- カ ミ ツ キ 御影 -

焼き鳥、されなきゃいいけどねー

「仕方ありません。
一度、山に戻りましょう。父様たちにも報告しませんと…」


ピヨッ！

『だめだ！
山に戻れば失態が明るみになるッ！そうなってみろ！俺は大妖怪としての威厳はなく、後ろ指で指されるんだ！

そして、俺は笑い者だ！！』


ピヨピヨピヨッ！

ふわふわの羽を忙しく羽ばたきながら葉月に詰め寄るひよこに、


「仕方ないなぁ、もう……。」

お前が、お前があんな変な薬を作るから！めそめそめそ… と座り込むひよこに、葉月も渋々折れる。


「俺にも、責任がないとは言い切れませんからね…。仕方ありません。……氷雨、啓大」


腕を組み、怠そうに溜め息つく。

「悪いけど、
俺、しばらく山に帰れないから。ひよこ様にかけられた呪詛は術士しか解くことができない。あの法師を捕まえるのも、すぐ…ってわけにもいかないだろうし」


ピヨ、

2、3日前に降った雨でできた水溜まり…


わかっていても、ついつい覗き込む。

ピ…


「ちょ、ひよこ様。
落ち込むくらいなら最初から見ないでくださいよ。じめじめ… めそめそ、鬱陶しいです」

水溜まりに映る認めたくない自分の姿に、しょぼーん…と項垂れるひよこを見た葉月が鬱陶しそうに冷たく言い放つ。


「………火月サマ、呪詛解く前に焼き鳥にされなきゃいいけどねー」

「…………」


啓大の言いように普通なら注意するところだが、その言葉に氷雨はいっそう不安を覚えた。