攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公（ユーザー）達から目の敵にされています。

- 其の日常が終わりを告げる時 -

- 始まりの警笛 -

『───…ログインしました。』

無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。


───…はずだった。


【ガタンッ! 】


「ぅわっ！？え、なに…」


空間が何かにぶつかったように大きく揺れたのは…突然のことだった。

《ウィンウィンウィン！！！》

《ヴーヴーヴーヴーッ！！！》


それと同時にこの空間にけたたましい警報音が鳴り響く…

黒い空間にいたはずが、次第に明るくなり驚いて目を開けるとトンネルのような空間にいた。黒からカラフルな色とりどりな色にグラデーションに変わっていく。目がチカチカしてくる…

（おかしい… これはいったい、）

「こんなこと、プログラムには…」


なかったはずなのに、それもまだゲーム世界に突入していない…。今はまだその狭間のはず。


色とりどりな空間の色が定まらず、次から次へとグラデーションして色をまた変えていく。……目が悪くなりそう。

さっきから警報音が鳴り止まず、どうしてものかと顎先に手を添えて手を考えようとしたときだった──。


『緊急事態発生！緊急事態発生！！』


切羽詰まったアリスの声が空間いっぱいに響き渡る。

ハッとして顔を上げる。


『外部より不正アクセス確認致しました！プログラムが一部書き換えられ、異物は全て強制排除の対象となります！！』

強制排除…？


「・・・強制排除だって！？」

思考が一瞬停止した後にハッと顔を上げた。


無機質なガイドの声と警報音が鳴り止まない。『人生には寄り道が付きものだ』と昔、歴史に名を残したどこかの偉人の言葉を唐突に思い出した。

──────………
───…