92 / 516
序章 英国フォルティア学院
どいつもこいつも… 僕は男だ!
しおりを挟む
「…なぁ、お前なんで気付いたんだ?」
クリフェイドに鋭い目を向ける…
「臭い、ですかね」
小さく息をついて言った
「あなたが使った隠し通路は旧隠し通路、陛下たちが知っているのはできてまだ新しい隠し通路。
ーー…旧隠し通路はその昔、この城で行われていた拷問部屋に通じていて、今は古株… 旧大臣らしか知らない通路、
理由は前国王がまだ生前のときにその通路を封印し、新たな隠し通路を作った。その新しい通路こそ、陛下がつい先日に使った通路。
恐らく、前の国王は臭いが不快だったのでしょう」
「……臭いだと?」
「例え、今使われていなくとも、以前は拷問に使われていた部屋、消臭しても消臭できないモノもあります。
特に【血】というのは、一度こびりつくと、なかなか取れません。コンクリートやカーペットなどに飛び散った血痕は、長年放置されることによって浸透していく。
ルミノール液をかけてみればわかりますよ。あちこちに残る血の痕が…。そして同じように長年放置された臭いは部屋そのものにこびりつく。
けど、そこまで強い臭いでもない。ですが、時々僕みたいな人間がいるんですよ。臭いに敏感な嗅覚の持ち主 が。
…恐らく、前国王も敏感な嗅覚を持っていたのでしょう。それに…
視たくないモノを視ないためにそこを封印したのではないのでしょうかね」
もういいですか? と首を傾げるクリフェイドに緊張感はゼロだ。
「…視たくないモノ?んだ、それ?」
男は首を傾げる
「拷問部屋ですよ?つまり、そこで殺された人間もいるわけです。ましてや、拷問され死んだ人間はさぞかし無念だったはず。
前国王は呪い師にお守りでも貰っていたのでしょう。その通路を使っても自身に何か起こらないために--
ですが、自分の身に何も起こらないとはいえ、視るというのにショックを少なからず受けていた前国王は呪い師に札を作らせ、忌まわしいあの通路を封印した。
そこまではよかったのですが、そんな理由など知るよしもない裏切り者の古株があなたに外に通じるその通路を教え、封印していた通路が開いてしまった‥
恐らく、体調の優れないアシス王子と今いないアゼル王子は少なからず、それに影響されているはず--
ならば、元の根源を断ち切ってしまえばいいだけの話…」
ですよね?とクリフェイドは男を見上げた。
「は?」
「だって、あなたはその呪い師か何かの息子か何かでしょう? オーラというか何か… ねぇ…
あれは無念が狭い箱に閉じ込められたに過ぎず、恐らく王家には呪いがかかっているでしょう?
ですが、あなたのお母様である呪い師が前国王にお守りを渡す以前に、呪いを抑える札を部屋に張っていた。前国王は知らなかったでしょうがね…
でなければ、今頃王家の血は途絶えていたはずです。積年の恨み・無念は大きな呪いへと変わる--
万が一の為に、その札は普通の人間の目に止まらない場所に張っている。
…あなたは呪い師を引退したお母様の頼まれて、札を張替えに来たのでは?計算すると、そろそろ札の替え時ですからね。ですが、あなたは教えて貰った通路を知らずして通ってしまった。そのときに張っていた札が少し破れたのでは?
封印が半分解かれ、今の状況となってしまった。とりあえず、混乱させないように… とアゼル王子のフェイスマスクを被って本人に成り済ました…」
男はクリフェイドの言葉にキョトンとした表情になると、腹を抱えて豪快に笑った。
「へぇ… 面白い奴だな?ただのガキかと思ってたら、頭は賢いみたいだし?
