室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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第1章 月森ヶ丘自由学園

それぞれの始動

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――‥
――――‥…

-FBI本部-

『シュバルクさん…、スクワット・ブランドンの事件を覚えていますか?実は…おかしなことにスクワットは生きているみたいなんです。』

制服をきっちり着こなした男は、イスに座り珈琲を飲みながらデスクの上の書類に目を通していた上司に困惑顔で言った。その部下の上司である二十代後半のヒュー・シュバルクは飲んでいた珈琲を置く

その顔には眉間にシワが寄っていた。

『馬鹿なことを言わないでくれ。あの男は確かに死んでいた。…それはお前も確認していた筈だが?』

『そんな目で見ないでくださいよー。僕だって、まさかとは思ったんですけど‥ 中国、上海で幾つかの目撃情報も上がってるんですよ』

『………なんだと!?』

『えぇ~とですね。その、情報に寄りますと、僕達が見た遺体は、どうやら替え玉みたいでスクワット本人は中国上海を拠点に既に闇取引を幾つか行っているとか‥。なんでも、CIAも動いてるみたいなんですが……スクワットと言えば国境無しに全ブラックリストに載ってるくらいですし、当然と言えば当然なんでしょうが。…どうします?』


『…CIAが動いている、ということは……父も動いているということか。プライベートは別にすれば、ライバルに違いないけどな…。ま、このまま放っておくのも構わないが‥上にバレたら煩いからな。

ただ、気掛かりなのが、末っ子のことなんだが。』

デスクに置いてあるパソコン等を鞄に詰め込むヒュー・シュバルク。

『末っ子って…たしか、シュバルクさん溺愛の義弟の……クリフェイド君でしたっけ?』


首を傾げる部下、グレイ‥。

『最近、忙しくてな… 帰るどころか、家に連絡一つ入れてない』

そう、最近なにかと忙しかったヒューは一度も屋敷へ帰っておらず、クリフェイドが実は屋敷を抜け出していることを知らない…

そしてそれは、シュー同様にCIAも最近仕事が多かった為、中々家に帰られない父、アクシオン・シュバルクも同じだった‥。

コツコツ――‥

『あの子専属の執事もいるし、大丈夫かとは思うが』

『専属の執事ですか。さすが、上級貴族のシュバルク家ですねぇ?専属執事つけるなんて』

『……変わり者の貴族とも言われているがな。フッ、たしかに、貴族である私や父が警察組織というものに関わっているのがおかしいかもしれないが…。父も私も、ただこの仕事に興味があっただけなのだがね』

  コツコツ…

『その興味だけでここまで上り詰める人はそうそういませんよ!? それだけ、貴方々には知識と実力があったのでしょう?羨ましいくらいです』

上に報告した後、部下を引き連れ、ヒューはヘリに乗り込む。

『君から見れば羨ましいかもしれないが、これはこれで大変だぞ?仕事柄、犯罪者からは憎まれる、内部では妬ましさに敵はできる。…あげくは、他の貴族から敵意さえ感じる…』

ヒュー・シュバルクはうんざり気味に溜息を零した。

『……色々と大変なんですね』

ヒューの言葉にグレイは心底思った。

   ズバババッ――‥

機体上部にあるプロペラが回転することにより、ヘリが地上から離れていく

『(…これを片付けたら、久しぶりに屋敷へ帰るか。クリフェイドの顔も見たいしな‥) すまない。少し遠いが中国の上海へ向かってくれ』

操縦士に言うヒュー・シュバルク。

彼らを乗せたヘリは中国、上海へ向かって飛び立った――‥。
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