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第1章 月森ヶ丘自由学園
…というわけで、今からルージュ学院に行ってくれる?
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(……ノクス、)
そんな同僚に内心呆れ返るシフォン‥
『目指すは室長総受け計画っス!!!』
「勝手にやってろ!!一々くだらんことに僕を巻き込むな!!」
我慢の限界だったのか、クリフェイドは怒鳴った
『え~!?んじゃぁ…シフォンなら、いいっスか?』
電話ごしにブーブーと言いつつ、ノクスは計画の相手をクリフェイドからシフォンに乗り換えようとする、が…
「あ。それなら構わ「ちょっと待ってくださいよっ!!!!何故に俺を巻き込むんですか!」
クリフェイドの声を遮り、クリフェイドの手から電話を奪うと凄い剣幕でシフォンは怒鳴った。
『え~?んじゃぁ、やっぱり室長しかいないじゃないですかぁ~!オタクの変装グッズ、お兄さんに渡しておいたッスよ!着替えてレッツゴーッス☆』
「……な…ん……だ、と…? 」
『お、オイラ!室長の返答しだいでマコーネルさん達に口が滑るかもしれないっス!!』
クリフェイドの冷たく地を這うような低い声にノクスは慌てて、"マコーネルさん"のところと、"口が滑る"を強調して言った
(こ…コイツ、本気でありえない… 人の弱みに付け込みやがって… いつか締める!!!)
クリフェイドの瞳が一瞬、鋭くなった‥
(い…今一瞬だけ、クリフェイドの目に殺意が篭っていたような… あれ?やっぱり気のせい…かな?)
一瞬クリフェイドの目が鋭く見えたジルタニアスは目を摩る‥ が、やっぱり気のせいかな?と首を傾げていた。
(今一瞬だけですけど、本気で室長の殺意を感じましたね…。 何て言うか、ノクスの奴、自業自得?)
シフォンは呆れて何も言えなくなった‥。
「…わかった。お前の言うとおりにオタクの変装をすればいいんだろう? そのかわり、マコーネル達にバレないよう、さりげなく妨害とかはしてくれるんだろうな?」
でなければ、割に合わん…と言うクリフェイドにノクスは喜んだ
『も…もちろんッスよ!!!室長の総受け計画のためなら、全然OKっス♪』
「…じゃあ、父さんやウィンディバンク家に何らかの動きがあったら、報告。及び対処できる範囲は対処しろ。それができないようなら、この話しは無しだ」
『わ、わかったッス!!!オレっちに任せるスよ!」
電話ごしに聞こえるノクスの意気込む声にクリフェイドは、にやっ…と口角を上げる
「そうか。やってくれるか!!じゃあ、後のことは頼むな」
『イエッサー♪室長、誰か彼氏ができたら紹介してくださいっスね!!!オイラ、楽しみにしてるっス☆』
ピッ‥
ツーッツーッ…
言うだけ言うと、ノクスは電話を切ってしまった‥。
「………」
ずいぶん勝手なノクスに苛立ちはするも、今のクリフェイドには協力者が必要だ。そのため、ノクスの要求をのむことになったが‥
「室長、まさか本気でノクスの言うとおりに…?」
「まさか!ノクスは僕に用意した鬘と黒縁眼鏡でオタクルックに変装しろ、と言っただけでなにも、奴の言う王道?だっけか。BLとか総受けとか‥ならなくていいんだよ。あくまで、向こうはその計画のためにオタクに変装しろ!と言っただけだからな…。ようするに、バレるようなヘマをしなければいいだけの話しだろ?」
クリフェイドはそう言うが、シフォンの考えは違った。
(…いや、ぜーったいバレますって!!!室長…あんた、自信ありげに言ってますが、その自信の方はどっから来るんですか!?)
いっつも、肝心なところでバレる室長が……本性を隠し通せるわけありませんっ!!!なにより!あんたの、その性格上、必ず問題を起こすんです!
