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元夫の執着からは……逃げだ………?最終話②
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ウェルシヤ国に帰るとすぐにメルリナの屋敷へと向かった。
祖父母の領地は少し遠いのでいつも帰る前に立ち寄って、メルリナの屋敷で世話になって過ごしている。
「久しぶり!」
「ほんと久しぶり!今日からお世話になるけど結婚式前なのにいいの?」
「何言ってるの!あなたのための離れがあるのよ?私がお嫁に行ってもここはあなたが帰ってくる場所よ?両親もあなたが帰ってくることを毎回楽しみにしてくれているわ」
「ありがとう。わたしもみんなに会えるのが毎回楽しみだわ」
「今日はヴァードが来るからみんなで夕食を食べようと思っているの、いいでしょう?」
「ヴァードにも会えるのね?楽しみだわ」
「ミルが私とヴァードとの縁を繋いでくれたのよ?感謝しているわ」
「まさか二人が結婚するなんて、驚いたわ」
ミルヒーナにとってメルリナの実家は我が家のようなものだった。
国を捨てオリソン国へ渡り、たまに仕事でウェルシヤ国へ帰ってくると仕事の打ち合わせもありメルリナの屋敷で過ごすようになると、メルリナの両親がミルヒーナのために離れを建ててくれた。
「ミルが気を遣わずに過ごせるだろう?」
メルリナの父がミルヒーナを娘のように思ってくれることに感謝した。
そしてヴァードとは魔道具を作る時に色々と相談に乗ってもらっていて、メルリナとも親しくなって行った。
ヴァードは昔っから本が大好きで世界中の書物を読んでいて彼の知識や発想は魔道具を作るのに役立つことが多かった。
国で文官をしていることもあり、国での魔道具の許可を取る時も書類の不備などのチェックもしてくれる。
ミルヒーナにとって今の生活が一番過ごしやすくて楽しい。
「みんなどうして結婚のことばかり言うのかしら?」
ミルヒーナが離れの部屋で愚痴っているとリラがクスクス笑い出した。
「ミルヒーナ様ももう22歳ですからそろそろお嫁入りの時期ですよ?」
「あら?リラだって一度お嫁に行ったのに舞い戻って来たじゃない?結婚なんていいものではないわよ」
「わたしは、元夫が浮気をしたから別れましたが、ミルヒーナ様はあんなにリヴィ様に愛されているのに別れたんじゃないですか?」
「愛されているって……よくわからないわ。リヴィはずっと意地悪だったもの……」
「それは昔のことでしょう?今のリヴィ様はミルヒーナ様にお手紙を送って来てずっと愛していると言ってくださってますよね?毎年誕生日に結婚の申し込みもして来ているし、毎月花束も送られてきます。それを逃げているのはミルヒーナ様でしょう?」
「だって……ねえ?今更だわ。もう終わったことなのに……」
「リヴィ様にはまだ終わっていないのだと思います。彼、ずっと拗らせまくってましたから。今なんか拗らせ過ぎて一周回って素直になって、気持ち悪いくらいミルヒーナ様を大好きだとアピールしてきていますよね?」
「そ、そうね、うん……気持ち悪いくらい…ねっ?」
「今回のメルリナ様の結婚式の時にはリヴィ様に嫌でもお会いすると思いますよ?流石に今回は逃げられませんよ?」
「わかってるわ……ずっと逃げ回っていたけど…今回はきちんと向き合うわよ」
「あの一つ聞いてもいいですか?」
「何?」
「ミルヒーナ様はリヴィ様のことをどう思っているのですか?」
「今?今は幼馴染で……ちょっと鬱陶しいから避けてはいるけど、一生の友人だと思ってるわ」
「そこに愛はないのですか?」
「わかんないの。リヴィとは色々あり過ぎて……それに離れていても、リヴィって存在感だけはあるのよね。忘れたくても忘れられないし……」
「わからない………ではリヴィ様がもうミルヒーナ様のことを諦めて他の女性と結婚しても平気ですか?」
「それも………わからないわ」
「そうなったらリヴィ様から毎月花束が贈られることもなくなりますし、お手紙も来ないでしょう。ましてや会うことはもちろん話すこともなくなると思います。国が離れているから偶然会うなんてこともないでしょうし……」
