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13歳の再会。
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領地での生活は楽しくて。
虫取りも木登りもかけっこも誰も怒ったりしない。
王都では、女の子らしくしていなさい、貴族令嬢としてお淑やかにしなさい。
毎日口煩く言われていたけど、領地での生活は毎日が楽しくて友達と笑い合って過ごした。
「みんなとお別れするのは寂しいわ」
「仕方がないだろう?セレン、また遊びに来いよ」
「戻ってきたらまた一緒にピクニックに行こう」
「セレン、王都では木登りは禁止だからな、わかったか?」
「もう、みんなと別れたくないよ……」
涙ぐみながらみんなとお別れ。
またいつか会おうって約束した。
「セレン、待って!一緒に行くって約束したじゃないの」
後ろから追いかけてきたのは隣の領地の侯爵令嬢のマリアナ。わたしと同じ13歳で3年間王立学院の高等部に入学する予定だ。
「ごめんなさい、でもマリアナの馬車は我が家と違って高級な馬車でしょう?一緒には無理ではないかしら?」
「あら?よくわかっているじゃない。うちの馬車に乗って行きましょうよ」
「遠慮させていただくわ。お兄様がお迎えに来てくださるの」
マリアナはどちらかと言うと我儘令嬢だと学校で言われていた。
威張り散らして人から何か言われるのを嫌がり、常に上から人を見下すように話す。
そんなマリアナが苦手で学校の生徒はあからさまに避けていた。
マリアナが「静かでいいわ」と寂しそうにしている姿に、何故かスティーブ様の姿を重ねてしまい放って置けなくて、気がついたら彼女の近くにいつもいた。
話しかけるわけでもなく、一緒に行動している訳でもない。だけど、何故か気になって離れられなかった。
そんなある日、学校内に外からの侵入者が。逃げ回っていた破落戸が門をぶち破って侵入したらしい
庭を歩いている時に運悪くマリアナ様が人質として囚われてしまった。
なんとか護衛の人たちに取り押さえられたのはいいけど、可愛いお顔から血が出ていた。
「わ、わたしの顔が……」
震えて涙声になったマリアナにそっと近づいて
「駄目、大きな声を出さないの。静かにしていて」
まだほとんどの人がマリアナの頬の切り傷に気がついていない。
「一瞬痛いけど我慢してね」
「えっ?…………あ、痛っ」
「もう大丈夫だよ」
マリアナは血が流れていた頬に手を当てた。
「血が止まっている……ズキズキしていた頬が……」
ーーわたしの癒しの魔法はどんな酷い怪我でも必ず治すことができる。
ただ癒しのくせに治す時は痛みが伴う。
こればかりは仕方がない。
「セレン、ありがとう。わたし……お嫁に行けなくなるところだったわ」
「このことは内緒。誰にも言わないでね」
それからマリアナはわたしに懐いた。
隣で文句を言いながらもいつもついて回る。
「セレンは頭がいいくせにのんびり屋さんなの。わたしがお世話をしてあげるしかないのよ」とぶつぶつ言いながら何かとお世話をしてくれる。
ハンカチを貸してくれたりお弁当をわたしの分まで持参してくれたり。
いつの間にかマリアナのそばにはたくさんの友人が出来ていた。
「わたし、一人でも平気なのに」と顔を赤くして嬉しそうにしているマリアナ。
みんなマリアナが少し口が悪くて怖く見えるだけだと気がついて彼女を大好きになっていた。
こうしてわたしの楽しかった学校生活は終わり、王都でまたあのスティーブ様の婚約者として過ごさなければいけなくなった。
お父様が何度となく婚約解消を申し出たけどやはり受け入れてもらえなかった。
ーーお父様、本気で解消のお願いをしてくれたのかしら?
少し疑いながらも、わたしは仕方なく今もスティーブ様の婚約者……だ。
この時は全く知らなかった。
お父様はスティーブ様の味方で、婚約解消をお願いするどころかスティーブ様にわたしの好きなものや好きな食べ物など勝手に情報提供をしていたことを。
だからお手紙には、王都であっている劇の話や作家の人の話が多かった。
わたしは劇を観に行くのが大好き。そして本を読むのも大好きなのだ。
さらにプレゼントはわたしの好きな青い物や本。
青い物ならなんでも大好き。
ペンやペンケース、服も小物も。
亡くなったお母様の瞳はわたしと同じ青い瞳。わたしよりももっと澄んでとても綺麗な瞳だった。
だからいつも気がついたらお母様の瞳の色を探していた。わたしの色ではなくお母様の色を。
届けられる物に罪はないのでいつもありがたく貰っていた。
手紙の返事はいつも
『元気です。贈り物ありがとうございました』
と書いているだけ。
だってなんて書いたらいいのかわからない。わたしが嫌われていることは確かなのになんと返事をかけと言うの?
マリアナの高級な馬車に揺られてわたし達は王都へ。
お兄様は「セレンがマリアナ嬢と帰るのなら僕はしばらく領地で仕事をしてから帰るよ」と仕事モードになって滞在を延ばすらしい。
そして伯爵家に着くと、お父様が待っていた。
その後ろには……
ーーえっ?えええ~?
スティーブ様⁈
3年間会っていなかったスティーブ様はさらに磨きがかかり元々お顔達がとても良かったのに、14歳になり少し大人に近づき始めたスティーブ様は、どこぞの王子様?と思うほどかっこよく成長していた。
「セレン、久しぶり。あの時はごめん」
いきなりの謝罪で驚いたけど、避け続けたスティーブ様も少しは性格良くなったのかしら?