…なーんて、言いたくとも言えないシフォンは目を逸らした。
「話し、まとまったようだね‥。それじゃあ、さっそくクリフェイドはこれを付けて」
笑顔で渡すジルタニアス、クリフェイドは渋々ながらも受け取る‥
手に取ったものは、ふさふさな黒い鬘に黒縁眼鏡。
「………」
ジルタニアスから受け取り、さっそく装着してみたクリフェイドは理事長室に備えつけてある大きな鏡を覗き込む…
そして、鏡に映る自分の姿を見て無言になった。
(………オタクだ。いかにも、訳ありのオタクだ…)
クリフェイドは鏡に映る自分の姿に唖然とし、ショックを隠しきれない様子‥
まさか、前に族仲間に言われオタクの格好をしていた葵を進んで目立つ格好するなんて馬鹿ですか?と言ったが、オタクの変装をしていた葵に言った自分が、そんなまさかオタクの格好に紛することがあるなんて思いもしなかった‥
「…………」
いくら、ノクスの言うことを自ら呑んだとはいえ、自己嫌悪に陥るクリフェイドをシフォンは不安げに見つめていた――‥
(………本当に大丈夫なんでしょうか…;)
「クリフェイド、落ち込んでるところ悪いんだけど。その僕の、知り合いが経営してる学園なんだけど、ノクス君の言うとおり全寮制の男子校なんだ。
名前は、ルージュ学院。理事長の名は、セシェル・レナード」
その名前に反応を示したのは、クリフェイドではなくシフォンだった‥。
「兄さんの学園ですか」
「そ。シフォン君のお兄さんが経営してる学園に二人を入れるから」
「……はぁ。ですが、あの学園はあまり‥」
困惑を浮かべるシフォンに、クリフェイドはどうかしたのかと聞く。
「そうなんだよね~。あの学園、ちょーと問題あってね…」
そう話すジルタニアスにシフォンは、すかさず突っ込む‥
「ちょーと…どころの問題じゃありませんよ。世間的に、かなり問題があります」
ジルタニアスの言葉を訂正し言うシフォン、よっぽど問題のある学園なのか…
「あ~…やっぱり?
でも、気にしなかったら大丈夫かなぁ‥とかさ思うんだけど」
「……さすが、室長のお兄さんなだけありますね。言ってること無茶苦茶ですよ。経営者としても教育者としても最悪ですね」
(………そこまで言うほど、その学園はひどいのか!?)
クリフェイドは、シフォンの毒っぷりに話題の学園に行く気が失せてくる‥
「………そんなに酷いのか?シフォン」
「えぇ…。ルージュ学院は、この月森ヶ丘自由学園と同じような小中高大一貫校なんですけど、
一つ、問題がありまして…」
「問題?」
「えぇ。その問題というのは……
実は、教える立場の教師陣と授業を受ける生徒陣の仲が… すっごく悪いんですよ」
「………は? 問題って…それなのか!? 」
「そう言いますけど、とにかく酷いんです。授業は授業ではありませんし、生徒が教師に助けを求めても、悪ければ冷ややかな目で見られて無視。逆に教師が生徒に何か言っても生徒は教師に喧嘩を売るか、無視。とにかく問題ありすぎなんですよ。
室長の場合だと、生徒に苛められても教師は助けてくれないでしょうし…。とくに、その格好は……」
というシフォンの言葉にクリフェイドは何故かうんざりした。
(……今さら、断れないよな?なんて、面倒くさそうな学園なんだ…。話し聞いただけで行く気が失せる)
「……とまぁ、なぜか教師と生徒の間にある溝がまた深いらしく、学園がめちゃくちゃらしいですよ?毎年入学する新入生も、また二日と経たぬうちに環境のせいか、教師と敵対する在校生と同じように染まり、教師に敵対心を抱くんです
……兄さんが特に対策を取らなかったことも少なからず影響はあるかと思うんですけどね。ですが、教師と生徒が敵対しているといっても、他は普通の男子校と変わりません。……つまりですね、イジメ…リンチや強姦、レイプなどもあるわけですよ。
ですが、話したとおり…
教師と生徒は仲が悪いです。生徒が担任に泣きついても、こちらの知ったことか!と突き放されるわけです。
そこで、生徒会!
教師陣の頂点に立つのが『理事長』。つまり俺の兄で、生徒達の頂点にあるのが『生徒会執行部』なんです」
(………つーか、よくそんなんで学園の経営が成り立ってるな。僕はそこが不思議でたまらない。)
「まぁ、クリフェイドなら大丈夫でしょ-☆ イジメとか、ありえないし♪やられる前に相手をフルボッコにしちゃいそうだもん」
ニッコリ笑顔で言うジルタニアス、
「………そんなこと…ありませんよ?
クリフェイドは少し間を置いて言った‥。
「んーん…?? な~んか些か引っ掛かるけど、まぁいいや。頑張っておいで二人共。人生いろいろあるんだし、たくさん経験しなきゃ損するよ?
