副会長様は平凡を望む

もっと器用な方だと思ってたんだけどなぁ…

―ウィリアムズ理事長side



―― パタン…

話しが終わり、望月くんが此処を出るとジキルが口を開いた


「……貴方も素直じゃありませんね」

『………何を言ってるのかな？』


「――ｸｽｯ、ジキル酷なことを言うものではありませんよ？」


………なんか、セシールの目がムカつく。

「あなたのことが心配だから、南… 彼の元へ転入を決めたと望月に言えば宜しかったのでは？」


「そうすれば望月くんの貴方に対する好感度も上がったでしょうに…。まぁ、好きな子を前に素直になれないのは仕方ありませんよ」


・・・・・・。

「はぁーっ…。っかしいなぁ… 僕はもう少し器用な方だと思ってたんだけど」


二人にバレたことに自己嫌悪。これでもポーカーフェイス貫いてたつもりなんだけど‥

「フッ…。いや、貴方は不器用ですよ。昔から…。ただ、いつからか一人で無茶をして一人で悩んで一人で抱え込んで… いつの間にか背伸びして前を突き進んで…」


ジキル‥

「そうですよ。だからそれくらいの不器用さで貴方はちょうど良いのですよ。

それに、正直あなたも人間だと思える要素があって寧ろ我々はホッとしてます」


爽やかな笑顔を向けてくるセシール …

ふっ、やっぱり二人には敵わないなぁ‥


「…そうだよ。僕は望月くんが好きだよ。学園じゃ、チャラ男会計なんて呼ばれてるけど、ほんとはチャラ男じゃないし、心優しい子だよ。

普段はチャラ男を演じてるし、学園も南くんが押さえていたから今までは安全だったけど‥ 」


僕が一端言葉を切ってジキルとセシールを見ると、二人は険しい表情で僕の話しを聞いていた。


「…キチガイのせいで学園は大荒れ。親衛隊は強姦や犯罪一歩手前ばかりの事件ばかりを起こし、取り締まるはずの風紀委員長はキチガイに惚れ込んでて使い物にならない。

生徒会も同じ。…そんな中、ただ生徒会役員であるというのと、チャラいというだけしか持ち合わせていない望月くんは無力に等しい。

ましてや、喧嘩慣れしてる南くんや上条くんならまだしも… 複数で来られたら望月くんは勝てないよ。…生徒会や風紀は生徒たちの人気ランキングで決まるからね…

今の学園なら生徒会、風紀問わず強姦しようって考える生徒が出てきてもおかしくない。…僕なら上条くんとかよりも、隙が多くてあまり喧嘩慣れしてなさそー な望月くんを狙うよ。

…だから、君たち二人が言う通り、僕は先手打って望月くんを学園から避難させたわけ」


そう… 望月くんはたぶん生徒会の中で一番、そういったことに慣れていないと思う。言葉の駆け引きとかも出来ないだろうし…

望月くんがせめて南くん並みに悪知恵とか働くような子だったら―― 僕もここまで心配はしないんだけどねぇ、ま、南くんは南くんで色々と問題があるし… やっぱり望月くんは今のままがいいね！