サイレントキラー

花雨

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 第三章 本条 麗乃の凶気

 公園

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 『 おい…菜々子……遠くに離れるな……俺の見える所であそんでろ……たくっ…。』

 真鍋 遼太郎は愛娘の菜々子と一緒に近所の公園に来ていた。
 久々の休日と菜々子の学校の休日と重なったため、普段一緒にいてやれない思いから父親らしい事をしてやりたかったのだが、不器用な遼太郎は公園で遊ぶ菜々子を眺めながら自分の不甲斐なさを感じていた。
 それでも菜々子は公園で一人で遊びながらも、父、遼太郎と一緒にいられるその時間だけで満足していた……。

 『 菜々子……何て言うかな…… たまの休みでどっか連れってやりてぇんだがよ…
 いろいろと大人の事情ってもんがあってよ……何だ……
 こんな近所の公園で悪いと思ってるよ……。 』

 『 え?菜々子♪♪公園大好きだよ♪♪
 見てーパパー♪♪菜々子、ブランコでこんなに高く飛べるだよー♪♪………えい♪♪ 』

 その愛娘の菜々子をベンチでタバコを吹かしながら不器用な笑みを浮べている…。
 
 そこに公園を通り過ぎる本条 麗乃の姿があった。
 真鍋 遼太郎はその通り過ぎる本条 麗乃を一瞬目で追うのだが気付いていないようだ… 

 ふふふ…真鍋 遼太郎……また近いうちに会いましょ……
 娘の菜々子ちゃんも大きくなったわね…♪♪♪
 まぁ…しばらくはお預けして置いてあげる…遼太郎…… 
 さぁ……まずは私の存在を教えてあげないとね……

 本条 麗乃はまたこの銛王町で殺人を再開したのだ。
 舌を切られた死体がその数週間後に至る所で男女問わず8体もの遺体で発見されたのだ。
 もう本条 麗乃に殺人の美学などもうなかった……
 ただ無差別に人を殺す。
 真鍋 遼太郎に存在を分からせこの先、起こる前触れを丁寧にも奏で始めたのだ……。


 
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