虫取りも木登りもかけっこも誰も怒ったりしない。
王都では、女の子らしくしていなさい、貴族令嬢としてお淑やかにしなさい。
毎日口煩く言われていたけど、領地での生活は毎日が楽しくて友達と笑い合って過ごした。
「みんなとお別れするのは寂しいわ」
「仕方がないだろう?セレン、また遊びに来いよ」
「戻ってきたらまた一緒にピクニックに行こう」
「セレン、王都では木登りは禁止だからな、わかったか?」
「もう、みんなと別れたくないよ……」
涙ぐみながらみんなとお別れ。
またいつか会おうって約束した。
「セレン、待って!一緒に行くって約束したじゃないの」
後ろから追いかけてきたのは隣の領地の侯爵令嬢のマリアナ。わたしと同じ13歳で3年間王立学院の高等部に入学する予定だ。
「ごめんなさい、でもマリアナの馬車は我が家と違って高級な馬車でしょう?一緒には無理ではないかしら?」
「あら?よくわかっているじゃない。うちの馬車に乗って行きましょうよ」
「遠慮させていただくわ。お兄様がお迎えに来てくださるの」
マリアナはどちらかと言うと我儘令嬢だと学校で言われていた。
威張り散らして人から何か言われるのを嫌がり、常に上から人を見下すように話す。
そんなマリアナが苦手で学校の生徒はあからさまに避けていた。
マリアナが「静かでいいわ」と寂しそうにしている姿に、何故かスティーブ様の姿を重ねてしまい放って置けなくて、気がついたら彼女の近くにいつもいた。
話しかけるわけでもなく、一緒に行動している訳でもない。だけど、何故か気になって離れられなかった。
そんなある日、学校内に外からの侵入者が。逃げ回っていた破落戸が門をぶち破って侵入したらしい
庭を歩いている時に運悪くマリアナ様が人質として囚われてしまった。
なんとか護衛の人たちに取り押さえられたのはいいけど、可愛いお顔から血が出ていた。
「わ、わたしの顔が……」
震えて涙声になったマリアナにそっと近づいて
「駄目、大きな声を出さないの。静かにしていて」
まだほとんどの人がマリアナの頬の切り傷に気がついていない。
「一瞬痛いけど我慢してね」
「えっ?…………あ、痛っ」
「もう大丈夫だよ」
マリアナは血が流れていた頬に手を当てた。
「血が止まっている……ズキズキしていた頬が……」
ーーわたしの癒しの魔法はどんな酷い怪我でも必ず治すことができる。
ただ癒しのくせに治す時は痛みが伴う。
こればかりは仕方がない。
「セレン、ありがとう。わたし……お嫁に行けなくなるところだったわ」
「このことは内緒。誰にも言わないでね」
それからマリアナはわたしに懐いた。
隣で文句を言いながらもいつもついて回る。
「セレンは頭がいいくせにのんびり屋さんなの。わたしがお世話をしてあげるしかないのよ」とぶつぶつ言いながら何かとお世話をしてくれる。
ハンカチを貸してくれたりお弁当をわたしの分まで持参してくれたり。
いつの間にかマリアナのそばにはたくさんの友人が出来ていた。
「わたし、一人でも平気なのに」と顔を赤くして嬉しそうにしているマリアナ。
みんなマリアナが少し口が悪くて怖く見えるだけだと気がついて彼女を大好きになっていた。
こうしてわたしの楽しかった学校生活は終わり、王都でまたあのスティーブ様の婚約者として過ごさなければいけなくなった。
お父様が何度となく婚約解消を申し出たけどやはり受け入れてもらえなかった。
ーーお父様、本気で解消のお願いをしてくれたのかしら?
少し疑いながらも、わたしは仕方なく今もスティーブ様の婚約者……だ。
この時は全く知らなかった。
お父様はスティーブ様の味方で、婚約解消をお願いするどころかスティーブ様にわたしの好きなものや好きな食べ物など勝手に情報提供をしていたことを。
だからお手紙には、王都であっている劇の話や作家の人の話が多かった。
わたしは劇を観に行くのが大好き。そして本を読むのも大好きなのだ。
さらにプレゼントはわたしの好きな青い物や本。
青い物ならなんでも大好き。
ペンやペンケース、服も小物も。
亡くなったお母様の瞳はわたしと同じ青い瞳。わたしよりももっと澄んでとても綺麗な瞳だった。
だからいつも気がついたらお母様の瞳の色を探していた。わたしの色ではなくお母様の色を。
届けられる物に罪はないのでいつもありがたく貰っていた。
手紙の返事はいつも
『元気です。贈り物ありがとうございました』
と書いているだけ。
だってなんて書いたらいいのかわからない。わたしが嫌われていることは確かなのになんと返事をかけと言うの?
マリアナの高級な馬車に揺られてわたし達は王都へ。
お兄様は「セレンがマリアナ嬢と帰るのなら僕はしばらく領地で仕事をしてから帰るよ」と仕事モードになって滞在を延ばすらしい。
そして伯爵家に着くと、お父様が待っていた。
その後ろには……
ーーえっ?えええ~?
スティーブ様⁈
3年間会っていなかったスティーブ様はさらに磨きがかかり元々お顔達がとても良かったのに、14歳になり少し大人に近づき始めたスティーブ様は、どこぞの王子様?と思うほどかっこよく成長していた。
「セレン、久しぶり。あの時はごめん」
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