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序章 英国フォルティア学院
なんで、こいつが知っているんだ!?
しおりを挟むその言葉にクリフェイドは無表情から一変、にこやかに笑う
『―― えぇ、もちろんですよ。そう言ってもらわなければ僕が困りますからね。クスッ-』
『え?』
『ウィークリー先生、恋人助けたいですよね?でしたら、もちろん‥』
カチャッ、
『明日のことで、僕に協力してくれますよね?』
眼鏡のブリッジを指先で軽く押し上げ、クリフェイドにレンズ越しに鋭く威圧されるような強い瞳に圧されたウィークリーは、ごくりと唾を飲み込んだ
『は、は……ぃッ』
それは有無言わさない笑顔での脅迫だった・・・。
ーーーーーー…
ーー…
はぁーっ…
「ま、そういうことだ。明日はよろしく」
クリフェイドは席を立ち、そう告げると足早々家に帰ろうと扉に手をかける。
………が、
― ガシッ!
誰かがクリフェイドの腕を掴んだ。
内心、首を傾げつつ振り返ると…
そこには、困惑を浮かべたノクスがクリフェイドの腕を掴んでいた
「…なんだ?」
「どうしたんです?ノクス」
自分以外の男の腕を掴むノクスに嫉妬を含んだ声で訊くセイシェルに、ノクスは冷や汗をかきつつも首を傾げるクリフェイドに掴み掛かった
「ダメだっち… 」
ノクスの声が小さく、聞き取れなかったクリフェイドは首を傾げ、問う
「何だって?」
「室長が無茶をする必要はないだっちぃぃいぃっっ!!!!」
今度は大声で叫んだノクスにクリフェイドどころか、部署にいた全員がノクスの声に振り向いた
もちろん、クリフェイドは僅かに焦燥の表情を伺わせ、顔をしかめていた。
特にマコーネルから痛い視線が向けられているクリフェイドにとって、今の状況はあまり好ましいとは言えない。
―― まずい。とりあえず、白を切るか-
「おい、何喚いてるのか知らんが、僕に意味がわからん話を吹っ掛けてくるな」
よし!この、堂々とした今の台詞に誰も怪しみやしないだろう。
……が、人生とはうまく行かないものだ--
「オレっち… オレっち、もう我慢できないっス!!!なんで、室長が動くっスか!?他の役員は、何もしてないっち!
他の役員らの仕事も熟してる室長が出る必要なんてないっス!!!仕事押し付けてる役員たちにやらすべきっス!!」
ちょっ… なぜ、こいつが詳しく知ってる!?
クリフェイドは見た。マコーネルの眼力が増したのを‥
「だいたい室長も室長だっち!!!!生徒に水ぶっかけられて何で黙ったままッスか!!!
それに今回の件だって、もともと室長には関係なかった話ッス!室長にちょっかいかける奴らなんスよ!?室長が助ける必要なんてないっち!!」
プンスカと珍しく興奮気味に怒る恋人のノクスにセイシェルは眉間を寄せた。そう、普段、あまり怒ることのないノクスがここまで興奮し怒りを表にすることがかなり珍しいのだ。
………ということは、そのめったに怒ることのないノクスをそこまで怒らせることがあった。言わば、よっぽど酷い目に合っているということだ 。
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