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贈り物と心の変化

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ケガが治り、後遺症もなく何ら問題なく過ごせるようになった。

いよいよ、来月の頭から学園に通うことが決まった。

学園に通う前に、タイミングよく王妃様主宰のパーティーがある。

まずは、復帰をアピールする為に二人で王妃様のパーティーに参加しないか?とエリックが言うので、転生してから初めての社交デビューをする事となった。

体の記憶はあるから、粗相するような事はないと思うが···なにぶん前世では、パーティーなんて親戚の結婚式くらいしか経験がない。

私はとても緊張していた。

「私···ちゃんと出来るかしら?エリックの足を引っ張りそうで怖いわ。」

不安になる私の手を取り、優しく私の手にキスをするエリック。

「大丈夫だよ。私がちゃんとエスコートをするから。エレノアはパーティーを楽しむだけでいいんだ。美味しい料理もたくさん出るし、エレノアの大好きなスイーツも用意させるから一緒に楽しもう!」

この間から···エリックが甘々で困る。

文化の違いといえばいいのだろうか?
外国の人って···こういうスキンシップって普通なの?

手にキスしたりとか、髪の束を手に取りキスしたりとか、額にキスしたりとか、抱きしめてきたりとか···。

こんな距離感を私は知らないから···とても恥ずかしい。
どう反応していいのかわからないから困る。

私はエリックの行動に、頬を染める事しかできなかった。

エリックは、ケガが治ってからも前より少し頻度は減ったけど、まめに我が家へやって来る。

私が無理しないことを約束させたからだけど、ちょっと頻度が減ったのを寂しいなと感じてしまうのは、きっと気のせいだろう。

パーティーの前の日に、エリックからプレゼントが届いた。

箱を開けると──。

そこにはエリックの瞳の色と同じ色をした、綺麗な青いドレスが入っていた。

ドレスには、銀糸で美しい刺繍がしてあり、宝石を細かく砕いた物が吹き付けてあるのか、光が当たるとキラキラと細かな宝石が光って美しかった。

一緒に送られてきた小さな箱には、ドレスに合わせた揺れるデザインのサファイアのイヤリングと、美しくカットされたダイヤモンドが付いた可愛いデザインのネックレスが入っていた。

「エリックの瞳の色と一緒で綺麗な青ね。こんなに美しいドレス···私に着こなせるかしら?」

前世ではドレスを着る事なんてなかったから、綺麗なドレスを見て思わず微笑んでしまった。

少しだけ、パーティーが楽しみになった。


─────


いよいよパーティーの当日。


結構···ドレスって大変なのね。

今日は朝から、侍女のモニカが入念に肌の手入れをしてくれた。

香油って言うのかな?すごく良い香りがして気持ちが上がる。

良い香りに包まれた私を、屋敷の侍女数人でドレスを着せてくれた。

コルセットってこんなにギュウギュウするのか···。

ちょっとだけ、息をするのが苦しい。

美の為に、女性は昔から努力しているのね。
普段より華やかな装いに感嘆した。

ドレスが華やかなプリンセスラインのドレスなので、あまりゴテゴテした髪型ではなく、ドレスに合うようにふんわり···シンプルだけど華やかになるようにモニカがセットしてくれた。

鏡を見て思わず誰?って思うほど美しくセットされた髪や綺麗なメイクを見て驚いた。
全くセットしました!というような不自然さはなく、エレノアの本来の美しさを際立たせている。

貴族の侍女さんの技術ってすごいのね。

そして、ドリル頭じゃない事に密かにホッとした。


これなら、エリックからプレゼントされたイヤリングやネックレスが際立って良いかもしれない。

せっかくプレゼントしてもらった高価な物だから···。
大切に身に付けたい。

「エレノアお嬢様のネックレスはブルーダイヤなんですね?私ブルーダイヤなんて初めて見ました!」

モニカ以外の侍女さんが、次々に興奮気味にネックレスを珍しそうに見る。

ブルーダイヤってそんなに珍しいものなの?

「エレノアお嬢様は、エリック様にとても大切にされているんですね。ブルーダイヤなんて···高価すぎて、貴族でもなかなかお目にかかることも出来ない代物ですよ?」

侍女さん達が、皆微笑んで私を見る。

エリックはそんなに高価な物を私にプレゼントしてくれたの?

そっとネックレスに触れる。

胸がドキドキしてしまうのはどうしてだろう?

これを嬉々と選ぶエリックの姿が思い浮かぶ。

早くエリックに会いたいと思ったのは初めてだった。

エリックは着飾った私を見てどんな顔をするだろう?
私の事···少しは綺麗だって思ってくれるかな?

あんなにエリックを警戒していたのに···。


今一番会いたいと思うのは···エリックだった。


エリックを信じたい気持ちと、いつか裏切られてしまうかもしれない不安ですごく心が揺れている。

それでも、今はエリックに会いたい。
会ってドレスと装飾品のお礼を伝えたい。

そして今日だけは···。

攻略対象とか裏切られるとか···難しいことは何も考えずに、エリックとパーティーを楽しみたいとそう思った。




















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