上 下
120 / 516
序章 英国フォルティア学院

なんで、こいつが知っているんだ!?

しおりを挟む

その言葉にクリフェイドは無表情から一変、にこやかに笑う

『―― えぇ、もちろんですよ。そう言ってもらわなければ僕が困りますからね。クスッ-』

『え?』

『ウィークリー先生、恋人助けたいですよね?でしたら、もちろん‥』

カチャッ、

『明日のことで、僕に協力してくれますよね?』

眼鏡のブリッジを指先で軽く押し上げ、クリフェイドにレンズ越しに鋭く威圧されるような強い瞳に圧されたウィークリーは、ごくりと唾を飲み込んだ

『は、は……ぃッ』

それは有無言わさない笑顔での脅迫だった・・・。

ーーーーーー…
ーー…

はぁーっ…

「ま、そういうことだ。明日はよろしく」

クリフェイドは席を立ち、そう告げると足早々家に帰ろうと扉に手をかける。

………が、

― ガシッ!

誰かがクリフェイドの腕を掴んだ。


内心、首を傾げつつ振り返ると…

そこには、困惑を浮かべたノクスがクリフェイドの腕を掴んでいた

「…なんだ?」

「どうしたんです?ノクス」

自分以外の男の腕を掴むノクスに嫉妬を含んだ声で訊くセイシェルに、ノクスは冷や汗をかきつつも首を傾げるクリフェイドに掴み掛かった

「ダメだっち… 」

ノクスの声が小さく、聞き取れなかったクリフェイドは首を傾げ、問う

「何だって?」

「室長が無茶をする必要はないだっちぃぃいぃっっ!!!!」

今度は大声で叫んだノクスにクリフェイドどころか、部署にいた全員がノクスの声に振り向いた


もちろん、クリフェイドは僅かに焦燥の表情を伺わせ、顔をしかめていた。

特にマコーネルから痛い視線が向けられているクリフェイドにとって、今の状況はあまり好ましいとは言えない。


―― まずい。とりあえず、白を切るか-

「おい、何喚いてるのか知らんが、僕に意味がわからん話を吹っ掛けてくるな」

よし!この、堂々とした今の台詞に誰も怪しみやしないだろう。

……が、人生とはうまく行かないものだ--


「オレっち… オレっち、もう我慢できないっス!!!なんで、室長が動くっスか!?他の役員は、何もしてないっち!

他の役員らの仕事も熟してる室長が出る必要なんてないっス!!!仕事押し付けてる役員たちにやらすべきっス!!」


ちょっ… なぜ、こいつが詳しく知ってる!?

クリフェイドは見た。マコーネルの眼力が増したのを‥


「だいたい室長も室長だっち!!!!生徒に水ぶっかけられて何で黙ったままッスか!!!

それに今回の件だって、もともと室長には関係なかった話ッス!室長にちょっかいかける奴らなんスよ!?室長が助ける必要なんてないっち!!」


プンスカと珍しく興奮気味に怒る恋人のノクスにセイシェルは眉間を寄せた。そう、普段、あまり怒ることのないノクスがここまで興奮し怒りを表にすることがかなり珍しいのだ。

………ということは、そのめったに怒ることのないノクスをそこまで怒らせることがあった。言わば、よっぽど酷い目に合っているということだ 。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

ザ・兄貴っ!

BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は… 平凡という皮を被った非凡であることを!! 実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。 顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴… けど、その正体は――‥。

副会長様は平凡を望む

BL
全ての元凶は毬藻頭の彼の転入でした。 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー 『生徒会長を以前の姿に更生させてほしい』 …は? 「え、無理です」 丁重にお断りしたところ、理事長に泣きつかれました。

生徒会補佐様は平凡を望む

BL
※《副会長様は平凡を望む…》 の転校する前の学園、四大不良校の一つ、東条自由ヶ丘学園でのお話。 ♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢ 『───私に喧嘩売ってるのでしょうか?』 南が前の学園で、副会長として君臨するまでの諸々、武勇伝のお話。 本人の主張する平凡とは言い難い非日常を歩む… そんな副会長サマもとい南が副会長になるまでの過程と副会長として学園を支配… 否、天下の副会長様となって学園に降臨する話である──。

和泉くんの受難

BL
『こっちへおいで…』 翁のお面を付けた和服の青年に手を引かれ、少年はその手を掴んだ。 ――――――――‥ ――‥ 「…ってことで、和泉くんにはそろそろ うちの学園に入ってもらいたいんですがねぇ」 「え、無理」 首を傾げる翁お面の青年に顔をしかめる。 「だって、俺は…」 遠い昔、人間であったことを捨てた少年は静かに溜め息ついた-

親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!

BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥ 『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。 人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。 そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥ 権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥ 彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。 ――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、 『耳鳴りすれば来た道引き返せ』

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

処理中です...