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第1章 月森ヶ丘自由学園
要するに、頼み方の問題なんですよ
しおりを挟む…そもそも、アイツが関わるとロクなことにならないっ!!
「……ハァ、抱える問題が多すぎますね」
もう一度溜息つくと、岬はバックミラーを覗く‥
「…さて、新手の追っ手も来てしまいましたし……警察に駆け込みますか」
事もなげに淡々と告げる岬に一同は首を傾ける
「……え?どういうこと??」
望も岬の意図がわからないようだ
「ですから、警察に駆け込むんですよ」
目をキラリと光らせ、眼鏡を押し上げる岬に結城はただならぬ悪寒を感じた。
――‥物凄く嫌な予感がする
それが今の結城の心情だった。
「…ちょっと待て霧島、なにも直接駆け込まなくても俺んとこの署に応援を要請した方がいいんじゃないか」
ブォォォオン…
ヒュッ
ヒュッン――‥
岬はバックミラーとサイドミラーに注意を向けつつスピードを加速していく…
前方の車を器用にハンドルを切り、見事な運転テクニックに車は風を切るように、スィッスイッ‥と車と車の間を抜けていく
「なに言ってるんですか。結城先生のいる署から此処まで何分かかると思っているんです?…それよりも、隣町の警察署に駆け込んだ方が良いに決まっているでしょう?」
岬はサイドミラーに注意を向けつつも、結城に呆れた目を向ける
「いや、そういうけどな…。俺んとこの署とお前の言う隣町の署は仲が悪いんだよ。応援を頼んで応じてくれるかどうか‥」
と本気で困惑する結城に後部席の三人は思った。
何故、そこまで仲が悪いんだ!!?と…。
一体何があったのか、口には出さずとも気になる三人だった…。
「わかっていませんね…。要するに、応援にしろ駆け込むにしろ‥
頼み方の問題なんですよ? まぁ、見ていて下さい。僕が正しい頼み方というものをお見せしますから…」
眼鏡のブリッジを指先で軽く押し上げる岬は淡々と述べた後、後ろの追っ手から少し距離を離すべく一気にスピードを加速した――‥。
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