505 / 516
第1章 月森ヶ丘自由学園
次兄ジルタニアスは飄々と告げる
しおりを挟む「んで、どうするんだ?キリアンと崙も連れて行くか?」
満は崙を労る黒髪を束ねた少年を見てクリフェイドに聞く
「…どうする?とりあえず、崙とキリアンは下ろすべきだろ」
クリフェイドの考えにキリアンと呼ばれた黒髪を束ねた少年もそれに頷く
「えぇ、お願いします。ですが、まだ中国へ滞在する気は…? 我々ファミリーは貴方々を大いに歓迎しますが‥」
キリアンの言葉にクリフェイドは直ぐさま反応した
「いや、いい…。熱烈な歓迎はちょっと、な?それに、これ以上の面倒事は、ごめんだ。スクワット・ブランドンがいないのなら、足を運んだだけ、時間の浪費だと思ったりもしたが…… 、まぁアシスの奴を奪還しただけでも良しとしようか」
ふと、クリフェイドは、すっかり日が堕ちた空を見上げ…
そよ風を感じながら目を閉じた――‥。
──────………
───……
PiPiPiPiPi…
ピッ、
「…俺だ」
突然鳴り出す携帯にアクシオン・シュバルクは携帯を取るなり眉を吊り上げた
「…なんだって!?クリフェイドがお前の学園に通っている、だと!?」
携帯から漏れる相手の声を聞くなり、ヒューはすぐにわかった。
(…ジルタニアスか)
「なぜ、俺にそのことを報告しなかったんだ!!」
息子が自分の知らぬところで日本の学園に通っていたことが何よりショックな父、アクシオン‥。電話相手に怒鳴るも、相手は飄々と続ける。
『やだなぁ‥父さん。そう、カッカしないでよ?糖分摂った方がいいんじゃない?
あ!怒らないでよ?僕だって、僕の経営する学園の、学園長の不祥事を暴くことで忙しかったんだよ??』
「………」
アクシオンは無言。
『…なのにさぁ、何故か弟が暴いてくれちゃってるし、公に生中継されてるし。まあ、それは別にいいんだけどね。まさか、クリフェイドが僕の学園に入学してくるなんて思いもしなかったんだよ。…ま、学園長に任せっぱなしだった僕も悪いんだろうけど』
ごめんねぇ~?なんて、電話ごしに謝罪を入れる相手の男は全くもって、反省ゼロだった。
アクシオンに対し、こんなにも飄々とモノを言える奴はそうそういるもんじゃない…
それもそのはず、何を隠そうこの男…
「ジルタニアス」
『あれ?今の兄さんの声?それじゃあ、兄さんもそこにいるの?』
ジルタニアス・シュバルク。シュバルク家の次男坊。アクシオンの息子であり、ヒューの実弟。そして、クリフェイドの義兄に当たる月森ヶ丘自由学園の理事長だった。
「…それにしても、何故お前が日本に? 英国のフォルティア学院はどうした??」
英国にあるフォルティア学院もまたジルタニアスが経営している学園の一つ…。父、アクシオンは理由を知っていたようだが、兄のヒューは聞いていないのか、アクシオンから受け取った携帯で相手に問う
『あっれ~?兄さん聞いてない??僕、去年から日本で経営してた学園の理事長やり始めたんだけど‥』
「……聞いてないぞ?」
『おかしいなぁ?まぁいいや。別に大した理由はないんだけどね。ただ、日本の四季とか伝統とか文化とか、前々から興味深かったんだよね。
んで、思い切って、こっちの学園の理事長を務めることにしたんだ。Σあっ!フォルティア学院のことなら大丈夫だよ?向こうの学院は僕の第一秘書に任せてるし、何かと報告もさせてるしね』
ヒューが声を発する隙もなく、ジルタニアスのマシンガントークは尚も続く。
『あっ!そうそう…クリフェイドは僕が学園の理事長をやってること知らないと思うよ?』
「………なぜ、そう思うんだ?」
『ん~……。だってさぁ、あのクリフェイドだよ?僕らの顔を見るなり、"げんなりする"あの子だよ??僕がクリフェイドの通う学園の理事長だって知ってたら、他の学園に行ってるだろうし‥
知ったら知ったで、すぐにでも退学を申し出ると思うよ。まぁ、この僕がそんなの認めるわけないけど』
…そんな彼らの会話を聞いて伊集院たちは思った。
(いろんな意味で個性の濃い人達だな…)
それと同時にクリフェイドに軽く同情を抱く。そして、クリフェイドの立場を自分らに置き換えてみた彼らは思わず身震いする
――家出したくなる気持ちもわからなくない
などと、彼らが揃いも揃って同じことを思ったことなどシュバルク一家は知るはずもなかった――…。
0
お気に入りに追加
687
あなたにおすすめの小説
ザ・兄貴っ!
慎
BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は…
平凡という皮を被った非凡であることを!!
実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。
顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴…
けど、その正体は――‥。
生徒会補佐様は平凡を望む
慎
BL
※《副会長様は平凡を望む…》 の転校する前の学園、四大不良校の一つ、東条自由ヶ丘学園でのお話。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
『───私に喧嘩売ってるのでしょうか?』
南が前の学園で、副会長として君臨するまでの諸々、武勇伝のお話。
本人の主張する平凡とは言い難い非日常を歩む… そんな副会長サマもとい南が副会長になるまでの過程と副会長として学園を支配… 否、天下の副会長様となって学園に降臨する話である──。
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
和泉くんの受難
慎
BL
『こっちへおいで…』
翁のお面を付けた和服の青年に手を引かれ、少年はその手を掴んだ。
――――――――‥
――‥
「…ってことで、和泉くんにはそろそろ うちの学園に入ってもらいたいんですがねぇ」
「え、無理」
首を傾げる翁お面の青年に顔をしかめる。
「だって、俺は…」
遠い昔、人間であったことを捨てた少年は静かに溜め息ついた-
副会長様は平凡を望む
慎
BL
全ての元凶は毬藻頭の彼の転入でした。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
『生徒会長を以前の姿に更生させてほしい』
…は?
「え、無理です」
丁重にお断りしたところ、理事長に泣きつかれました。
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる