥珀は仕方ないですね、と溜め息つく
「……奥の手を使います」
「は?奥の手‥‥‥って、お前まさか」
「えぇ、彼には地獄界のモノを食してもらいます」
「つーか、奥の手もなにも… 最終手段じゃね?それって」
肩を竦める椿に琥珀は半眼の目を向ける
「じゃあ、聞きますがその他に方法がありますか。手っ取り早く迅速に手を打てる方法が?」
「んなこと言うけどなぁ、そもそも天界・地獄界・人間界・魔界じゃ、考え方も違けりゃぁ、口にするものも違う。大体、隼人はどちらでもないだろ。
そんな隼人に、いきなり此処のモノを食させるなんて… 拒絶反応が出たらどうすんだよ?」
「………じゃあ、どうしろと?」
そう聞き返す琥珀は少し疲れた表情だった。
椿に問えど、返ってくる言葉は無言。それに対し、困惑した表情を向けてくる隼人に小さく溜め息つく―
「……仕方ありませんね」
「おい…?」
仕方ありませんね、と言うなり、隼人の前髪を上げ、あらわになるその額に人指し指を置く琥珀の行動に椿は怪訝な目を向けた。
「『 』」
小さな声で言葉を紡ぐ琥珀の瞳の色が淡い藍色へ変わる‥。ふわり、と不自然に舞う風が琥珀の髪を靡かせた
「…………お前」
その琥珀の紡ぐ言葉に、驚きに目を見開く椿は強張った表情で琥珀を見つめた―
「……これで、一応はバレないはずです」
いつの間にか、元の姿に戻った琥珀に椿が鋭い目を向ける
「本当!?ありが『待て。今、言ったアレは何語だ?』
「………」
「え?何語って… どういうこと?」
話が見えない隼人は頭に?を浮かべる。それに対し、琥珀は無言で返した。
「……此処は種別関係なしに平等に裁かれる。それはお前にさっき軽く説明したよな?」
「ん?う、うん‥! それがどうかしたの?」
「種別関係なく公平に裁かれる。つまり、人種が違っても、動物であろうと虫であろうと… 此処にいる鬼や餓鬼だって関係なしに此処じゃ、言葉は共通になる……… この意味がわかるか?
さっき、琥珀が言った言語は俺にはわからなかった。
それは… 此処じゃ、有り得ないことだ」
「……はぁ、椿」
琥珀の声に視線を隼人から琥珀へと移す
「言語、と‥ あなたは先ほど言いましたが私が今言ったのは"呪"です。さほど驚くことではありませんよ」
面倒くさそうに溜め息つく琥珀に椿の眉が上がる
「……それに、このことは恐らく"大王"も承知の上ですよ」
「兄貴が‥?」
「えぇ、生前に関係あるんじゃないかと思いますが。でなければ地獄界で私だけが使えるなんておかしいでしょう?まぁ、確かに特殊のケースというべきなんでしょうが。
大王には、あまり人前でコレを使わないようにと言われましたよ」
「………生前…?ってか、本当に言ったのか?いや、そんなはずは…」
納得いっていない表情でブツブツ言っている椿を無視し、琥珀は椿から隼人に視線を変えた。
………で、どーすんだよ?"琥珀様"」
「………」
「俺パス!考えるのは得意じゃねぇからな。こういうのはお前のほうが得意だろ?閻魔大王の第一補佐官サマなら」
「…………」
「……はぁ、とりあえず彼は私の部下ということにします。ま、部下という名の保護ですが。彼を一人にするわけにもいきませんし」
「それはいいけど、他の連中はどうすんだよ?他の補佐官の連中なら、術で何とかなるが‥
さすがに、十王、相手には効かねぇぞ?」
「そこなんですよね‥」
小さく溜め息つく
「……ふぅ、どうにかなりませんかね?椿」
「いや、策士のお前に答えられないなら俺が答えられるわけねぇーだろ」
腕を組み、投げやりに言う椿に琥珀は仕方ないですね、と溜め息つく
「……奥の手を使います」
「は?奥の手‥‥‥って、お前まさか」
「えぇ、彼には地獄界のモノを食してもらいます」
「つーか、奥の手もなにも… 最終手段じゃね?それって」
肩を竦める椿に琥珀は半眼の目を向ける
「じゃあ、聞きますがその他に方法がありますか。手っ取り早く迅速に手を打てる方法が?」
「んなこと言うけどなぁ、そもそも天界・地獄界・人間界・魔界じゃ、考え方も違けりゃぁ、口にするものも違う。大体、隼人はどちらでもないだろ。
そんな隼人に、いきなり此処のモノを食させるなんて… 拒絶反応が出たらどうすんだよ?」
「………じゃあ、どうしろと?」
そう聞き返す琥珀は少し疲れた表情だった。
椿に問えど、返ってくる言葉は無言。それに対し、困惑した表情を向けてくる隼人に小さく溜め息つく―
「……仕方ありませんね」
「おい…?」
仕方ありませんね、と言うなり、隼人の前髪を上げ、あらわになるその額に人指し指を置く琥珀の行動に椿は怪訝な目を向けた。
「『 』」
小さな声で言葉を紡ぐ琥珀の瞳の色が淡い藍色へ変わる‥。ふわり、と不自然に舞う風が琥珀の髪を靡かせた
「…………お前」
その琥珀の紡ぐ言葉に、驚きに目を見開く椿は強張った表情で琥珀を見つめた―
「……これで、一応はバレないはずです」
いつの間にか、元の姿に戻った琥珀に椿が鋭い目を向ける
「本当!?ありが『待て。今、言ったアレは何語だ?』
「………」
「え?何語って… どういうこと?」
話が見えない隼人は頭に?を浮かべる。それに対し、琥珀は無言で返した。
「……此処は種別関係なしに平等に裁かれる。それはお前にさっき軽く説明したよな?」
「ん?う、うん‥! それがどうかしたの?」
「種別関係なく公平に裁かれる。つまり、人種が違っても、動物であろうと虫であろうと… 此処にいる鬼や餓鬼だって関係なしに此処じゃ、言葉は共通になる……… この意味がわかるか?
さっき、琥珀が言った言語は俺にはわからなかった。
それは… 此処じゃ、有り得ないことだ」
「……はぁ、椿」
琥珀の声に視線を隼人から琥珀へと移す
「言語、と‥ あなたは先ほど言いましたが私が今言ったのは"呪"です。さほど驚くことではありませんよ」
面倒くさそうに溜め息つく琥珀に椿の眉が上がる
「……それに、このことは恐らく"大王"も承知の上ですよ」
「兄貴が‥?」
「えぇ、生前に関係あるんじゃないかと思いますが。でなければ地獄界で私だけが使えるなんておかしいでしょう?まぁ、確かに特殊のケースというべきなんでしょうが。
大王には、あまり人前でコレを使わないようにと言われましたよ」
「………生前…?ってか、本当に言ったのか?いや、そんなはずは…」
納得いっていない表情でブツブツ言っている椿を無視し、琥珀は椿から隼人に視線を変えた。
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