室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

序章 英国フォルティア学院

ジル兄さんの教え

「へぇ? それにしても、家出少年の君がシュバルク…じゃ､ややこしいね。アクシオンの息子だったとはねぇ‥ しかも、あの噂の末っ子。
そのうえ、この学園の生徒だったとは… おまけに仕事の邪魔されるし。酷いよね」

はぁーあ‥ やれやれ、と手をひらひらさせるアゼルにクリフェイドの眉がﾋﾟｸﾘと吊り上がる

「何ですって…?

それを言うのなら、貴方々が僕の邪魔をしてるんじゃないですか。人の愉しみを奪っておいて… 僕は、理事長たちが今まで築き上げてきた地位も権力も名誉も財産も全て失い、どん底に堕ち､這う様を高見の見物でせせら笑う！

そんな僕の愉しみを奪うなんて、そっちこそ酷いんじゃないですか」

「「「「……………」」」」

ご機嫌ななめな顔でアゼルたちを睨むクリフェイド。それに対し、アゼルを含めた全員がしん…っと静まり返る。

そんな長い沈黙を最初に破ったのはアゼルだった‥

「あのさ、ヒュー。彼の育て方、間違えたんじゃない？」

「失礼ですね。僕は兄さんに、売られた喧嘩は買え、と‥。相手が二度と太陽を拝めないようにしてやれ、という言い付けを守ってるんですよ？そのどこが悪いんですか」

ク リフェイドの平然とした発言にヒューへ視線がいっせいに集まった。

「!? ま、待てっ 何を勘違いしている!!私じゃない!!!」

すぐさま自分に疑いの目が向けられていることに気付いたヒューは即答で否定する。

「誰もヒュー兄さんとは言ってませんよ。僕が言っている兄さんというのはジル兄さんのことです」

「ジルタニアス!? あいつ、クリフェイドにそんなことを言ったのか!?だめだ!!あいつも何を考えてる!!!クリフェイドが逆に強姦にでもあったらどうするんだ！」

…というヒューの心配をアゼルが即答で否定。

「いや、大丈夫でしょ！逆に相手が可哀相なんじゃない？」

「それ･･ どういう意味ですか？」


「んー？」

クリフェイドの冷ややかな問いにアゼルは、ﾆｺｯと笑顔で言った。


「そのままの意味だよ」


.