フォローは僕に任せて♪何かあったら連絡するし……してね?ルージュ学院は此処からだと、ちょーっと遠いからねぇ… 送迎させるよ」
――――――………
――…
クリフェイドとシフォンの二人が理事長室を出ると、入れ代わりに金髪の男がノック後、入ってきた‥
コンコン――‥
「いいよ?入ってきて」
ジルタニアスを聞くまでもなく、理事長室にズカズカと入ってきたのは――…
「…んで、俺をわざわざ呼び出したのは何でだ?」
超不機嫌そうに眉間を寄せるのは、ワックスで盛り上げた金髪。整っているが軽薄そうな顔立ちの…
「いや~ ごめんねぇ? いきなり呼んじゃって…って、やだなぁ;そんな露骨に嫌な表情しないでくださいよ?結城先生」
ホスト教師。…じゃなかった。日本警察潜入捜査官の結城 巧だった。
「……というわけで、今からルージュ学院に行ってくれる?」
(…………は!?)
「や、意味わかんねぇよ!!なんで、霧島の奴が行くからって俺までルージュ学院に行かなきゃならねぇんだよ!!お前、俺の本職忘れてねぇだろうな!?警官だぞ!け い か ん!!しかも、潜入捜査のっ!!!
前の学園長の事件は解決したんだ。俺には関係ねぇよ」
ジルタニアスの向かい側にある黒の高級感漂うソファーにドカッと座る
そんな彼にジルタニアスは笑顔で言った。
「あ~ それなら大丈夫。署長さんに既に結城君の貸し出し許可もらってるし♪」
「は!?なんだって!???」
ソファーに座って、くつろいでいた結城は勢いよく腰を上げてジルタニアスに詰め寄る…
「だから~ 僕が個人的に君を雇ってるってわけ。 分かる?? いや~ ごめんねぇ? 僕、君の上司の署長さんと旧友なんだよね♪結城君を貸して☆って言ったら、別にいいよ?って君の上司、署長さんが許可くれたんだ」
(あ……ありえねぇっ!!!俺の拒否権なしじゃねーかよ!? なっにが!別にいいよ?だよ!!!ざけんなっあの糞ジジイっっ!!!)
「ふふふ…
まぁまぁ怒らないでよ?これは、れっきとした依頼なんだから。勿論、給料も少し上乗せだからクリフェイドを宜しく頼むね…」
ジルタニアスの署長から許可をもらったという言葉から結城は何も文句言えず、ただ肩を落とすしかなかった──…。
第1章(完)
そんな同僚に内心呆れ返るシフォン‥
『目指すは室長総受け計画っス!!!』
「勝手にやってろ!!一々くだらんことに僕を巻き込むな!!」
我慢の限界だったのか、クリフェイドは怒鳴った
『え~!?んじゃぁ…シフォンなら、いいっスか?』
電話ごしにブーブーと言いつつ、ノクスは計画の相手をクリフェイドからシフォンに乗り換えようとする、が…
「あ。それなら構わ「ちょっと待ってくださいよっ!!!!何故に俺を巻き込むんですか!」
クリフェイドの声を遮り、クリフェイドの手から電話を奪うと凄い剣幕でシフォンは怒鳴った。
『え~?んじゃぁ、やっぱり室長しかいないじゃないですかぁ~!オタクの変装グッズ、お兄さんに渡しておいたッスよ!着替えてレッツゴーッス☆』
「……な…ん……だ、と…? 」
『お、オイラ!室長の返答しだいでマコーネルさん達に口が滑るかもしれないっス!!』
クリフェイドの冷たく地を這うような低い声にノクスは慌てて、"マコーネルさん"のところと、"口が滑る"を強調して言った
(こ…コイツ、本気でありえない… 人の弱みに付け込みやがって… いつか締める!!!)
クリフェイドの瞳が一瞬、鋭くなった‥
(い…今一瞬だけ、クリフェイドの目に殺意が篭っていたような… あれ?やっぱり気のせい…かな?)
一瞬クリフェイドの目が鋭く見えたジルタニアスは目を摩る‥ が、やっぱり気のせいかな?と首を傾げていた。
(今一瞬だけですけど、本気で室長の殺意を感じましたね…。 何て言うか、ノクスの奴、自業自得?)
シフォンは呆れて何も言えなくなった‥。
「…わかった。お前の言うとおりにオタクの変装をすればいいんだろう? そのかわり、マコーネル達にバレないよう、さりげなく妨害とかはしてくれるんだろうな?」
でなければ、割に合わん…と言うクリフェイドにノクスは喜んだ
『も…もちろんッスよ!!!室長の総受け計画のためなら、全然OKっス♪』
「…じゃあ、父さんやウィンディバンク家に何らかの動きがあったら、報告。及び対処できる範囲は対処しろ。それができないようなら、この話しは無しだ」
『わ、わかったッス!!!オレっちに任せるスよ!」
電話ごしに聞こえるノクスの意気込む声にクリフェイドは、にやっ…と口角を上げる
「そうか。やってくれるか!!じゃあ、後のことは頼むな」
『イエッサー♪室長、誰か彼氏ができたら紹介してくださいっスね!!!オイラ、楽しみにしてるっス☆』
ピッ‥
ツーッツーッ…
言うだけ言うと、ノクスは電話を切ってしまった‥。
「………」
ずいぶん勝手なノクスに苛立ちはするも、今のクリフェイドには協力者が必要だ。そのため、ノクスの要求をのむことになったが‥
「室長、まさか本気でノクスの言うとおりに…?」
「まさか!ノクスは僕に用意した鬘と黒縁眼鏡でオタクルックに変装しろ、と言っただけでなにも、奴の言う王道?だっけか。BLとか総受けとか‥ならなくていいんだよ。あくまで、向こうはその計画のためにオタクに変装しろ!と言っただけだからな…。ようするに、バレるようなヘマをしなければいいだけの話しだろ?」
クリフェイドはそう言うが、シフォンの考えは違った。
(…いや、ぜーったいバレますって!!!室長…あんた、自信ありげに言ってますが、その自信の方はどっから来るんですか!?)
いっつも、肝心なところでバレる室長が……本性を隠し通せるわけありませんっ!!!なにより!あんたの、その性格上、必ず問題を起こすんです!
…なーんて、言いたくとも言えないシフォンは目を逸らした。
「話し、まとまったようだね‥。それじゃあ、さっそくクリフェイドはこれを付けて」
笑顔で渡すジルタニアス、クリフェイドは渋々ながらも受け取る‥
手に取ったものは、ふさふさな黒い鬘に黒縁眼鏡。
「………」
ジルタニアスから受け取り、さっそく装着してみたクリフェイドは理事長室に備えつけてある大きな鏡を覗き込む…
そして、鏡に映る自分の姿を見て無言になった。
(………オタクだ。いかにも、訳ありのオタクだ…)
クリフェイドは鏡に映る自分の姿に唖然とし、ショックを隠しきれない様子‥
まさか、前に族仲間に言われオタクの格好をしていた葵を進んで目立つ格好するなんて馬鹿ですか?と言ったが、オタクの変装をしていた葵に言った自分が、そんなまさかオタクの格好に紛することがあるなんて思いもしなかった‥
「…………」
いくら、ノクスの言うことを自ら呑んだとはいえ、自己嫌悪に陥るクリフェイドをシフォンは不安げに見つめていた――‥
(………本当に大丈夫なんでしょうか…;)
「クリフェイド、落ち込んでるところ悪いんだけど。その僕の、知り合いが経営してる学園なんだけど、ノクス君の言うとおり全寮制の男子校なんだ。
名前は、ルージュ学院。理事長の名は、セシェル・レナード」
その名前に反応を示したのは、クリフェイドではなくシフォンだった‥。
「兄さんの学園ですか」
「そ。シフォン君のお兄さんが経営してる学園に二人を入れるから」
「……はぁ。ですが、あの学園はあまり‥」
困惑を浮かべるシフォンに、クリフェイドはどうかしたのかと聞く。
「そうなんだよね~。あの学園、ちょーと問題あってね…」
そう話すジルタニアスにシフォンは、すかさず突っ込む‥
「ちょーと…どころの問題じゃありませんよ。世間的に、かなり問題があります」
ジルタニアスの言葉を訂正し言うシフォン、よっぽど問題のある学園なのか…
「あ~…やっぱり?
でも、気にしなかったら大丈夫かなぁ‥とかさ思うんだけど」
「……さすが、室長のお兄さんなだけありますね。言ってること無茶苦茶ですよ。経営者としても教育者としても最悪ですね」
(………そこまで言うほど、その学園はひどいのか!?)
クリフェイドは、シフォンの毒っぷりに話題の学園に行く気が失せてくる‥
「………そんなに酷いのか?シフォン」
「えぇ…。ルージュ学院は、この月森ヶ丘自由学園と同じような小中高大一貫校なんですけど、
一つ、問題がありまして…」
「問題?」
「えぇ。その問題というのは……
実は、教える立場の教師陣と授業を受ける生徒陣の仲が… すっごく悪いんですよ」
「………は? 問題って…それなのか!? 」
「そう言いますけど、とにかく酷いんです。授業は授業ではありませんし、生徒が教師に助けを求めても、悪ければ冷ややかな目で見られて無視。逆に教師が生徒に何か言っても生徒は教師に喧嘩を売るか、無視。とにかく問題ありすぎなんですよ。
室長の場合だと、生徒に苛められても教師は助けてくれないでしょうし…。とくに、その格好は……」
というシフォンの言葉にクリフェイドは何故かうんざりした。
(……今さら、断れないよな?なんて、面倒くさそうな学園なんだ…。話し聞いただけで行く気が失せる)
「……とまぁ、なぜか教師と生徒の間にある溝がまた深いらしく、学園がめちゃくちゃらしいですよ?毎年入学する新入生も、また二日と経たぬうちに環境のせいか、教師と敵対する在校生と同じように染まり、教師に敵対心を抱くんです
……兄さんが特に対策を取らなかったことも少なからず影響はあるかと思うんですけどね。ですが、教師と生徒が敵対しているといっても、他は普通の男子校と変わりません。……つまりですね、イジメ…リンチや強姦、レイプなどもあるわけですよ。
ですが、話したとおり…
教師と生徒は仲が悪いです。生徒が担任に泣きついても、こちらの知ったことか!と突き放されるわけです。
そこで、生徒会!
教師陣の頂点に立つのが『理事長』。つまり俺の兄で、生徒達の頂点にあるのが『生徒会執行部』なんです」
(………つーか、よくそんなんで学園の経営が成り立ってるな。僕はそこが不思議でたまらない。)
「まぁ、クリフェイドなら大丈夫でしょ-☆ イジメとか、ありえないし♪やられる前に相手をフルボッコにしちゃいそうだもん」
ニッコリ笑顔で言うジルタニアス、
「………そんなこと…ありませんよ?
クリフェイドは少し間を置いて言った‥。
「んーん…?? な~んか些か引っ掛かるけど、まぁいいや。頑張っておいで二人共。人生いろいろあるんだし、たくさん経験しなきゃ損するよ?
フォローは僕に任せて♪何かあったら連絡するし……してね?ルージュ学院は此処からだと、ちょーっと遠いからねぇ… 送迎させるよ」
――――――………
――…
クリフェイドとシフォンの二人が理事長室を出ると、入れ代わりに金髪の男がノック後、入ってきた‥
コンコン――‥
「いいよ?入ってきて」
ジルタニアスを聞くまでもなく、理事長室にズカズカと入ってきたのは――…
「…んで、俺をわざわざ呼び出したのは何でだ?」
超不機嫌そうに眉間を寄せるのは、ワックスで盛り上げた金髪。整っているが軽薄そうな顔立ちの…
「いや~ ごめんねぇ? いきなり呼んじゃって…って、やだなぁ;そんな露骨に嫌な表情しないでくださいよ?結城先生」
ホスト教師。…じゃなかった。日本警察潜入捜査官の結城 巧だった。
「……というわけで、今からルージュ学院に行ってくれる?」
(…………は!?)
「や、意味わかんねぇよ!!なんで、霧島の奴が行くからって俺までルージュ学院に行かなきゃならねぇんだよ!!お前、俺の本職忘れてねぇだろうな!?警官だぞ!け い か ん!!しかも、潜入捜査のっ!!!
前の学園長の事件は解決したんだ。俺には関係ねぇよ」
ジルタニアスの向かい側にある黒の高級感漂うソファーにドカッと座る
そんな彼にジルタニアスは笑顔で言った。
「あ~ それなら大丈夫。署長さんに既に結城君の貸し出し許可もらってるし♪」
「は!?なんだって!???」
ソファーに座って、くつろいでいた結城は勢いよく腰を上げてジルタニアスに詰め寄る…
「だから~ 僕が個人的に君を雇ってるってわけ。 分かる?? いや~ ごめんねぇ? 僕、君の上司の署長さんと旧友なんだよね♪結城君を貸して☆って言ったら、別にいいよ?って君の上司、署長さんが許可くれたんだ」
(あ……ありえねぇっ!!!俺の拒否権なしじゃねーかよ!? なっにが!別にいいよ?だよ!!!ざけんなっあの糞ジジイっっ!!!)
「ふふふ…
まぁまぁ怒らないでよ?これは、れっきとした依頼なんだから。勿論、給料も少し上乗せだからクリフェイドを宜しく頼むね…」
ジルタニアスの署長から許可をもらったという言葉から結城は何も文句言えず、ただ肩を落とすしかなかった──…。
第1章(完)
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でも、コメントが凄く嬉しかったです!また、近々更新もするのでよろしくお願いします🙂