「そんなこと言われても……わからないわよ。だってリヴィとは一度離縁したのよ?今更だわ」
「………そうですか……」
リラはこれ以上何も言わなかった。
ミルヒーナも考えてはみるけどわからないのが本音。だって、もうリヴィを嫌うことはなくても結婚相手として考えることはないと決めつけていたから。
ミルヒーナ自身、考えてみたら人を愛したことがない……そう感じていた。
メルリナとヴァードの結婚式は王都から少し離れた郊外の教会で行われた。
緑豊かな自然に囲まれた教会にたくさんの参列者。その中にはリヴィの取り巻きだった令嬢達の姿もあった。そんな彼女達も結婚をして母になっていた。
もうあの頃のようにミルヒーナも絡まれることもなく互いに頭を下げることはあっても話をすることはなく結婚式は終わった。
それぞれの顔見知りで集まり談笑が始まる。
ミルヒーナは仕事でも付き合いのある魔道具師の友人達とテーブルを囲い楽しく話しながらお茶を飲んでいた。
リヴィは何度となくミルヒーナへ視線を向けるが他の人達に捕まりミルヒーナのところまでは行けずにいた。
(ミルの姿をやっと見れたのに……)
もう何度諦めようと思ったか……手紙を書いても花束を贈っても返事は『ありがとう』のお礼の言葉だけ。毎年ミルヒーナの誕生日にプロポーズするも会ってももらえず断られてばかり。
会いに行っても会ってもらえなくなった。
この5年間自分なりに努力をしてきた。
国の機関で働く魔術師となり、今は若くして筆頭魔術師の地位にまで上り詰めた。
父親のトーマスから伯爵の地位を受け継ぐために今は領地運営や事業の手伝いも始めた。
ただミルヒーナと自分の生活の場所があまりにも遠過ぎて結婚するとなると大きな問題があることもわかっていた。
イアンやイーサンのように王太子という地位を捨ててオリソン国で幸せに暮らすのも一つの方法だけど、リヴィはどちらも妥協せずに暮らせないか色々考えていた。
まだ返事すらもらえていないのに……いや、確かにお断りの返事は毎回もらっている。だけど……嫌いだとは言われていない。手紙も花束も突き返されていない。
受け取ってはくれているし、マックも苦笑しながら『望みを捨てなければ可能性はあるかもしれないな』と言ってくれる。
あのシスコンのガトラは気の毒で可哀想なものを見る目でリヴィをいつも見ている。
『リヴィ兄さん、姉上は押しに弱いので押しまくって……ちょっとだけ引いてみたらいいと思いますよ』とアドバイスをしてくれた。
だから今回ミルヒーナが戻ってきても一度も会いに行かなかった。
会ってもらえなくても今までなら何度も会いに通っていたのに今回はグッと堪えて会いに行かなかった。
久しぶりに見るミルヒーナはさらに美しく知的で周りの人達も気になるようでチラチラと様子を窺っている。
本当は『見るな!』と叫びたいのにミルは俺のものじゃない。……それどころかもうほとんど赤の他人……幼馴染に戻ろうと言ったのに俺が懲りずに迫りまくったから逃げられた。
リヴィはふと気がつくと独身の令嬢達に囲まれていた。同級生は結婚している人の方が多いが年下の令嬢たちはリヴィを狙ってなんとか親しくなろうと近づいてくる。
毎回適当にあしらってきた。今回もそのつもりで逃げようとした時、ついミルヒーナの方へと視線を向けてしまった。
ミルヒーナと目が合うとパッと逸らされた。
別にお互いの間には何もない。リヴィにたくさん令嬢が集まってベタベタとくっつかれても誰にも文句など言われることはない。
だけど……あからさまに目を背けられて胸がズキッと痛んだ。自分が好んで令嬢達といるわけでもないのに、悪いことをした気分になった。
「……ミル…………」
ミルヒーナには聞こえることはないのをわかっていてもつい名前を呼んでしまった。
「リヴィ様?どうされたのですか?」
「もう!そんな顔をされたらびっくりするわ!」
「そんな顔?」
一人の令嬢に言われた言葉にどんな顔をしているのだろうと聞くと。
「…………まるで誰かにフラれたみたいな顔ですわ」
「……フラれた?そうか……」
(俺は……もう諦めるべきなのか?)
