室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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序章 英国フォルティア学院

第二王子の第一印象は最悪でした。

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さらに険悪さが増したかと思ったそのとき――‥

「ちょっとさー、君たち。俺らの仕事横取りしないでくれる――?」

理事長室の仮眠室から、アスベルとアスベルの父親を引きずるようにして出てきた厳つい身体の理事長のSPの一人が言った。


ん、この声は――‥

トランシーバーから聞こえる声に王は耳を傾け、ほぅ… と面白げに目を細めた。

「は!?何ですか?!」

関係ない人間が口出ししないでください!!というクリフェイドに、目の前の厳つい身体の男は溜息つくなり、かけていた黒のサングラスを外し、着ていた上着を脱ぎ捨てる。
その上着と身体の間にはたくさんの詰め物が挟まっており、それを床に投げ捨てると男は厳つい身体からスマートな身体へと変わった。

コキコキ…

「あー… 肩凝った~。ったく、こっちは潜入捜査までしてたっていうのに、人の仕事を横取りするかなぁ?」

クリフェイドたちに嫌みを言う目の前の青年はまだ若い。年齢で言えば二十代前半くらいだ。肩まで伸びた綺麗な金髪を後ろで一つに束ね、クリフェイドに嫌みを言う目は碧の瞳。
クリフェイドは自分が関心持たないモノにはとことん興味がない。よって、 知ろうとしない。目の前の人物がそうだ…

クリフェイドの周りは突然現れた青年の正体に驚き唖然とするも、クリフェイドはただ首を傾げるばかりだった――‥。


「……………」

クリフェイドはただ無言で目の前の青年を見上げる

この、嫌みったらしい喋り方… 前に会ったことがあるような‥


クリフェイドの食い入るような視線に気づいた青年は片眉を吊り上げた

「え?なに??君、まさか俺のこと覚えてない? 俺と会うのはこれで二度目になるんだけどー… 覚えてないんなら、君の記憶力が悪いんじゃない??」


にこやかにクリフェイドに告げる金髪碧瞳の青年は黒い笑み・・

あ、思い出した…


「あなた…っ!あの時の、超嫌みな補導警官じゃないですかっっ!!!」

クリフェイドは、ポン!と手を叩く。

「…嫌みな補導警官だって?」

青年は口元をヒクヒク…

「"超"が抜けてますよ?……っていうか、大人気ないところは相変わらずなんですね。精神年齢はお幾つなんですか?」

これもまたクリフェイドも笑顔ではなく、無表情で聞き返す…


「君のほうこそ、ここの病院行ってきたら?欠陥だらけなんじゃない?」

自分の頭をコンコンと軽く指で叩き言う青年、もちろんクリフェイドも黙っちゃいない

「失礼ですね。あなたと一緒にしないで下さい。大体、僕は嫌いな人間しか記憶から抹消しないんです。脳に異常があるわけないでしょう」

暗にクリフェイドは、お前が嫌いだから忘れてたんだと言っているのだ。


「へぇ、そりゃあ気が合うねぇ…」

輝かしい笑顔で…

「俺も子供って嫌いだよ。特に君みたいに悪知恵が働いて可愛げがなくて…

"超"生意気な子供は特にね」

ーー言う青年はクリフェイドに仕返しとばかりに"超"の部分だけ特に強調していうところは…

見るからに、本当に大人気ない。


「く、クリフェイドっっ!!!殿下にその口の聞き方は…… って、いつ知り合ったんだ!?」

は?今なんて… 殿下って言った!?んな馬鹿なッッ!!!!こんな嫌みったらしい男が王子だって!?

ヒューの声を筆頭に…

「おい!そこの子供っ!!アゼル殿下に何だ!!その口の聞き方は!!!?」

「ちょっとちょっとー ? あのねぇ、今の俺は王子じゃなくてインターポール幹部なの!殿下って呼ばないでよ」

同じく潜入捜査していた警官がクリフェイドに突っ掛かる…


なんだって!?この嫌み補導警官が… インターポール幹部な上にアゼル王子!? アゼル王子って言ったら… 第二王子じゃないか!!!確か、前王が不運なる事故で亡くなって… 妃は病で亡くなり、二人の子供で当時、第一王子だった若き今の現王が後を継いで…

その現王には下が二人いて、二番目の王子がアゼル王子、三番目の王子が… アシス王子、だった気がする‥

じっ… と信じられない、まるでこの世の終わりだとアゼルを見上げるクリフェイド、

「言っとくけどねぇ家出少年、俺は実力でインターポールの幹部にまで昇ったの。…そんな疑わしげに見ないでくれる?」

初めて 知った奴の正体…


第二王子アゼルの印象はクリフェイドにとって最悪だったーー。
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