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プロローグ

『黒薔薇のお兄様とゲームの違い』

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「ハイド!!た… いへんですッ!弟が… 弟が精神疾患を患わせてしまったみたいなんです!!!」

ちょwお兄様、俺正気なんでwwと隣で何か言ってる弟をぷるぷる震える指で指してハイドに駆け寄る。


「ま、まさか…。私が… 私が部屋に引き篭もっていたときにチェスの相手欲しさに、前にまだ3歳足らずだった弟の頭を少し弄ってしま『えっwちょ、お兄様wwあんた、まだ幼い弟になにしてくれてんの!?』

ってか、チェスってこっちにもあるんだとかボヤいている弟を放置し、頭を抱え込む。


「な… なんてことでしょう!」

そこで、ハッとする。


「そうです!頭を弄っておかしくなったのなら、また頭を弄ってしまえば…」

つい、と弟に目を向けるとビクッと肩を震わせた弟は素早くハイドの後ろへと隠れてしまった。


「なぜ、逃げるんですか…」

『いや、ちょwお兄様。胸に手を当てて考えてみ?誰だって逃げるっしょw』


「ふぅ。わかりました。何もしませんから…」

その怯えた目を向けるのはやめていただけませんか?正直、私が苛めてるようで不愉快です、と言えば弟はさらにおかしな言動を繰り返した。


うわー… やっぱ黒薔薇のキャラって安定の腹黒キャラなんだ、と口にする弟。

「…え?殴られたいって??」


ぐっと握り締めた拳を見せた途端、5歳の弟はわざとらしく両手で口を押さえた。

『待って待ってお兄様w 5歳児を殴る気?』


ニマニマと笑う弟にクツリと喉で笑った。それを見た弟がなぜか一瞬固まったのは… なぜなのか。

「…母上に突き出されたいですか?」


あの人なら息子だろうと関係なく、自分の意に沿わなければ鞭打ちくらいしますよと笑顔で口にすれば途端に、さっきまでの威勢はどうしたのか、顔色が蒼白になる弟にさめざめと溜め息つく。

「冗談です。私はあの人たちと違ってそこまで非道じゃありませんよ」


そう告げたのに、まだ震えている弟に少し苛めすぎたかと反省し… ハイドの後ろに隠れている弟の腕を引っ張っる。

ぽふっ!


『わ、わ…ッ!』

あたふたと忙しく手を動かし挙動不審に目を彷徨わせる弟の背に手を回した。


「すみません… 少し苛め過ぎました」

『お、俺も… ごめ… んなさい』


すっかり、しおらしくなった弟にこうもいきなり人格が変わったのは何故だろうかと考えていた私に弟は… 思わずといった感じでポロリと漏らした。

ゲームの黒薔薇の兄ちゃんって、人を貶すことはあっても謝る人間じゃなかったような… と言った弟に、待ったをかける。


「…ちょっと待って下さい。黒薔薇の兄ちゃんってもしかして私のことですか?それから、一つ訂正させていただくと、人を貶すことはあっても自分に非があるときは私だって謝るくらいしますよ」

私にだって良心くらい少しはあります、と言えば弟は ちょっw少しってwwっと笑った。まぁ、さっきまで震えていた弟が笑ったのでそれは良しとして、


とりあえず…

「そのゲームとは何ですか?」


さっき口にした言葉で引っ掛かった単語を聞けば、弟はピシリと固まってそれから挙動不審に目を彷徨わせた。

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