なかなか決心がつかず女々しいとわかっていても最後と決めているプロポーズの日を伸ばしてやり過ごしてきた。
(ミルに最後のプロポーズをして……)
結婚式が終わりパーティーで賑わうなかリヴィはミルヒーナの座るテーブルへと足を進めた。
「ミル、久しぶりだね」
「……リヴィ……久しぶりね」
「もうすぐオリソン国へ戻るんだろう?」
「もうこちらでの用事は終わったから……明日か明後日には帰るつもりなの」
「そんなに早く……?」
「もう何もすることはないから」
「今日、パーティーが終わったら帰る時俺に送らせてもらえないか?」
(断られるのをわかっていても…やはり少しでもミルといたい)
ガトラには引いてみてはと言われたけど、この国にいるのに会えないで、もうさよならするなんて無理だった。
「リヴィ……ええ、そうね、お願いしてもいいかしら?」
「もちろんだ、帰る時に声をかけてくれ」
「リヴィ様!」
「あちらでお話ししましょう」
リヴィがミルヒーナと話している間を割って令嬢達が話しかけてきた。
「悪いが君たちとのんびり話す暇はない。俺ではなく他の人を誘った方がいいと思う」
「………えっ?……いいの?」
ミルヒーナは驚いた顔をしてリヴィを見つめた。
「………?」
リヴィはそんなミルヒーナの顔を不思議そうに見返した。
「いつものリヴィなら取り巻きに対してとても優しい対応をしていたはずだわ」
「ああ、さっきから鬱陶しいくらい引っ付いてくるんだよね。面倒だから適当に返事してたら面白くないのかみんないなくなってホッとしてたんだけど、ほんと次から次へと湧いてくるよね、俺はミルしか見えていないのに」
「…………そ、そう?」
ミルヒーナはどう返事をすればいいのかわからず口籠もりながらも何故かホッとした顔をしていた。
ーーリヴィは令嬢達に囲まれて楽しいのかと思ってたのに。いつもならすぐにわたしに会いにきてくれるのに来てくれないからもう呆れられて諦めたのかと思ってた。
ーーわたしが意地っ張りで素直じゃないから会わずに避けていたし……
帰りはリヴィのところの馬車に乗りメルリナの屋敷の離れに送ってもらった。
「ミル……」
リヴィの声はいつもと違い緊張しているのがわかった。
「リヴィ、どうしたの?」
「本当は色々準備してから言うつもりでいたんだ。でも明日には帰るかもしれないと聞いたから……」
リヴィは数分黙ったまま立っていた。
ミルヒーナもどうしていいのかわからず立っているしかなかった。
「………俺と結婚してください………」
(もうこれで最後のプロポーズにする。だけどそのことはミルには伝えない……ミル……には同情なんてして欲しくないし…)
「リヴィ……今まで逃げてばかりのわたしなんて嫌にならない?どうしてまだプロポーズしてくれるの?わからないわ……わたし……わからないの」
「ミル……ごめん、君にそんな辛い顔をさせたくてプロポーズをしてた訳じゃない。だけど……君にとって迷惑なら……忘れて欲しい」
(もう諦めるから……)
「忘れる?どうやって?生まれた時からずっと一緒で……どんなに離れて過ごしても何故かリヴィに言われたことや、されたことを忘れられなくて……会うとやっぱり意地悪で、なのに気がつけばリヴィはいつもわたしの近くにいて……わかんないよ。
でも……いつもならどんなに逃げても無理やり会いに来てくれるのに今回は一度も会いに来てくれなかった……」
片方の唇を噛んで涙を堪えるミルヒーナ。そんな姿がリヴィは辛くてまた「ごめん」としか言えない。
「謝って欲しいのではないの……わたし……ずるいの、会わないくせに会いに来てくれないリヴィにショックを受けたの。今日だって話しかけてもくれないリヴィに腹が立って、令嬢達と楽しそうにしていたリヴィに………ヤキモチ妬いて……なのに令嬢に冷たくあしらう態度を見てホッとしたの……この気持ちって何?わかんないよ」
「……それって……」
(俺のこと好き……?)
