3 / 68
父様と母様という人たち
しおりを挟む周りの人間が生を終えていくのに対し、妖の血が濃い父と兄様は若さを保ったまま。兄様いわく、人間とは流れる時間が違うらしい。さすがに周りの目もあり、ずっとその地に住むことも難しくなり、この山神の杜に移ってきた。
なぜ、此処を選んだのか…
母様が山神様に口説かれたのがきっかけらしい。
山神様もとい父様は銀縁の"メガネ"というモノを目に掛けていて常に和服の着物を着ている。
そして、母様というのが…
山神様もとい父様に口説かれた母様は… 父様と同じ同性。男。
人間と違い、妖の世界では同性同士というのは珍しくないそうだ。兄様と似た装束で寝転ぶ母様は冠を投げ捨て、髪も結っていないこともしばしば。だけど、まっすぐな黒髪がごく淡い色合いの装束の上に滝のように流れ落ちている。
年は父様と同じく年齢不詳の若さ、20代後半にも見えなくもない毅然とした美形の顔、
形のよい細眉に長く繊細な睫毛。なめらかな白い肌に自然に色づいた唇、声色は低いバリトンの声。
兄様と人間の世で暮らしていた母様の名は… 安倍 晴明。兄様と同じく陰陽師で京の都で大活躍していたと兄様から聞いている。
兄様からすれば俺のいう母様は父上になるけれど、
俺が山神様もとい父様に家族に迎えられたとき、子供には母親が必要だと言って…
父様と母様が互いに同じ同性なために、どっちが母役になるかで揉めたことを今でも覚えている…。
なんでも、それによって夜の営みで攻めと受けが決まるという話だったけど、
正直、なんの話か今でもわからない。だけど、それで父様と母様が揉めていたのを兄様がにっこり笑顔で一言で収めた。
結局、公平にということでジャンケンで決めることになった。父様はグー。母様はチョキ。
……そのあと、母様はチョキの手をしばらく見つめていた。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
副会長様は平凡を望む
慎
BL
全ての元凶は毬藻頭の彼の転入でした。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
『生徒会長を以前の姿に更生させてほしい』
…は?
「え、無理です」
丁重にお断りしたところ、理事長に泣きつかれました。
ザ・兄貴っ!
慎
BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は…
平凡という皮を被った非凡であることを!!
実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。
顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴…
けど、その正体は――‥。
生徒会補佐様は平凡を望む
慎
BL
※《副会長様は平凡を望む…》 の転校する前の学園、四大不良校の一つ、東条自由ヶ丘学園でのお話。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
『───私に喧嘩売ってるのでしょうか?』
南が前の学園で、副会長として君臨するまでの諸々、武勇伝のお話。
本人の主張する平凡とは言い難い非日常を歩む… そんな副会長サマもとい南が副会長になるまでの過程と副会長として学園を支配… 否、天下の副会長様となって学園に降臨する話である──。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
龍神様の神使
石動なつめ
BL
顔にある花の痣のせいで、忌み子として疎まれて育った雪花は、ある日父から龍神の生贄となるように命じられる。
しかし当の龍神は雪花を喰らおうとせず「うちで働け」と連れ帰ってくれる事となった。
そこで雪花は彼の神使である蛇の妖・立待と出会う。彼から優しく接される内に雪花の心の傷は癒えて行き、お互いにだんだんと惹かれ合うのだが――。
※少々際どいかな、という内容・描写のある話につきましては、タイトルに「*」をつけております。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる