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淡い光を放つ銀の蝶とアリス

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「ん?」


ひらり、ひらり…と何かがゆっくりと降りてくる。そっと右手を伸ばすと、” ソレ ” は人差し指に止まった。

それは淡い光を放つ、小さな銀の蝶で… 


『なので、私がサポートします』


指先に止まる蝶をじっと見つめると、それは先ほどと変わらない口調で喋った。

「・・・もしかして、アリス?」


『いかにも!』

「……でも、そうしたら誰がALIS WORLDを守るんだい?叔父上にまた書き換えられて、消去されたら───」


不安が重なる…。

『問題ありません。それは貴方という異物をミスカトニック図書館の館長に据え置くことで解決しました』


……解決?

「どういうこと?」

『先ほどにも言ったはずです。あなた方、異物が…異質な存在がこのゲーム世界に影響を与えるということを。簡単な話。その一番上であるミスカトニック図書館の館長に、この世界にとって異物である貴方を置くことで、この世界は変質し、外部から影響を受けなくなりました』

「 ! 」


『…しかし、実際のところ、不正アクセスを受けたのは少し前の話です。いち早く気づき対応終えた頃にあなたの弟君に加え、この会社の人間たちが事態に気付きました。』

人差し指に乗って羽を休ませる銀の蝶は時折り、淡い光を放っている。


『既に対応は終えていましたが、敢えて指摘しませんでした。───なぜなら、そのほうが都合がよかったからです。』


(……都合がよかった?)

アリスの言っていることがよくわからず、首を傾げる。

『募集をかけるのは本来一人だったのです。しかし、そのとき既に外部からの不正アクセスによるウィルスの侵入を許してしまい、バグが生じたのも事実。それ故に、即座に既存のデータを基に、この先起こりうるあらゆる事態を想定し、あなたの弟君が取る行動も加え、貴方がこの世界に来ることを想定した結果、あなたの生存率は低かった。それに加えてバグの問題。とても、当初決めていた、たった一人の主人公では対処できないと判断しました。

その結果、主人公の数を増やしました。

しかし、それは弟君にとって、少なくともそれはあくまで仮定の話に過ぎませんでした。ですが、私はその仮定の話が出たときには既に電磁波を使って適当な人間を見繕いました。』


『そもそも、なぜ彼らなのか…。理由は幾つかあります。マスター、あなたはこの世界を創りました。しかし、それはコンピューター上で、画面ごしにでしかありません。ですが、決め手となった理由は───…』


 【彼らがでゲーマーであること】

人差し指の指先に止まっていた淡く光る銀の蝶は一拍おくとそう言った。
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