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序章 英国フォルティア学院

ハバネロは凶器!

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「あなたっ!」

――パンッッ!

「きゃっ!いッッたい… 何すんのよ!?」

レナの頬を叩いたのは…


「黙りなさい!あなた、それでもレディー!? 女というのは清らかで清楚、おしとやか、上品さを持ち合わせるもの…

それを… なに? あなたは自分の思うどおりにいかないからって、相手の意思を無視し、薬まで使って既成事実を作ろうとしたわ…

あなた、それでも女? まるで、礼儀のなっていない野蛮なゴロツキ連中と同じだわ」


冷ややかな声でレナを見据えるシフォンの母親にクリフェイドは少しながら驚いた


「……な゙っ!!?ちが『黙りなさい』

駆け付けてきた警官によってレナは連れて行かれた…… ギリッと歯ぎしりするレナのその目はヒドく憎悪に満ちていた-


「私はまだ諦めないんだから!!」

レナが警察に連行されるのを見届けると、まだ薬が効いているのだろうシフォンは、スヤスヤ…と眠る

「…起きませんね、どうします?」


伺うマコーネルに、なんなく答える

「これで起こす」

右手で懐に手を入れ、取り出したのは小さな小瓶。


それを軽く振ると、中に入っている赤とオレンジの混ざり合った液体がゆらゆらと揺れる……

クリフェイドは取り出した眼鏡をかけ、持っていたハンカチで自分の鼻と口を覆うと‥

キュポッ!と小瓶のゴム栓を抜き、シフォンの鼻へと近づけた。


――‥ その瞬間、


「ッ!… ケホッ!ケホッケホッケホッッッ!!! な… なんっ ぅ゙ッ!ケホッ!なんですか!?」

ガバッ!とシフォンはいきなりベッドから上半身を起こし、ヒドく噎(ム)せかえっていた…

「……………」

それを暫し無言で見ていたマコーネルはようやく口を開いた


「………何を嗅ぐわせたんです?」

「ハバネロをすり潰した、ただの液体だ」


しれっと言ってのけた。

「………ハバネロ、ですか」

ちゃっかり自分まで被害を被らないよう防衛するクリフェイドにずいぶん、用意がいいですね… とマコーネルはジト目。


「あ゙ー… これは、もともとストーカー撃退用に作った 試作品なんだ」

「ストーカー…… 撃退用、ですか。ずいぶん物騒なモノを持っていらっしゃいますね」

「いや、アイツには何も効かないから…」


「レナ・クロードがですか…?」

段々とマコーネルの顔が険しくなっていく。


…が、それに気づかないクリフェイドは‥

「アイツはまるでゴキブリ並の生命力で―『ほぅ…? 私はそんな話一度も聞いていないのですがねぇ?』


「Σはっ」

そこでクリフェイドは自分の失言にしまった!とばかりにバッ!!と口を押さえるが、もちろん遅かった‥。


「いや、別に僕は……っ! あ、シフォン目が覚めたか」

ヒドく噎せかえっていたがようやく落ち着きだしたシフォンに駆け寄る

「ケホッ! あれ…? 室長に‥‥ マコーネルさん?なんで此処に…」

「彼らがお前を助けてくれたのだよ」

目が覚めた息子に安堵するシフォンの父親、


「まぁ、いろいろとあったんだが…

一つ言えることはお前にもうストーカーは付き纏うことはないだろ」

「え…?」

いったい何が…?

そう目で問うシフォンにクリフェイドは顔をしかめ、


「お前は知らなくていい」

…というだけ。

「ま、そういうことですかね…」

マコーネルも口添えて言った。
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