副会長様は平凡を望む

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すみません、赤城くんの性癖に気付かなくて。

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二人の目が互いに交差する――


「……ハァ、怖がってほしいなんてMだったんですね。すみません、赤城くんの性癖に気付かなくて。

ですが、俺も人を罵倒する嗜好はありませんので勘弁していただけませんか」


互いに睨み合う中、先に口を開いたのは南だった。

「んなっ// っざけんな!!!どこでそうなるんだよ!?」


対する赤城は羞恥と怒りで顔を真っ赤にして南の襟に掴みかかる――

黒瀬が慌てて止めようと駆け寄ろうとした、その一瞬、


まさに一瞬の出来事だった。



掴み掛かれたその手を南はごく自然な動作で払う


抵抗すると思わなかった赤城は一瞬反応が遅れる

南はその一瞬を見逃さず、その一瞬を突いて赤城の腹に拳を入れ、その痛みに前屈みになったところを後ろへと回り込んだ。


首筋に添えられた南の手刀、それを首の肌ごしに感じた赤城は底知れない恐怖に冷や汗が流れ落ちる。

………無論、


それは見ている黒瀬もだった。二人を止めようと駆ける寸前だったのに、恐怖から足がすくんで一歩も動けずにいた。


「………何者、かって?」

南はポツリと言う。


「そんなこと、俺が一番聞きたいですよ」

.
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