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第1章 月森ヶ丘自由学園

面白くなってきたネ!

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けれど、岬の正体を知りたいとも思う崙は正直、この状況が愉しくて堪らない。恐らくこの中で岬の正体を知っているメンバーと言えば、アシスとシフォンだけ。
もし、アシスに聞いた場合、あはは~とか言って何気なく躱す、かと言って、シフォンに聞けば隊長は隊長です!なんて、言って教えてくれないだろうネ…と崙は思う


「…にしても、銀髪君。どうするネ?ボスが起きないことには、どちらにせよ不利に変わりないヨ」

シフォンの隣に並ぶ崙は静かに口角を上げる。

「最も、ボスは殺させはしないけどネ!ヤるときは遠慮なく殺るネ。情け無用アル」

岬を気に入っている崙は勿論、そう‥やすやすと殺させはしない。普段はこの上なく怪しい中国商人をやっているが、その正体は何と言っても‥‥


───中国マフィアのボス。

そんな彼に気に入られた岬はというと、幸か不幸か‥それはまだ序章に過ぎない。

その崙の言葉にシフォンは眉を釣り上げた

「ちょっと!?崙さんっ貴方、なに、さりげなくヤる前提なんですか!!? しかも、ヤるが殺るになってますよ?!」

そんなの俺が許しません!!ってか、これ以上ややこしくしないで下さいっ!!!と崙に言うシフォンはもはや懇願に近かった

シフォンと崙が何やら揉めている最中、それを眺めていたアシスは上空から聞こえる音に気づく

「…ヘリねぇ‥‥まずいね。あれは……マスコミのヘリだし、いろんな意味で面倒なことになったねぇ」


アシスは上空を見上げ呟くと、今だ言い合っているシフォンと崙に呆れた目を向けた

「ねぇシフォン、いいのかい?マスコミのヘリが来てるんだけど…」

上空を見上げてシフォンに告げると、やっとヘリの存在に気づいたシフォンは慌てふためく

「な゙っ!? ちょっと、待ってくださいよ!!!なぜ、マスコミのヘリが!?FBIとかならともかく!!マスコミは想定外なんですけど;;」


(しかも、あれは……自国のマスコミメディアじゃないですか!!?)

シフォンは泣きたくなった。

青ざめるシフォンの隣では、先ほどまでシフォンと言い合っていた崙が秘かにほくそ笑んでいる。


(面白くなってきたネ!)

ヘリに気付いた結城は、おいおい‥‥嘘だろ;;と頭を抱える

伊集院達は、俄かに眉間を寄せていた


その上空では――‥


ババババ…

『…えー‥私達、英国のマスコミメディアは、死んだと思われていたスクワット・ブランドンが実は生きていて、中国上海にて潜伏しているという情報を手に入れ、今、そのスクワットのアジトと思われる建物の上空をヘリで旋回しています。

おっと、あれは‥‥FBIとCIAのヘリですね!! あれは、スナイパーでしょうか‥? 人質を取っている彼は、スクワットの部下の一人でしょうか。どうやらFBIとCIAはヘリから狙いを定めているようですが……

ッ!!あれは、もしや日本人?日本人が人質に取られているようですが、まさか彼らは人質まで撃つつもりなのでしょうか!!?

おや、他にも何人かいますね~……Σって、あ、あれはアシス・キストラー王子ではありませんか!!? いや、そんな王子がこんな場所にいるわけ‥‥いや、ですがあれはどう見ても王子にしか見えないのですが……俺の気のせいか?』

上空からヘリで地上の様子をリポーターをしていた男は目を擦り再度見るが、やっぱり王子にしか見えない‥

あげく、生中継中にカメラ担当の男に聞く始末。だが返ってきた言葉は‥‥


『いや、あれは王子に間違いないだろ。つか、何で王子が‥?;』

首を傾げるも、スクープだとばかりに目は生き生きとしていた。

「…まずい。かなりマズイです!!隊長が人質に取られている上、上空には自国のマスコミ。しかも、思いきりカメラがこっちに向いているじゃないですか!??」

シフォンは頭を抱えた


(ど、どうしたらいいんだ?!!こんなことマジで想定外なんだけど!? つか、ぜーったいアシス王子のことがバレてますよ!!!!)


一人百面相するシフォンを崙は愉しげに眺めていた。
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