「ミル………俺はミルを愛してる。結婚しよう!もう絶対間違えないから!ずっとミルを大切にする。俺のこと……好きになって……ううん、好きになってもらう……自覚してもらう」
「………で、でも………」
「大丈夫!俺なんのために魔導士になったと思うんだ?ミルのいるオリソン国とこの国の行き来を簡単にできる魔法陣を見つけ出したんだ……寂しい思いはさせない……毎日会いにくるから……ミルのいる場所へ瞬間移動するために魔法陣を描いておけばいつでも会いに来れる。だから今まで通りの生活のままでもミルといられるんだ」
「このままで?ずっとオリソン国に住んでも会えるの?」
「うん、俺は毎日ミルに会いたい」
「わたしも……会いたかったわ……もう嫌われたんだと思ってた」
「じゃあ、結婚してくれる?」
「う……うん……わたしのこともう嫌わないでね?ずっと一緒にいてくれる?」
「当たり前だ!好きなんだ、もう離さない」
リヴィに抱きしめられてミルヒーナは顔まで真っ赤になってしまった。
だって周りにはメルリナの家族や使用人がいて「おめでとうございます」とみんなからお祝いの言葉を言われるのだもの。
わたし……リヴィと結婚します。
終わり
読んでいただきありがとうございました。
二人の結婚生活を少しだけ番外編で書けたらいいなと思っています。
ミルヒーナにとってリヴィは幼馴染で友人でそれ以上の存在なのに、お互いが拗らせ過ぎて大切な人だと気がつけずに過ごしていました。
周囲はみんな二人が両思いだと気がついていたんだけど……
祖父母の領地は少し遠いのでいつも帰る前に立ち寄って、メルリナの屋敷で世話になって過ごしている。
「久しぶり!」
「ほんと久しぶり!今日からお世話になるけど結婚式前なのにいいの?」
「何言ってるの!あなたのための離れがあるのよ?私がお嫁に行ってもここはあなたが帰ってくる場所よ?両親もあなたが帰ってくることを毎回楽しみにしてくれているわ」
「ありがとう。わたしもみんなに会えるのが毎回楽しみだわ」
「今日はヴァードが来るからみんなで夕食を食べようと思っているの、いいでしょう?」
「ヴァードにも会えるのね?楽しみだわ」
「ミルが私とヴァードとの縁を繋いでくれたのよ?感謝しているわ」
「まさか二人が結婚するなんて、驚いたわ」
ミルヒーナにとってメルリナの実家は我が家のようなものだった。
国を捨てオリソン国へ渡り、たまに仕事でウェルシヤ国へ帰ってくると仕事の打ち合わせもありメルリナの屋敷で過ごすようになると、メルリナの両親がミルヒーナのために離れを建ててくれた。
「ミルが気を遣わずに過ごせるだろう?」
メルリナの父がミルヒーナを娘のように思ってくれることに感謝した。
そしてヴァードとは魔道具を作る時に色々と相談に乗ってもらっていて、メルリナとも親しくなって行った。
ヴァードは昔っから本が大好きで世界中の書物を読んでいて彼の知識や発想は魔道具を作るのに役立つことが多かった。
国で文官をしていることもあり、国での魔道具の許可を取る時も書類の不備などのチェックもしてくれる。
ミルヒーナにとって今の生活が一番過ごしやすくて楽しい。
