攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公（ユーザー）達から目の敵にされています。

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来て、そうそう修羅場です。

「「───モブの村人Aで！！」」


叫んで、蝶に手を伸ばしたその先は…当の銀の蝶はおらず、

─スカッ、

　　空気を掴む。


「モブ…？なにをわけのわからないことを…！この…ッ恥知らずめがッッ！！！」

──パンッ!!

唐突に訪れる頬の痛みと、大きな音に自分が殴られたことに気付いた。

「…………」


…ドサッ、

（は、え…？これ、どういう状況！？）

頬を押さえ、地面に尻もち着いたまま、状況的に僕を殴ったのだろう男を見上げる。

彼はジャラジャラと大きな宝石の指輪を沢山付けてるだけでなく、自身の着ている衣服にも所々に散らばせるようにして目立つように宝石を縫い合わせていて、

（うわ……。ないな）


センス云々どころじゃないその服に思わず顔をしかめる。

「なんだ！？その目は！！！」

父に向かって…！と声を上げる男に瞠目する。

（父… 親…？いや、まあ…うん。確かにモブでってアリスにお願いしたんだけど、これって… 来てそうそう修羅場だよね！？）


「今まで！！誰がッ飯を食わしてやったと思ってる！！？この…ッわしに、恥をかかせやがってッ！！役立たずがッッ」

──ガッッ!!!

「うぐ…っ！」

胸ぐらを掴まれて、宙に体が浮いたと思ったそのその瞬間、地面に叩きつけられた。


「ぐ、っ！けほっ! 」

急に息ができるようになり、咳き込んでいると、ジャリと地面の小石を踏む靴に気づく。咳き込みながら見上げると、庇護欲を思わせる可愛らしい… 少年と鼻から上を覆い隠す黒い仮面をつけ、黒色のローブを羽織り、そのフードを目深に被った男が一人立っていた。


「ほっんと…！生意気すぎるよね！僕は精霊の愛し子だっていうのに、僕の言うことが聞けないなんて！」

さっさと、そいつらを渡しなよ！！と見た目は美しいけれど、性格に難が有りそうな少年が目を吊り上げていて、黒いローブの仮面の男の人はほんのと少し眉をしかめたような気がした。……でも、ローブの下には鼻から上を仮面で隠していてよく見えないけど、不思議とそんな気がした…。


（そいつら？… ）

彼らの視線にあるのは色彩さまざまな…


「…これは、」

妖精が僕の周りを取り囲んでいて、

「なんでさ！？僕のほうが可愛いのに！！精霊の愛し子なのに!!!なんで、なにもない平民なんかがっっ僕よりも精霊に好かれるのさ！！！」


見た目だけは可憐で庇護欲のある可愛らしい少年なのに、口を開けば僕に対する罵声を飛ばし、侮蔑の瞳を向けてくるその顔はとても可憐で可愛らしいとは程遠く、鬼の形相だった。