んで?他に気付いたことは?」
ニタニタと笑う目の前の男に、少し言い淀むと小さく息をついて言う
「…表では呪い師、裏稼業は――…という盗賊、ですよね?」
「んー…? あったま良いんだな、お前。うちの嫁に来ないか?」
「…………殴られたいですか?」
冷ややかな視線を送るクリフェイドに男は残念そうに大袈裟に肩を竦めた
「連れねぇ奴…」
と、ぼやく男にクリフェイドは、すました顔で男の足を踏み付けた。
クリフェイドに鋭い目を向ける…
「臭い、ですかね」
小さく息をついて言った
「あなたが使った隠し通路は旧隠し通路、陛下たちが知っているのはできてまだ新しい隠し通路。
ーー…旧隠し通路はその昔、この城で行われていた拷問部屋に通じていて、今は古株… 旧大臣らしか知らない通路、
理由は前国王がまだ生前のときにその通路を封印し、新たな隠し通路を作った。その新しい通路こそ、陛下がつい先日に使った通路。
恐らく、前の国王は臭いが不快だったのでしょう」
「……臭いだと?」
「例え、今使われていなくとも、以前は拷問に使われていた部屋、消臭しても消臭できないモノもあります。
特に【血】というのは、一度こびりつくと、なかなか取れません。コンクリートやカーペットなどに飛び散った血痕は、長年放置されることによって浸透していく。
ルミノール液をかけてみればわかりますよ。あちこちに残る血の痕が…。そして同じように長年放置された臭いは部屋そのものにこびりつく。
けど、そこまで強い臭いでもない。ですが、時々僕みたいな人間がいるんですよ。臭いに敏感な嗅覚の持ち主 が。
…恐らく、前国王も敏感な嗅覚を持っていたのでしょう。それに…
視たくないモノを視ないためにそこを封印したのではないのでしょうかね」
もういいですか? と首を傾げるクリフェイドに緊張感はゼロだ。
「…視たくないモノ?んだ、それ?」
男は首を傾げる
「拷問部屋ですよ?つまり、そこで殺された人間もいるわけです。ましてや、拷問され死んだ人間はさぞかし無念だったはず。
前国王は呪い師にお守りでも貰っていたのでしょう。その通路を使っても自身に何か起こらないために--
ですが、自分の身に何も起こらないとはいえ、視るというのにショックを少なからず受けていた前国王は呪い師に札を作らせ、忌まわしいあの通路を封印した。
そこまではよかったのですが、そんな理由など知るよしもない裏切り者の古株があなたに外に通じるその通路を教え、封印していた通路が開いてしまった‥
恐らく、体調の優れないアシス王子と今いないアゼル王子は少なからず、それに影響されているはず--
ならば、元の根源を断ち切ってしまえばいいだけの話…」
ですよね?とクリフェイドは男を見上げた。
「は?」
「だって、あなたはその呪い師か何かの息子か何かでしょう? オーラというか何か… ねぇ…
あれは無念が狭い箱に閉じ込められたに過ぎず、恐らく王家には呪いがかかっているでしょう?
ですが、あなたのお母様である呪い師が前国王にお守りを渡す以前に、呪いを抑える札を部屋に張っていた。前国王は知らなかったでしょうがね…
でなければ、今頃王家の血は途絶えていたはずです。積年の恨み・無念は大きな呪いへと変わる--
万が一の為に、その札は普通の人間の目に止まらない場所に張っている。
…あなたは呪い師を引退したお母様の頼まれて、札を張替えに来たのでは?計算すると、そろそろ札の替え時ですからね。ですが、あなたは教えて貰った通路を知らずして通ってしまった。そのときに張っていた札が少し破れたのでは?
封印が半分解かれ、今の状況となってしまった。とりあえず、混乱させないように… とアゼル王子のフェイスマスクを被って本人に成り済ました…」
男はクリフェイドの言葉にキョトンとした表情になると、腹を抱えて豪快に笑った。
「へぇ… 面白い奴だな?ただのガキかと思ってたら、頭は賢いみたいだし?
んで?他に気付いたことは?」
ニタニタと笑う目の前の男に、少し言い淀むと小さく息をついて言う
「…表では呪い師、裏稼業は――…という盗賊、ですよね?」
「んー…? あったま良いんだな、お前。うちの嫁に来ないか?」
「…………殴られたいですか?」
冷ややかな視線を送るクリフェイドに男は残念そうに大袈裟に肩を竦めた
「連れねぇ奴…」
と、ぼやく男にクリフェイドは、すました顔で男の足を踏み付けた。
0
お気に入りに追加
687
あなたにおすすめの小説
ザ・兄貴っ!
慎
BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は…
平凡という皮を被った非凡であることを!!
実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。
顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴…
けど、その正体は――‥。
生徒会補佐様は平凡を望む
慎
BL
※《副会長様は平凡を望む…》 の転校する前の学園、四大不良校の一つ、東条自由ヶ丘学園でのお話。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
『───私に喧嘩売ってるのでしょうか?』
南が前の学園で、副会長として君臨するまでの諸々、武勇伝のお話。
本人の主張する平凡とは言い難い非日常を歩む… そんな副会長サマもとい南が副会長になるまでの過程と副会長として学園を支配… 否、天下の副会長様となって学園に降臨する話である──。
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
和泉くんの受難
慎
BL
『こっちへおいで…』
翁のお面を付けた和服の青年に手を引かれ、少年はその手を掴んだ。
――――――――‥
――‥
「…ってことで、和泉くんにはそろそろ うちの学園に入ってもらいたいんですがねぇ」
「え、無理」
首を傾げる翁お面の青年に顔をしかめる。
「だって、俺は…」
遠い昔、人間であったことを捨てた少年は静かに溜め息ついた-
副会長様は平凡を望む
慎
BL
全ての元凶は毬藻頭の彼の転入でした。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
『生徒会長を以前の姿に更生させてほしい』
…は?
「え、無理です」
丁重にお断りしたところ、理事長に泣きつかれました。
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる