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- 王国の陰りと忌まわしき魔女の呪い -
―― ジキルドside①
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―― バンッ!!
「ジキルド!!…このバカッ!あれほど無理するなといつも言っているだろう!?」
報せを聞いて、やる事はやった上で慌てて帰還したのだろうジーク。案の定、自室で執務の続きをしている私に深い溜め息を吐いた。
「ジークか、まったく誰だ?私は大事ないと言ったのにジークに報せたのは…」
やれやれ、と肩を竦める私にゴンッ!という雷が頭に落ちる。
「ぐ…っ!お前というヤツは… 本当に病み上がりの人間にも容赦ないな、まったく!」
「当たり前だ!これのどこが病み上がりだ?まったくどいつもこいつも… 少しは大人しく出来ないのか」
どいつもこいつも… という部分に俄かに眉を吊り上げる。
「待て、まさかとは思うが… その、どいつもこいつもの言葉には私も含まれているのか?もの凄く心外だ!」
酷い言いようだ、と抗議すればジークの拳が固く握られて・・・
「わ、ま、待て待て。落ち着け!その拳を下ろせ、私が悪かった!」
再び鉄槌が下させる前に、慌てて待ったを掛ければジークは隠すことのない盛大に溜め息を吐く。…いや、溜め息を吐きたいのは寧ろ私のほうだ!国王に溜め息つくは殴るは… そんなことを出来るのはこの国で恐らくただ一人、ジークしかいないのだろうと思うが、ジークは意味も無しにそんな横暴なことはしない。
全ては意味があり、私のことを考えてくれての行動だとわかってはいるものの… その、もう少し加減をしてくれてもいいと思うのは私だけだろうか。
いつも頼りになる友人、そして忠実なる僕。
だが、それでも… あの魔女とこの国が抱える闇と毎晩見させられるあの悪夢のことは、ジークに打ち明けられずにいた。もし、ジークに打ち明けることが出来れば… 少しは変わるだろうか、この苦しみから。
いや、寧ろ弟に対し、そういう目で見ているのかと夢で犯しているのかと軽蔑されるかもしれない。嫌悪感から離れるかもしれない。まあ、呪いのせいで誰にも口外できないに違いないが。
だが、唯でさえ…
この現実でもいろいろな問題を抱えている。事実、今この国は不安定だ。城の内部は毎日、野心ある家臣たちの腹の探り合い、若き王だと舐められないよう一切の弱みを出さないのはなかなか苦しいものだ。そして国の内部がガタガタの今、他国から攻められでもすれば… 考えるだけでも想像するに容易い。家臣によっては約束された地位欲しさに他国に裏返るかもしれない。
それだけこの国の城の内部は荒れている。
民は知らないだろう。この城の内部で毎日行われている家臣たちの腹の探り合いを───。いつまでも続くと思っているのだろうこの見かけだけの平和な暮らしが。
何も疑うことなく、
ただ毎日を繰り返す彼ら、民が羨ましいと思ったのはいつの日のことだったか…。
それでも、国王の座に着いたからには、最大限の権力という力を使って国の膿を一掃しようとさえ考えた。だがしかし、そう簡単に行くはずもなく、この国の元凶の膿である継母に当たる王妃とその弟… 奴らはその地位と権力を傘に着て、着々と貴族らを王妃派に取り込んで行った。
そんな連中が現国王である私を玉座から退け、次の王に立てんとするのは我が義理の弟、オーディットだ。
「ジキルド!!…このバカッ!あれほど無理するなといつも言っているだろう!?」
報せを聞いて、やる事はやった上で慌てて帰還したのだろうジーク。案の定、自室で執務の続きをしている私に深い溜め息を吐いた。
「ジークか、まったく誰だ?私は大事ないと言ったのにジークに報せたのは…」
やれやれ、と肩を竦める私にゴンッ!という雷が頭に落ちる。
「ぐ…っ!お前というヤツは… 本当に病み上がりの人間にも容赦ないな、まったく!」
「当たり前だ!これのどこが病み上がりだ?まったくどいつもこいつも… 少しは大人しく出来ないのか」
どいつもこいつも… という部分に俄かに眉を吊り上げる。
「待て、まさかとは思うが… その、どいつもこいつもの言葉には私も含まれているのか?もの凄く心外だ!」
酷い言いようだ、と抗議すればジークの拳が固く握られて・・・
「わ、ま、待て待て。落ち着け!その拳を下ろせ、私が悪かった!」
再び鉄槌が下させる前に、慌てて待ったを掛ければジークは隠すことのない盛大に溜め息を吐く。…いや、溜め息を吐きたいのは寧ろ私のほうだ!国王に溜め息つくは殴るは… そんなことを出来るのはこの国で恐らくただ一人、ジークしかいないのだろうと思うが、ジークは意味も無しにそんな横暴なことはしない。
全ては意味があり、私のことを考えてくれての行動だとわかってはいるものの… その、もう少し加減をしてくれてもいいと思うのは私だけだろうか。
いつも頼りになる友人、そして忠実なる僕。
だが、それでも… あの魔女とこの国が抱える闇と毎晩見させられるあの悪夢のことは、ジークに打ち明けられずにいた。もし、ジークに打ち明けることが出来れば… 少しは変わるだろうか、この苦しみから。
いや、寧ろ弟に対し、そういう目で見ているのかと夢で犯しているのかと軽蔑されるかもしれない。嫌悪感から離れるかもしれない。まあ、呪いのせいで誰にも口外できないに違いないが。
だが、唯でさえ…
この現実でもいろいろな問題を抱えている。事実、今この国は不安定だ。城の内部は毎日、野心ある家臣たちの腹の探り合い、若き王だと舐められないよう一切の弱みを出さないのはなかなか苦しいものだ。そして国の内部がガタガタの今、他国から攻められでもすれば… 考えるだけでも想像するに容易い。家臣によっては約束された地位欲しさに他国に裏返るかもしれない。
それだけこの国の城の内部は荒れている。
民は知らないだろう。この城の内部で毎日行われている家臣たちの腹の探り合いを───。いつまでも続くと思っているのだろうこの見かけだけの平和な暮らしが。
何も疑うことなく、
ただ毎日を繰り返す彼ら、民が羨ましいと思ったのはいつの日のことだったか…。
それでも、国王の座に着いたからには、最大限の権力という力を使って国の膿を一掃しようとさえ考えた。だがしかし、そう簡単に行くはずもなく、この国の元凶の膿である継母に当たる王妃とその弟… 奴らはその地位と権力を傘に着て、着々と貴族らを王妃派に取り込んで行った。
そんな連中が現国王である私を玉座から退け、次の王に立てんとするのは我が義理の弟、オーディットだ。
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