「みんなどうして結婚のことばかり言うのかしら?」
ミルヒーナが離れの部屋で愚痴っているとリラがクスクス笑い出した。
「ミルヒーナ様ももう22歳ですからそろそろお嫁入りの時期ですよ?」
「あら?リラだって一度お嫁に行ったのに舞い戻って来たじゃない?結婚なんていいものではないわよ」
「わたしは、元夫が浮気をしたから別れましたが、ミルヒーナ様はあんなにリヴィ様に愛されているのに別れたんじゃないですか?」
「愛されているって……よくわからないわ。リヴィはずっと意地悪だったもの……」
「それは昔のことでしょう?今のリヴィ様はミルヒーナ様にお手紙を送って来てずっと愛していると言ってくださってますよね?毎年誕生日に結婚の申し込みもして来ているし、毎月花束も送られてきます。それを逃げているのはミルヒーナ様でしょう?」
「だって……ねえ?今更だわ。もう終わったことなのに……」
「リヴィ様にはまだ終わっていないのだと思います。彼、ずっと拗らせまくってましたから。今なんか拗らせ過ぎて一周回って素直になって、気持ち悪いくらいミルヒーナ様を大好きだとアピールしてきていますよね?」
「そ、そうね、うん……気持ち悪いくらい…ねっ?」
「今回のメルリナ様の結婚式の時にはリヴィ様に嫌でもお会いすると思いますよ?流石に今回は逃げられませんよ?」
「わかってるわ……ずっと逃げ回っていたけど…今回はきちんと向き合うわよ」
「あの一つ聞いてもいいですか?」
「何?」
「ミルヒーナ様はリヴィ様のことをどう思っているのですか?」
「今?今は幼馴染で……ちょっと鬱陶しいから避けてはいるけど、一生の友人だと思ってるわ」
「そこに愛はないのですか?」
「わかんないの。リヴィとは色々あり過ぎて……それに離れていても、リヴィって存在感だけはあるのよね。忘れたくても忘れられないし……」
「わからない………ではリヴィ様がもうミルヒーナ様のことを諦めて他の女性と結婚しても平気ですか?」
「それも………わからないわ」
「そうなったらリヴィ様から毎月花束が贈られることもなくなりますし、お手紙も来ないでしょう。ましてや会うことはもちろん話すこともなくなると思います。国が離れているから偶然会うなんてこともないでしょうし……」
「そんなこと言われても……わからないわよ。だってリヴィとは一度離縁したのよ?今更だわ」
「………そうですか……」
リラはこれ以上何も言わなかった。
ミルヒーナも考えてはみるけどわからないのが本音。だって、もうリヴィを嫌うことはなくても結婚相手として考えることはないと決めつけていたから。
ミルヒーナ自身、考えてみたら人を愛したことがない……そう感じていた。
メルリナとヴァードの結婚式は王都から少し離れた郊外の教会で行われた。
緑豊かな自然に囲まれた教会にたくさんの参列者。その中にはリヴィの取り巻きだった令嬢達の姿もあった。そんな彼女達も結婚をして母になっていた。
もうあの頃のようにミルヒーナも絡まれることもなく互いに頭を下げることはあっても話をすることはなく結婚式は終わった。
それぞれの顔見知りで集まり談笑が始まる。
ミルヒーナは仕事でも付き合いのある魔道具師の友人達とテーブルを囲い楽しく話しながらお茶を飲んでいた。
