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ヌーッティ危機一髪
2.あんこときなこ
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ヌーッティは一人で月見団子を食べていた。
もぐもぐもぐもぐ食べている。
真っ白な団子はほんのりお餅の味がして素朴な旨味があった。ヌーッティはこの味が好きであった。ヌーッティは団子を絶えず両方の手で取り、片方ずつ口へと運ぶ。
そこへ丸い陶器の器を抱え持ったトゥーリが駆け寄って来た。
「ヌーッティ! あんこを持ってきたよ。こしあんだよ」
ヌーッティは食べる手を止めずに、顔を上げてトゥーリを見た。
「ほぐほ? ほんへはへはいってははったふー?(訳・あんこ? なんで食べたいってわかったヌー?)」
口に団子を含みながらヌーッティは尋ねた。
「きなこもあるよ。食べる?」
トゥーリはにっこり微笑んだ。
「はへふふー!(食べるヌー!)」
そう答えるとトゥーリは元来た方へ走って行き、今度はきなこが入った赤色のバットを持って来た。
「いっぱい食べてね」
ヌーッティの目が輝いた。
いつもならこういう時、絶対トゥーリは怒るのに、何故か今日に限っては優しいとヌーッティは思った。その上、ヌーッティの思いを汲むかのようにあんこやきなこを持って来てくれたのである。
「はんへひょうはひゃひゃひいふー?(なんで今日は優しいヌー?)」
不思議な面持ちでヌーッティはトゥーリに尋ねてみた。
トゥーリは笑顔をヌーッティへ向けて、
「だってヌーッティのことだもん。わかるよ。今度は大根おろしで食べる?」
ヌーッティの頬が紅潮した。
「ふー!(ヌー!)」
ヌーッティの口の端からよだれが右腕の上に垂れた。
温かいような感触があった。
ヌーッティは床に置かれたススキの束に気が付いた。
むくりと起き上がった。
「団子……?」
きょろきょろとヌーッティは辺りを見回すと、視線の先、窓の下に台に置かれた団子があった。
窓の外には茜色に染まった空が広がっていた。
「……夢だヌー」
目を擦りながら、ヌーッティは残念そうに呟いた。
ヌーッティはアキにススキを飾ってくるよう頼まれて、団子を見ているうちに寝てしまったことを思い出した。
起き上がったヌーッティは床の上に放置されたススキを手に取ると、団子の横の花瓶に飾りつけた。
ヌーッティの手が自然と団子に伸びる。
そこへ、
「ヌーッティ! 早く手伝いに来て!」
別の部屋にいるトゥーリがヌーッティを呼んだ。
「今行くヌー!」
返事をしたヌーッティはドアへ駆けて行った。
ドアの前で振り返り、窓の方を見たヌーッティの顔は何か決心をしたような表情が浮かんでいた。
こうして時間はあっという間に経ち、空に月が昇り、お月見が始まる。
もぐもぐもぐもぐ食べている。
真っ白な団子はほんのりお餅の味がして素朴な旨味があった。ヌーッティはこの味が好きであった。ヌーッティは団子を絶えず両方の手で取り、片方ずつ口へと運ぶ。
そこへ丸い陶器の器を抱え持ったトゥーリが駆け寄って来た。
「ヌーッティ! あんこを持ってきたよ。こしあんだよ」
ヌーッティは食べる手を止めずに、顔を上げてトゥーリを見た。
「ほぐほ? ほんへはへはいってははったふー?(訳・あんこ? なんで食べたいってわかったヌー?)」
口に団子を含みながらヌーッティは尋ねた。
「きなこもあるよ。食べる?」
トゥーリはにっこり微笑んだ。
「はへふふー!(食べるヌー!)」
そう答えるとトゥーリは元来た方へ走って行き、今度はきなこが入った赤色のバットを持って来た。
「いっぱい食べてね」
ヌーッティの目が輝いた。
いつもならこういう時、絶対トゥーリは怒るのに、何故か今日に限っては優しいとヌーッティは思った。その上、ヌーッティの思いを汲むかのようにあんこやきなこを持って来てくれたのである。
「はんへひょうはひゃひゃひいふー?(なんで今日は優しいヌー?)」
不思議な面持ちでヌーッティはトゥーリに尋ねてみた。
トゥーリは笑顔をヌーッティへ向けて、
「だってヌーッティのことだもん。わかるよ。今度は大根おろしで食べる?」
ヌーッティの頬が紅潮した。
「ふー!(ヌー!)」
ヌーッティの口の端からよだれが右腕の上に垂れた。
温かいような感触があった。
ヌーッティは床に置かれたススキの束に気が付いた。
むくりと起き上がった。
「団子……?」
きょろきょろとヌーッティは辺りを見回すと、視線の先、窓の下に台に置かれた団子があった。
窓の外には茜色に染まった空が広がっていた。
「……夢だヌー」
目を擦りながら、ヌーッティは残念そうに呟いた。
ヌーッティはアキにススキを飾ってくるよう頼まれて、団子を見ているうちに寝てしまったことを思い出した。
起き上がったヌーッティは床の上に放置されたススキを手に取ると、団子の横の花瓶に飾りつけた。
ヌーッティの手が自然と団子に伸びる。
そこへ、
「ヌーッティ! 早く手伝いに来て!」
別の部屋にいるトゥーリがヌーッティを呼んだ。
「今行くヌー!」
返事をしたヌーッティはドアへ駆けて行った。
ドアの前で振り返り、窓の方を見たヌーッティの顔は何か決心をしたような表情が浮かんでいた。
こうして時間はあっという間に経ち、空に月が昇り、お月見が始まる。
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