攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公（ユーザー）達から目の敵にされています。

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注意事項と - 命懸けの世界 -

『ですから、今のマスターと先程逃してしまった叔父君は… 現実世界では仮死状態だと言っています。なので、あなた自身、もしもこちらのゲーム世界で死ぬことになれば他のプレイヤーとは違い、現実世界では ” 死 ” を意味します』


「……マジで!?」

『しかし、それはあなたの叔父君にも言えること。辛うじて救いなのは、叔父君を倒すことができればそれは現実世界において彼の死を意味する…。それは逆も然り。この世界で負った怪我もまた現実世界に影響します。……それが、私があなたをサポートすることに至った理由となります』


「叔父上のことはわかるよ。でも、やっぱり…！僕に、そんな大役は無理だ！務まるわけがない。目立ちたくないし、それに、君に集められた冒険者たちが、彼らがゲーマーなら尚更、僕の存在がバレたらダメだよ」

どこにでも、ズルをして強くなろうとする奴はわんさかいる…。それに、彼らは元々ゲームプレイヤーであり、ゲーマーだ。……僕とは違って。まだ、力を使いこなせていない僕がこのゲーム世界で本気になった彼らに太刀打ちできるのかと問われると、なんとも言えない。それに、僕自身がなにより目立つことを嫌う。…というよりかは苦手なんだから。


『……ご心配には及びません。多少、マスターのお姿は変えています。ただ、一つ。その点において注意事項は、あなたのことを最初から知っている人間には誤魔化しが効かない点です。そう、例えば… 』


　　【現実世界の身内、とか】


誰のこととは敢えていいませんが、というその言葉にごくりと唾を呑み込む。

『お気をつけくださいマスター。逃してしまったあなたの叔父君はあなたのことを血眼になってでも捜し、手に入れようとするでしょう。…この世界の神となる為に。この世界の支配者となる為に───。』


「………」


『マスター。私はあなたをサポートします。しかし、あくまでそれはサポートであり、補佐であって何でも出来るというわけではありません。…たとえ、この世界が私の管轄する世界であっても。この世界にとって私自身はコアに近い存在。その私が動くということはこの世界の崩壊の危機を招くというもの』

『───なので、私自身は動くことはできませんが、代わりに私の分身を付けることにしました。それに至っては問題ありませんので。しかしながら、それ故にサポートできる範囲に限りがあるのです』


…なるほど。思っていたよりも複雑だ…。

『さあ、マスター。もう時間がありません。正規の手順を踏んでいない以上、これ以上の時間はマスター自身に関わること』

「え、え…？」

急に急かしてくる彼は、僕が疑問をぶつける猶予も与えてくれない。


『ご心配には及びません。あなたには先ほど館長としての職権が与えられました。よって、例え本来の力が使えなくとも、そちらで対処できるはずです。禁術さえも扱えるんです。何を恐れるのでしょう？』

「いや、だから…！僕は目立ちたくないんだって！」

わかってくれないアリスに、僕は頭痛をこらえるように額に手を当てる。


『…問題ありません。先ほどの注意事項を除けば誰がどう見てもマスターの見た目はそのへんの人間と変わらない至って平凡な容姿にしました！』


う、ん？それは喜ぶべきなのかな…？今までの僕はアリスにとって、ブサイクだったってことなのかな？いろいろ胸にモヤモヤが残るも、まあ、帰ってきてから聞けばいっか。とこのときはまだそんな悠長に…考えていた。


『さあ、お急ぎください！もうすぐゲートが閉じてしまいます！！』

「え、えぇっ！？いや、待ってまだ…！」


『お急ぎください！』

「待って！！僕まだ質問が…！館長とかやっぱり無理だから！モブの村h───…」


次の瞬間、アリスの急かす声と共にこの空間一面を眩い光が覆った──。