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45話 海。
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その日は一日中宿のベッドで過ごすことになった。ミリナは幼いながらにわたくしから離れようとせず何かと世話を焼いてくれる。
「ブロアさん、お水を飲んでください!」
「このお薬が苦いからと言って残してはダメですよ?」
「パン粥を作ってもらったの。少しでも食べて」
「ありがとう……」
薬のおかげで体が少し軽くなってきた。これならあと少し旅もなんとか耐えられそうな気がする。
先生も何度となく顔を出してはわたくしの様子を見て「頑張りましょう、ブロア様…あと少しですから」と言って薬を手渡してくれた。
今までとは違うもっと不味い薬。
「先生、この薬はどこから仕入れてくるのかしら?」
「仕入れてなんていませんよ。毎回わたしが調合してるんです……」
「はあー、先生、まずは味覚からやり直した方がよろしいと思うわ」
「何を言っておる。毎回毎回、体調を崩すからそれに合わせて薬を煎じているのに……感謝して欲しいくらいですよ、それにわたしは飲みやすい薬を作るのも得意なんです」
(貴方の薬は特別な薬草ばかりで飲みやすくしてあげたくても無理なんですよ)
心の中で先生がそんなことを言ってるとは思っていなかった。
先生がニコッと笑った。
「仕方がないでしょう?先生のお仕事を減らすわけには行かないもの」
「それだけ話せるなら大丈夫かな……明日出発しますよ」
「先生……ありがとう……ヨゼフは?」
「ヨゼフならブロア様を見送ってから回り道して向かうと言っていました。今は馬車の手入れをしております」
「そう……わかったわ」
ミリナがこそっと話してくれた。
今回山越する道は、他国の者は簡単には通れない道らしい。
通行許可証は身分がはっきりとした者、それも前もって申請して許可を得なければ通れないらしい。
ミリナの父であるエイリヒさんは商会の当主として力を持っていて予備を2枚だけ発行されているらしい。その2枚を使うのにも条件があって身分がきちんと証明された者しか通れないと聞いた。
わたくしはまだ一応公爵令嬢で、先生も爵位がある。
ヨゼフや御者は平民ですぐに身元証明はできない。だから二人は正規の道から来るしかないのだと教えてもらった。
今回通る山道はそれくらい大変な工事だったのだろう。だからこそ、その山道を大切に長く使えるようにと配慮されているのだ。
明日に備えて少しでも横になっていようと過ごしたため、夜が眠れなくなってしまった。
ベッドを出て、床に立って歩けるのか確認した。
足に力が入る。
自分の足で立てることができた。
まだこれならあと少し生きていることができる。死ぬまでに海が見れる。
そう思うともう少し頑張ろうと思える。
綺麗な月が見えた。
雲一つない夜空。星がとても綺麗でじっと空を見上げた。
ーーお母様、憧れの海へあと少し……ネックレスは持っていけないけどお母様から頂いた日記だけは持って行くわ。
だから待っててね、
この体ではお母様の祖国にはいけそうもないわ………本当はお墓参りもしたかったのだけど……
次の日の朝、わたくしが乗る馬車は以前とは比べ物にならない。
豪華で作りもしっかりしていた。
中も座席は柔らかくてふわっとしていた。とても乗り心地がよかった。
「ブロア様がゆっくりと寛げるようにバタバタ間に合わせて用意しました。気に入っていただけて光栄です」
「わたくしの我儘を聞き入れて連れて行ってくださること、感謝しております」
「三日間、多少揺れると思いますができるだけ丁寧に運転するつもりですが……なにか気になることがありましたらお声掛けてください」
わたくしは海が見える街へと辿り着いた。
「ブロアさん、お水を飲んでください!」
「このお薬が苦いからと言って残してはダメですよ?」
「パン粥を作ってもらったの。少しでも食べて」
「ありがとう……」
薬のおかげで体が少し軽くなってきた。これならあと少し旅もなんとか耐えられそうな気がする。
先生も何度となく顔を出してはわたくしの様子を見て「頑張りましょう、ブロア様…あと少しですから」と言って薬を手渡してくれた。
今までとは違うもっと不味い薬。
「先生、この薬はどこから仕入れてくるのかしら?」
「仕入れてなんていませんよ。毎回わたしが調合してるんです……」
「はあー、先生、まずは味覚からやり直した方がよろしいと思うわ」
「何を言っておる。毎回毎回、体調を崩すからそれに合わせて薬を煎じているのに……感謝して欲しいくらいですよ、それにわたしは飲みやすい薬を作るのも得意なんです」
(貴方の薬は特別な薬草ばかりで飲みやすくしてあげたくても無理なんですよ)
心の中で先生がそんなことを言ってるとは思っていなかった。
先生がニコッと笑った。
「仕方がないでしょう?先生のお仕事を減らすわけには行かないもの」
「それだけ話せるなら大丈夫かな……明日出発しますよ」
「先生……ありがとう……ヨゼフは?」
「ヨゼフならブロア様を見送ってから回り道して向かうと言っていました。今は馬車の手入れをしております」
「そう……わかったわ」
ミリナがこそっと話してくれた。
今回山越する道は、他国の者は簡単には通れない道らしい。
通行許可証は身分がはっきりとした者、それも前もって申請して許可を得なければ通れないらしい。
ミリナの父であるエイリヒさんは商会の当主として力を持っていて予備を2枚だけ発行されているらしい。その2枚を使うのにも条件があって身分がきちんと証明された者しか通れないと聞いた。
わたくしはまだ一応公爵令嬢で、先生も爵位がある。
ヨゼフや御者は平民ですぐに身元証明はできない。だから二人は正規の道から来るしかないのだと教えてもらった。
今回通る山道はそれくらい大変な工事だったのだろう。だからこそ、その山道を大切に長く使えるようにと配慮されているのだ。
明日に備えて少しでも横になっていようと過ごしたため、夜が眠れなくなってしまった。
ベッドを出て、床に立って歩けるのか確認した。
足に力が入る。
自分の足で立てることができた。
まだこれならあと少し生きていることができる。死ぬまでに海が見れる。
そう思うともう少し頑張ろうと思える。
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ーーお母様、憧れの海へあと少し……ネックレスは持っていけないけどお母様から頂いた日記だけは持って行くわ。
だから待っててね、
この体ではお母様の祖国にはいけそうもないわ………本当はお墓参りもしたかったのだけど……
次の日の朝、わたくしが乗る馬車は以前とは比べ物にならない。
豪華で作りもしっかりしていた。
中も座席は柔らかくてふわっとしていた。とても乗り心地がよかった。
「ブロア様がゆっくりと寛げるようにバタバタ間に合わせて用意しました。気に入っていただけて光栄です」
「わたくしの我儘を聞き入れて連れて行ってくださること、感謝しております」
「三日間、多少揺れると思いますができるだけ丁寧に運転するつもりですが……なにか気になることがありましたらお声掛けてください」
わたくしは海が見える街へと辿り着いた。
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