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御影
しおりを挟むこの山神の杜には多くの妖怪が住み着いている…
その数多の妖怪を束ねるのは妖怪の長の存在。前の長は… 母様だったらしく、今は兄様の従兄弟に当たる火月(かげつ)様が長をやっている。
当主、と呼んでいる者もいるけれど、長と呼んでいる者のほうが多い。ううん、火月と呼んでいる者のほうが多いかもしれない。とにかく、呼び方に決まりは特になかった。
そして、山の深くにどーん!と、そびえ立つ城に近い瓦屋根の大きな屋敷で、長もとい火月様をお守りする存在が…
『お庭番』
ーー その中でも、飛び抜けて優秀なエリートの忍びを集めた特殊部隊、その名を… 『鴉- カラス -』
もちろん、彼らも妖だ。
ーー… が、
人間が時々この山に足を踏み入れる為、万が一逃がしても妖のまま人里に下りるわけにもいかない。
そのために、
長を守る忍軍だけは人の姿を取っている者のほうが多いのだ。
そしてそんな特殊部隊、鴉の頭領もとい部隊長を務めるのは-
『氷雨(ひさめ)』
ダークブロンズの髪と瞳の凛々しさのある顔の青年だ。そんな氷雨の数少ない親友?兼、相棒をやっているのが少しお調子者の『啓大(けいだい)』
そして、
その鴉の部隊長の上に立ち、妖の長の御側付きの忍を務める者に代々引き継がれる役職名がーー
『御影(みかげ)』
という名だった。
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