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序章 英国フォルティア学院

邪魔するなら力づくで!

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この男… やっぱり嫌いだ。

   くいっ!

ーーん?

内心ひそかにクリフェイドが悪態ついてると、くいっと袖を引っ張られた。ふと、顔を上げ視線を向けると――‥

アスベルが顔を赤くして、何やらもじもじしている‥

あー… 忘れてた。


「あの…っ…… えっと‥そ、のっ」

そういえば…


じっ…とクリフェイドは顔を赤くするアスベルとその隣で同じく赤い顔をした父親を見て、小さく息をつく。

そうだった‥。僕がこの部屋に来るまで二人共、理事長たちに身体弄られてたんだっけ?彼ら二人の今の心情としてはトイレに行きたいのだろうけど、状況が状況なだけに言いにくいってところか…

「ふぅー… まったく、とんだ邪魔が入って来ましたね。お陰で余興の愉しみにもならない。邪魔が入ったあげく、愉しみまで奪われた以上、ここに長居する理由はありません。早く寮へ帰りたいので、とっとと用件を済ませます」

カサッ…

そう言うと、クリフェイドは懐から二つの小さな密封した透明な袋を取り出した。

「そこの二人… 今すぐこれを飲みなさい」


クリフェイドが二人に渡したそれぞれの袋には薬らしき丸い玉が二つ、三つ入っていた

「えっ… なに、これ…」

アスベルは不安げにクリフェイドを見つめ首を傾げる

「なんだ、それは!?」

同じく、ヒューも怪訝な顔をする。

「見て分かりませんか?薬ですよ。貴方々二人に合った薬… 辛いでしょう?苦しいでしょう?僕が貴方たち二人の苦しみを解放してあげますよ。その薬で… "すぐに楽になれますから"」

デスクの上にどっかりと脚を組み腕を組むと、クリフェイドは目を細めると口角を突き上げて言った。


「このまま彼らの思うままに(トイレ)に行くなんて屈辱的でしょう?」


あいつらに弄られ躯でイくなんて…っ もう嫌だ!!

クリフェイドの説明不足。アスベルはクリフェイド説明不足の言葉に誤解したまま、震える手で袋を開ける…


―― これを飲んだら楽になれる――‥

アスベルはその薬を飲めば死ねると思った。

「ちょっとー!? えっなに!??君、犯罪を犯す気??いや、犯すにも警官の前でこんな堂々とやる!?」

「クリフェイド!? その薬は何だ!?飲ませて大丈夫なのか!??さっきの発言も些か気になるのだが…」

アゼルとヒューがこぞってクリフェイドに問う


そんな二人にクリフェイドは余裕な表情を浮かべて言った

「大丈夫ですよ。安心して下さい。なにせ、その薬は… 効果抜群な上に即効性の代物ですから、飲むとすぐに効果は現れるでしょう」

その言葉にアスベルの双方の瞳は不安で揺れる‥

「えっ… これで楽になれるって…!」

「えぇ、楽になれますよ。……もういいですか?僕も早く帰りたいんです。早く、二人共その薬を今すぐ飲んで下さい。

……従わなければ、少々強引な手を使ってでも飲ませますが」


二人 に向けられたクリフェイドの鋭く威圧されるような強い瞳に二人はたじろいだ-。

「ちょっ…!」

さすがにアゼルも止めようと間に入ろうとしたが… クリフェイドが赦さなかった。

「邪魔はさせませんよ」

  パチン!


指を鳴らした刹那、黒スーツを着用した数人の男たちが扉から入ってきた。

「任務の邪魔です。しばらくの間、彼らを取り押さえてなさい」

クリフェイドの言葉と同時に男たちは隙のない動作であっという間にその場にいた全員を取り押さえた

「クリフェイド!?これは一体なんだ!!!?」

「……ホント、育て方間違えたんじゃな?」

床に押さえつけられ身動き一つできないヒューやアゼルたち‥。だが、クリフェイドは平然と腕を組んだまま言った

「僕の任務の邪魔をするからでしょう…? 心配しなくても、用さえ済めば直ぐに放しますから暫くは大人しくしておいてください。大体、最初に言ったでしょう? 今までのは余興にすぎないと… あれ? 言ってませんでした?」

不敵な笑みを浮かべたまま、クリフェイドは床に押さえつけられたアゼルたちを見据えて言った。
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