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第1章 月森ヶ丘自由学園

まったく、心外だ!

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岬は、ふと思い出し葵に目を向ける…


「――そう言えば、まだ名乗っていませんでしたね…?僕は一応、このクラスの学級委員をやらせてもらっている霧島 岬です」

僕は眼鏡をくいっと押し上げる


「僕は面倒な事が嫌いなので問題だけは起こさないように…

忠告はそれだけです」


「は、はぁ」

そう言う岬に、少し戸惑いを見せる葵。それを見ていた担任の結城は言う


「安心しろ、日向。霧島は問題さえ起こさなけりゃ、怒ることはないからな」

若干、引き気味だった葵にそう言う結城。

「は、はぁ…」


僕は葵の困惑な表情から時計へと目を移す…

「…3……2…‥1…」

  キ-ンコンカンコーン…


授業の終わりのチャイムが鳴った。

このHRで、二時間の授業を費やしたため、ちょうどお昼時。


「…さて、チャイムも鳴り終わりましたし…ちょうど良い時間帯ですね。

日向君、食堂を案内しましょうか?」


そう尋ねる僕に、葵は驚いたように一瞬、目を大きく開くが、また元の表情へと戻って、吃った口で言う

「お…、お願いします!!」


そう言う葵は、普通を装った顔をしているが…

僕には分かる。葵が僕が案内すると言ったときの表情を。あれは、僕がまさか案内するなんて思わなかったからだ!!あの一瞬の驚愕は間違いない。

まったく、心外だ!!いくら、僕が面倒くさがりやだからと言って、道も仕組みもわからない奴に何も教えないわけがないだろう!!


僕はそこまで落ちぶれちゃいない!!

「……行きますよ?」


僕は葵が付いてくるのを確認し、教室を後にする。

廊下を歩きながら、僕はこの学園の仕組みなどを説明しながら食堂へと足を運んだ――‥。
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