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序章 英国フォルティア学院

国王アクスとカリヤ

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――‥ チュン…

小鳥の囀りに目が覚めたクリフェイドはゆっくりと起き上がる…


そこで、ふと気がついた。

「…ここは… どこだ?僕は確か……」


顎に手を当て、ひたすら記憶を手繰り寄せるが… 朝に弱いこともあって中々頭が覚醒しない

だが、クリフェイドは嫌な予感がして堪らない…… 何せ、今いる部屋が異常に、まるで王室のようなきらびやかで……


―― ガチャ

そのとき、扉が開いた。クリフェイドが視線を扉のほうに移すとそこには――‥

憮然とした表情の金髪美形、鋭く威厳に満ち溢れた瞳…


威厳さを象徴とする衣装に、頭に乗る王冠

それは紛れもなく、亡くなった両親の後を若くして継いだ、この国の国王だった‥


コツ――‥

「目は覚めたようだな…」

威厳に満ちた瞳、20代後半という若さ…


初めて見た若き国王にクリフェイドは暫し呆然、

「我が名はアクス・キストラー……この国の国王だ。…して、お前は何者だ?」


スーッと細められた瞳にクリフェイドもといカリヤはたじろぐ。

ちょっと待て…


どういう経緯でこうなった?

途中、意識がシャットダウンしたクリフェイドにわかるはずがない


とりあえず、変装したままで助かったと心底安堵した。

「…カリヤ」

ベッドに上半身だけを起こした赤髪の黒縁眼鏡の少年に王は愉しげに眺める… その瞳がまるで肉食獣のようで、見られているカリヤにとっては居心地が悪かった。

「ほぅ… 面白い。

お前があの噂・・・のカリヤか?」


「…噂?」

言っている意味がわからず、首を傾げるカリヤに王はベッドの端に腰をかけた。
 
「世界一の情報屋で… 武道にも長けているとかないとか、世間を騒がせている名の売れた情報屋だ。

君のことだろう?」

    ふっ…

「まさか、部屋から抜け出して散歩していたら、全身、黒装束の君が気絶しているんだ…

普段はあまり動じることがない私だが、 さすがに驚いたぞ?」


……まずい。いろんな意味でまずいぞ…

昨夜は勝手に抜け出したとはいえ、家のほうは昴がなんとかしてくれているとは思うが… 説教は絶対だな…… はぁ‥。


「……で?

勝手ながら私の部屋に運ばせてもらったが、あの付いていた血はなんだ?

くくっ…

いや、正しく言えばあの返り血は、だがな?」


「……………」

カリヤは無言を貫く。その様子にアクスは小さく息をつく


「まぁ… 喋りたくないのなら無理に訊きはしないが……」

一端言葉を切って、ずぃっとアクスは顔をのぞき込んだ


「……にしてもまさか、カリヤがお前みたいな少年だとは思ってなかったがな。ククッ まぁ愉しければ何でもいい…」

憮然としながらも、浮かべる笑みは愉しげに歪められている‥


「…助けてもらったことには感謝する。だが、これ以上、世話になるつもりはない」

そう言って、ベッドから起き上がろうとしたカリヤの腕をアクスは掴んだ

「そうか…。だが、助けたことには変わりはない。礼をしてくれても構わんだろう…?」

「……何が望みだ?」

妖しく、妖艶な笑みを浮かべる王にカリヤの眉毛がピクリと動いた。

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