リヴィは何度となくミルヒーナへ視線を向けるが他の人達に捕まりミルヒーナのところまでは行けずにいた。
(ミルの姿をやっと見れたのに……)
もう何度諦めようと思ったか……手紙を書いても花束を贈っても返事は『ありがとう』のお礼の言葉だけ。毎年ミルヒーナの誕生日にプロポーズするも会ってももらえず断られてばかり。
会いに行っても会ってもらえなくなった。
この5年間自分なりに努力をしてきた。
国の機関で働く魔術師となり、今は若くして筆頭魔術師の地位にまで上り詰めた。
父親のトーマスから伯爵の地位を受け継ぐために今は領地運営や事業の手伝いも始めた。
ただミルヒーナと自分の生活の場所があまりにも遠過ぎて結婚するとなると大きな問題があることもわかっていた。
イアンやイーサンのように王太子という地位を捨ててオリソン国で幸せに暮らすのも一つの方法だけど、リヴィはどちらも妥協せずに暮らせないか色々考えていた。
まだ返事すらもらえていないのに……いや、確かにお断りの返事は毎回もらっている。だけど……嫌いだとは言われていない。手紙も花束も突き返されていない。
受け取ってはくれているし、マックも苦笑しながら『望みを捨てなければ可能性はあるかもしれないな』と言ってくれる。
あのシスコンのガトラは気の毒で可哀想なものを見る目でリヴィをいつも見ている。
『リヴィ兄さん、姉上は押しに弱いので押しまくって……ちょっとだけ引いてみたらいいと思いますよ』とアドバイスをしてくれた。
だから今回ミルヒーナが戻ってきても一度も会いに行かなかった。
会ってもらえなくても今までなら何度も会いに通っていたのに今回はグッと堪えて会いに行かなかった。
久しぶりに見るミルヒーナはさらに美しく知的で周りの人達も気になるようでチラチラと様子を窺っている。
本当は『見るな!』と叫びたいのにミルは俺のものじゃない。……それどころかもうほとんど赤の他人……幼馴染に戻ろうと言ったのに俺が懲りずに迫りまくったから逃げられた。
リヴィはふと気がつくと独身の令嬢達に囲まれていた。同級生は結婚している人の方が多いが年下の令嬢たちはリヴィを狙ってなんとか親しくなろうと近づいてくる。
毎回適当にあしらってきた。今回もそのつもりで逃げようとした時、ついミルヒーナの方へと視線を向けてしまった。
ミルヒーナと目が合うとパッと逸らされた。
別にお互いの間には何もない。リヴィにたくさん令嬢が集まってベタベタとくっつかれても誰にも文句など言われることはない。
だけど……あからさまに目を背けられて胸がズキッと痛んだ。自分が好んで令嬢達といるわけでもないのに、悪いことをした気分になった。
「……ミル…………」
ミルヒーナには聞こえることはないのをわかっていてもつい名前を呼んでしまった。
「リヴィ様?どうされたのですか?」
「もう!そんな顔をされたらびっくりするわ!」
「そんな顔?」
一人の令嬢に言われた言葉にどんな顔をしているのだろうと聞くと。
「…………まるで誰かにフラれたみたいな顔ですわ」
「……フラれた?そうか……」
(俺は……もう諦めるべきなのか?)
