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アレキサンドラ大陸は、3つの国で成り立っている。
技術を誇る軍事国家のアルディーラ帝国。
魔力に精通している宗教国家のソフィア聖王国。
美しい森林と大海により恵まれた大地と豊かな資源を持つ、グランバーグ王国。
3カ国は不可侵同盟を結び、長きにわたり、互いの国の発展のため、貿易や国交を行っている。
それぞれの国の政策や文化の違いはあるが、大きな争いはなく、国民も穏やかに暮している。
グランバーグ王国には2人の王子がいる。
正妃の嫡男であるカイル・シェイブエア・ラインハルト・グランバーグ。
艶やかな黒髪と透き通るような肌と麗しい尊顔は王妃から受け継いでいるが、国王に似た碧眼はグランバーグ王国を彩る空や海を彷彿とさせ、凜とした気品をもつ王子だ。
聡明で理知的であり、齢12歳でありながら、すでに国営の一部を任されており、国民からの信も厚い。
カイルは正妃の嫡男のため、王位継承権は第一位だ。
幼いながらも王族の風格を持ち、次期国王としての期待を一身に背負っている。
そして、側室の嫡男であるエドウィン・マクビティ・イルサジール・グランバーグ。
穏やかな優しさを放つ碧眼は側室に似ているが、太陽のように輝く金髪と可愛らしさの中に精悍さをもつ造形は、国王から受け継いだものだ。
負けず嫌いな努力家で、4つ年上の兄に負けまいと、勉学・武術ともに熱心に励んでいる。
王位継承権は第二位だ。王室内に派閥はあるものの、争いになるまでには発展していない。
一見、何も問題はないように思えるが、何故かカイルは、エドウィンに対して厳しい言動を取ることが多かった。
―――――― キンッ!!
鋼鉄な金属音を立てて、銀色の剣が放物線を描いて地面に突き刺さった。
エドウィンはしびれる両手を呆然と見つめ、震える身体を叱咤してゆっくりと振り返った。
そこには、まるで気配を感じさせることなく己の背後に立つ兄の姿があった。
「おまえはここで何をしている?」
カイルは氷のような冷たい視線で、エドウィンを一瞥した。
エドウィンは剣術の基礎練習のため、遅くまで素振りをしていた。
ここは剣術の訓練場だ。兄が何故、邪魔をするのか、責めるような視線を向けてくるのか、エドウィンにはわからない。
「・・・剣術の鍛錬です」
「おまえは鍛錬だと言うのか?闇雲にただ剣を振り回すだけの動作を繰り返すことが?」
「や、闇雲に振り回していた訳ではありません!僕は少しでも兄上に追いつきたくて、鍛錬をして・・・!」
「疲れて集中力が欠けた状態で剣を振り回すことは鍛錬とは言わない。無益な時間を過ごすな。師を仰ぎ、行動をしろ」
「無益な時間じゃ・・・ありません・・・!」
「無益だ。おまえのやり方では上達は見込めない。おまえは未熟だ。もっと学ぶがいい」
カイルはエドウィンの近衛騎士エレンに視線を送ると、そのまま踵を返して、その場を後にした。
技術を誇る軍事国家のアルディーラ帝国。
魔力に精通している宗教国家のソフィア聖王国。
美しい森林と大海により恵まれた大地と豊かな資源を持つ、グランバーグ王国。
3カ国は不可侵同盟を結び、長きにわたり、互いの国の発展のため、貿易や国交を行っている。
それぞれの国の政策や文化の違いはあるが、大きな争いはなく、国民も穏やかに暮している。
グランバーグ王国には2人の王子がいる。
正妃の嫡男であるカイル・シェイブエア・ラインハルト・グランバーグ。
艶やかな黒髪と透き通るような肌と麗しい尊顔は王妃から受け継いでいるが、国王に似た碧眼はグランバーグ王国を彩る空や海を彷彿とさせ、凜とした気品をもつ王子だ。
聡明で理知的であり、齢12歳でありながら、すでに国営の一部を任されており、国民からの信も厚い。
カイルは正妃の嫡男のため、王位継承権は第一位だ。
幼いながらも王族の風格を持ち、次期国王としての期待を一身に背負っている。
そして、側室の嫡男であるエドウィン・マクビティ・イルサジール・グランバーグ。
穏やかな優しさを放つ碧眼は側室に似ているが、太陽のように輝く金髪と可愛らしさの中に精悍さをもつ造形は、国王から受け継いだものだ。
負けず嫌いな努力家で、4つ年上の兄に負けまいと、勉学・武術ともに熱心に励んでいる。
王位継承権は第二位だ。王室内に派閥はあるものの、争いになるまでには発展していない。
一見、何も問題はないように思えるが、何故かカイルは、エドウィンに対して厳しい言動を取ることが多かった。
―――――― キンッ!!
鋼鉄な金属音を立てて、銀色の剣が放物線を描いて地面に突き刺さった。
エドウィンはしびれる両手を呆然と見つめ、震える身体を叱咤してゆっくりと振り返った。
そこには、まるで気配を感じさせることなく己の背後に立つ兄の姿があった。
「おまえはここで何をしている?」
カイルは氷のような冷たい視線で、エドウィンを一瞥した。
エドウィンは剣術の基礎練習のため、遅くまで素振りをしていた。
ここは剣術の訓練場だ。兄が何故、邪魔をするのか、責めるような視線を向けてくるのか、エドウィンにはわからない。
「・・・剣術の鍛錬です」
「おまえは鍛錬だと言うのか?闇雲にただ剣を振り回すだけの動作を繰り返すことが?」
「や、闇雲に振り回していた訳ではありません!僕は少しでも兄上に追いつきたくて、鍛錬をして・・・!」
「疲れて集中力が欠けた状態で剣を振り回すことは鍛錬とは言わない。無益な時間を過ごすな。師を仰ぎ、行動をしろ」
「無益な時間じゃ・・・ありません・・・!」
「無益だ。おまえのやり方では上達は見込めない。おまえは未熟だ。もっと学ぶがいい」
カイルはエドウィンの近衛騎士エレンに視線を送ると、そのまま踵を返して、その場を後にした。
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