上 下
411 / 516
第1章 月森ヶ丘自由学園

要するに、頼み方の問題なんですよ

しおりを挟む

…そもそも、アイツが関わるとロクなことにならないっ!!

「……ハァ、抱える問題が多すぎますね」


もう一度溜息つくと、岬はバックミラーを覗く‥

「…さて、新手の追っ手も来てしまいましたし……警察に駆け込みますか」


事もなげに淡々と告げる岬に一同は首を傾ける


「……え?どういうこと??」

望も岬の意図がわからないようだ


「ですから、警察に駆け込むんですよ」


目をキラリと光らせ、眼鏡を押し上げる岬に結城はただならぬ悪寒を感じた。

――‥物凄く嫌な予感がする


 それが今の結城の心情だった。

「…ちょっと待て霧島、なにも直接駆け込まなくても俺んとこの署に応援を要請した方がいいんじゃないか」

ブォォォオン…


     ヒュッ

             ヒュッン――‥

岬はバックミラーとサイドミラーに注意を向けつつスピードを加速していく…

前方の車を器用にハンドルを切り、見事な運転テクニックに車は風を切るように、スィッスイッ‥と車と車の間を抜けていく


「なに言ってるんですか。結城先生のいる署から此処まで何分かかると思っているんです?…それよりも、隣町の警察署に駆け込んだ方が良いに決まっているでしょう?」

岬はサイドミラーに注意を向けつつも、結城に呆れた目を向ける


「いや、そういうけどな…。俺んとこの署とお前の言う隣町の署は仲が悪いんだよ。応援を頼んで応じてくれるかどうか‥」

と本気で困惑する結城に後部席の三人は思った。


何故、そこまで仲が悪いんだ!!?と…。

一体何があったのか、口には出さずとも気になる三人だった…。


「わかっていませんね…。要するに、応援にしろ駆け込むにしろ‥

頼み方の問題なんですよ? まぁ、見ていて下さい。僕が正しい頼み方というものをお見せしますから…」


眼鏡のブリッジを指先で軽く押し上げる岬は淡々と述べた後、後ろの追っ手から少し距離を離すべく一気にスピードを加速した――‥。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

副会長様は平凡を望む

BL
全ての元凶は毬藻頭の彼の転入でした。 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー 『生徒会長を以前の姿に更生させてほしい』 …は? 「え、無理です」 丁重にお断りしたところ、理事長に泣きつかれました。

ザ・兄貴っ!

BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は… 平凡という皮を被った非凡であることを!! 実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。 顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴… けど、その正体は――‥。

生徒会補佐様は平凡を望む

BL
※《副会長様は平凡を望む…》 の転校する前の学園、四大不良校の一つ、東条自由ヶ丘学園でのお話。 ♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢ 『───私に喧嘩売ってるのでしょうか?』 南が前の学園で、副会長として君臨するまでの諸々、武勇伝のお話。 本人の主張する平凡とは言い難い非日常を歩む… そんな副会長サマもとい南が副会長になるまでの過程と副会長として学園を支配… 否、天下の副会長様となって学園に降臨する話である──。

和泉くんの受難

BL
『こっちへおいで…』 翁のお面を付けた和服の青年に手を引かれ、少年はその手を掴んだ。 ――――――――‥ ――‥ 「…ってことで、和泉くんにはそろそろ うちの学園に入ってもらいたいんですがねぇ」 「え、無理」 首を傾げる翁お面の青年に顔をしかめる。 「だって、俺は…」 遠い昔、人間であったことを捨てた少年は静かに溜め息ついた-

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!

BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥ 『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。 人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。 そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥ 権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥ 彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。 ――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、 『耳鳴りすれば来た道引き返せ』

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

処理中です...