上 下
478 / 516
第1章 月森ヶ丘自由学園

僕の邪魔をする気なら──…

しおりを挟む

────────………
────…

――…パァンッ


 カンッ!
          コロコロ…


弾が床に転がる--


「…新しく結成されたスネークのメンバーか?まさか、壁際に隠れていたとはな」


転がる弾と共に崩れ落ちていくのは、まだ若い男‥

「それとも、こういうべきか…

元中国マフィアのファミリーで、"崙"の部下だった裏切り者」


地下であるため、岬の声はより反響する。その岬の言葉に地面に臥せる男は悔しげに顔を歪ませる。


「あいにく、僕は君を相手にしているほど暇ではありません。思わぬ貴方の奇襲で学園長を逃がしてしまったんですから…。ですが、まぁ足の急所を狙いましたし、それに……その出血の量を見れば動けないことは、明白。

僕は崙とは知り合いですが、これは崙と貴方の問題。僕は関わる気は、これっぽっちもありませんので…とどめは刺しません。これ以上、邪魔をする気なら容赦しませんがね…」


とりあえず、貴方には眠っててもらいます、と岬は動けない男の首に素早く手刀を下ろした。

「…見失いましたか」

――…コツコツコツ、


男の意識を失くさせた後、逃げた学園長の後を追って、薄暗い道を歩く岬は時おり、ズレ落ちる眼鏡を押し上げ…


ただ、ひたすら歩いていた。


歩くごとに、目に映るたくさんの牢屋は年代が古いのか所々錆びていてボロボロだった‥

うっかり指が触れてしまえば、たちどころに柵が崩れるんじゃないかと思うほど───。



歩くに連れ、しだいに年代が古いモノばかりに姿を変えていく元鉄格子で囲まれた牢屋。

辺りは人の気配さえ感じないほどに静かだ。最初は警戒していた岬だが、何となく錆びた牢屋の奥に人の気配を感じた岬はそこに足を忍ばせた。


  ───その瞬間、

気配を感じた姿を目で捉えた岬は驚いてしまった。そして、その岬の一瞬の隙を反対側の牢屋に潜んでいた学園長が見逃す筈がなかった。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

ザ・兄貴っ!

BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は… 平凡という皮を被った非凡であることを!! 実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。 顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴… けど、その正体は――‥。

生徒会補佐様は平凡を望む

BL
※《副会長様は平凡を望む…》 の転校する前の学園、四大不良校の一つ、東条自由ヶ丘学園でのお話。 ♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢ 『───私に喧嘩売ってるのでしょうか?』 南が前の学園で、副会長として君臨するまでの諸々、武勇伝のお話。 本人の主張する平凡とは言い難い非日常を歩む… そんな副会長サマもとい南が副会長になるまでの過程と副会長として学園を支配… 否、天下の副会長様となって学園に降臨する話である──。

親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!

BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥ 『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。 人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。 そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥ 権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥ 彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。 ――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、 『耳鳴りすれば来た道引き返せ』

和泉くんの受難

BL
『こっちへおいで…』 翁のお面を付けた和服の青年に手を引かれ、少年はその手を掴んだ。 ――――――――‥ ――‥ 「…ってことで、和泉くんにはそろそろ うちの学園に入ってもらいたいんですがねぇ」 「え、無理」 首を傾げる翁お面の青年に顔をしかめる。 「だって、俺は…」 遠い昔、人間であったことを捨てた少年は静かに溜め息ついた-

俺の愉しい学園生活

yumemidori
BL
ある学園の出来事を腐男子くん目線で覗いてみませんか?? #人間メーカー仮 使用しています

モノマニア

田原摩耶
BL
非王道/受けにはデロ甘な鬼の堅物真面目眼鏡風紀委員長×攻めの前では猫被ってるデレデレ他にはスーパードライな元ヤン総長トラウマ持ちチャラ男固定CP寄りのがっつり肉体的総受け

副会長様は平凡を望む

BL
全ての元凶は毬藻頭の彼の転入でした。 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー 『生徒会長を以前の姿に更生させてほしい』 …は? 「え、無理です」 丁重にお断りしたところ、理事長に泣きつかれました。

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

処理中です...