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- 其の日常が終わりを告げる時 -

僕って… 子供扱いされてる?

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「そ、れ…って、悠には…」

(悠には、知られたくないっ)


鼓動がドクドクと大きく動き、微かに手先が震える。

「……伝えていませんし、今後も社長に伝えるつもりはありませんよ」

「!」


僕がよほど思いつめた顔をしていたのか、佐伯さんが悲しげに、けれど顔をとても上げれなくて俯いていた僕の頭をぽんっと撫でてくる。

「えっ!」

とても顔を合わせられなくて、俯いていた僕はハッと顔を上げる…


「言えませんよ、とても…。あんなに悲痛な声で言わないでってアンドロイドに、泣き縋っていたあなたを見たあとでは…。それよりも、どうにもできない自分の無力さをはじめて恨みました」

「佐伯さん…?」


もしかして、

「佐伯さんって、もの凄くいい人?」

きょとんとした表情で見上げると、苦笑いしながら今頃 気づいたんですか、と言われる。

「僕はもう平気だよ。…確かに、余命宣告を受けたあのときは動揺を隠しきれなかったけど。だってさ、誰でもそうでしょ?死を宣告されて動揺しないほうが難しいからね。でももう僕は… 自ら死を受け入れることで心に余裕ができた。それに、悠にも… 後のことは任せられるし、」

だからもう大丈夫、と告げると佐伯さんは『わかりました』と答える。

「会社と社長のことは私共にお任せください」

「………」

「私はこの先には行けません。アリスと社長、それから… あなたしか、この先の部屋には入ることができません。此処から先はあなたの横に控えるアンドロイドに…。私はここで、お別れです」


「佐伯さん…」

「あなたは昔から厄介なものに好かれる性質ですから、きっとあちらの世界でもトラブルに巻き込まれるでしょうが、出来るだけ目立たないように!」

「目立たないもなにも、僕は目立つのは好きじゃないから心配しないでよ」


佐伯さんもここまで来ると心配症の弟と変わらないね、と苦笑する… 本人は眉をしかめているけど、そんなところも悠と似ている。

「……はぁ、」

なぜか、溜め息をつく佐伯さん。

「いいですか、絶対ですよ!?あなたは昔から…!いえ、とにかく、皆、あなたの帰りを待っていますから。自分が作り上げた世界を見たいと言ったあなたを推したのは私ですが、今の… 人工頭脳アリスは何をするかわかりません。今やゲーム世界は危険です。少しくらいって寄り道して遊んだりしないように!!」


「…ハハッ、はぁ……。」

あまりに、必死にしつこいくらいに… そう念押ししてくる佐伯さんにもう乾いた笑いしか出てこない。…あのさ、僕だって子供じゃないからね?
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