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第1章 月森ヶ丘自由学園
上司にあること、ないこと話すって言ったのは、てめぇだろうが!!
しおりを挟む――パァンッ!
一つの銃声が鳴り響いた。
――… 今の銃声は‥
「まさかっ!」
シフォンは、聞こえた銃声に思わず足を止めた。だが、すぐに前へ目を向けると言った
「…行きましょう。隊長のことですし、大丈夫です。 俺は隊長にアシス・キストラー王子を安全な場所まで連れていくよう言われてるんで」
そう青年に言うシフォンだが、自分自身にも言い聞かせるようにも見えた。
「……シフォン、君はクリフェイドをずいぶん慕っているようだけど、上司が彼だと色々大変なんじゃない??」
くすっと微笑ましげに笑みを浮かべる青年、アシスは言う
「彼だけじゃなかったね‥。正しく言えば、マコーネルとクリフェイドの二人かな…? クスッ」
「えー…まぁ、色々と……って、なに言わせるんですか!」
アシスの言葉に上司の愚痴とも言える失言をうっかり吐いたシフォンは慌てて口を閉じる。それを見たアシスは腹を押さえて爆笑していた。
その光景を後ろから追っていた崙が不思議そうに見ていたことは知らない
「…何してるネ??」
不思議に思ったが、追っ手と遭遇することを危惧した崙は急いで二人の後を追った
――――――‥‥‥
――――……
――‥パァンッ!!
「今のは…銃声か!!」
ハッと顔を上げた結城は銃声がした方を睨む
「まさか…そや!!あっちには委員長達がっ」
幸村は慌てたしぐさで、結城に言う
「あっちには委員長がおんねん!!!」
「霧島が? 」
一瞬、目を開くも結城は、だったら急ぐぞ!と結城達を急かす
「それにしても、何故貴方々が…? 」
走りながら、柊兄は幸村に聞く
「そりゃあ、わいが聞きたいんやけど!なんで、アンタらがおんねん?」
「それは──…」
「俺が潜入捜査官だったことを知ってるだろ?」
柊の声を遮ったのは結城だった───。
「あれから俺は一度、署に戻ったんだよ。そしたら事態は急展開、学園長が身内に手を出したと、理事長が慌てて連絡してきてな、俺の上司が学園長が中国上海に潜んでるという情報を得ていたらしく、即、中国上海に行け!と‥。
容疑者の逮捕と人質?の解放の任務を受けたわけだが、どういうわけか生徒会の耳に入っていてな?脅されたわけよ、そこの柊兄にな…」
そういう結城は、はぁぁ…と疲れたような溜息を零す
「脅されたって…失礼なことを言わないでください。あれは、お願いです」
柊兄は心外だ!とばかりに結城を睨む
「あれが……願いだぁ?ざけんなっ!!!お前らを一緒に連れて行かなけれりゃ、上司にあること、ないこと話すって言ったのは、てめぇだろうが!!」
そんな柊に結城は掴みかかる勢いで言うが、
「知りませんね。私はただ、”お願い”しただけですし……。結城先生、何かやましいことでも?」
結城は悔しげに口をつぐんだ。それを見た柊は満足げな表情をしていたのを偶然にも目にした伊集院は結城に同情したのは言うまでもない。
「…んで、コイツらを上司に無断で連れて来てるからなぁ、見つかったら俺の立場がヤバくなる」
諦めたような溜息を漏らす結城に幸村は、無言でポン‥と肩に手を置く
そんな幸村の無言の慰めにも関わらず、結城は空を仰いだ。
「…はぁぁー‥。マジでどうしよ; 幸村らがいるなんて…、そもそも霧島の奴が原因なんだろうけど、んなこと関係ねぇぇっ!!!上司に見つかったら、クビは免れても減給モノじゃねーか!!くそっ!!こうなったら、先手必勝だ!
霧島を見つけしだい、てめぇらだけを先に日本に帰す!んで、俺は元学園長を誘拐と人身売買などの容疑で逮捕、もしくは強制連行……よしっ!いける!」
結城は拳をぐっ!と握り締め意気込んでいた。
――――――……
――‥…
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