なかなか決心がつかず女々しいとわかっていても最後と決めているプロポーズの日を伸ばしてやり過ごしてきた。
(ミルに最後のプロポーズをして……)
結婚式が終わりパーティーで賑わうなかリヴィはミルヒーナの座るテーブルへと足を進めた。
「ミル、久しぶりだね」
「……リヴィ……久しぶりね」
「もうすぐオリソン国へ戻るんだろう?」
「もうこちらでの用事は終わったから……明日か明後日には帰るつもりなの」
「そんなに早く……?」
「もう何もすることはないから」
「今日、パーティーが終わったら帰る時俺に送らせてもらえないか?」
(断られるのをわかっていても…やはり少しでもミルといたい)
ガトラには引いてみてはと言われたけど、この国にいるのに会えないで、もうさよならするなんて無理だった。
「リヴィ……ええ、そうね、お願いしてもいいかしら?」
「もちろんだ、帰る時に声をかけてくれ」
「リヴィ様!」
「あちらでお話ししましょう」
リヴィがミルヒーナと話している間を割って令嬢達が話しかけてきた。
「悪いが君たちとのんびり話す暇はない。俺ではなく他の人を誘った方がいいと思う」
「………えっ?……いいの?」
ミルヒーナは驚いた顔をしてリヴィを見つめた。
「………?」
リヴィはそんなミルヒーナの顔を不思議そうに見返した。
「いつものリヴィなら取り巻きに対してとても優しい対応をしていたはずだわ」
「ああ、さっきから鬱陶しいくらい引っ付いてくるんだよね。面倒だから適当に返事してたら面白くないのかみんないなくなってホッとしてたんだけど、ほんと次から次へと湧いてくるよね、俺はミルしか見えていないのに」
「…………そ、そう?」
ミルヒーナはどう返事をすればいいのかわからず口籠もりながらも何故かホッとした顔をしていた。
ーーリヴィは令嬢達に囲まれて楽しいのかと思ってたのに。いつもならすぐにわたしに会いにきてくれるのに来てくれないからもう呆れられて諦めたのかと思ってた。
ーーわたしが意地っ張りで素直じゃないから会わずに避けていたし……
帰りはリヴィのところの馬車に乗りメルリナの屋敷の離れに送ってもらった。
「ミル……」
リヴィの声はいつもと違い緊張しているのがわかった。
「リヴィ、どうしたの?」
「本当は色々準備してから言うつもりでいたんだ。でも明日には帰るかもしれないと聞いたから……」
リヴィは数分黙ったまま立っていた。
ミルヒーナもどうしていいのかわからず立っているしかなかった。
「………俺と結婚してください………」
(もうこれで最後のプロポーズにする。だけどそのことはミルには伝えない……ミル……には同情なんてして欲しくないし…)
「リヴィ……今まで逃げてばかりのわたしなんて嫌にならない?どうしてまだプロポーズしてくれるの?わからないわ……わたし……わからないの」
「ミル……ごめん、君にそんな辛い顔をさせたくてプロポーズをしてた訳じゃない。だけど……君にとって迷惑なら……忘れて欲しい」
(もう諦めるから……)
「忘れる?どうやって?生まれた時からずっと一緒で……どんなに離れて過ごしても何故かリヴィに言われたことや、されたことを忘れられなくて……会うとやっぱり意地悪で、なのに気がつけばリヴィはいつもわたしの近くにいて……わかんないよ。
でも……いつもならどんなに逃げても無理やり会いに来てくれるのに今回は一度も会いに来てくれなかった……」
片方の唇を噛んで涙を堪えるミルヒーナ。そんな姿がリヴィは辛くてまた「ごめん」としか言えない。
「謝って欲しいのではないの……わたし……ずるいの、会わないくせに会いに来てくれないリヴィにショックを受けたの。今日だって話しかけてもくれないリヴィに腹が立って、令嬢達と楽しそうにしていたリヴィに………ヤキモチ妬いて……なのに令嬢に冷たくあしらう態度を見てホッとしたの……この気持ちって何?わかんないよ」
「……それって……」
(俺のこと好き……?)
「ミル………俺はミルを愛してる。結婚しよう!もう絶対間違えないから!ずっとミルを大切にする。俺のこと……好きになって……ううん、好きになってもらう……自覚してもらう」
「………で、でも………」
「大丈夫!俺なんのために魔導士になったと思うんだ?ミルのいるオリソン国とこの国の行き来を簡単にできる魔法陣を見つけ出したんだ……寂しい思いはさせない……毎日会いにくるから……ミルのいる場所へ瞬間移動するために魔法陣を描いておけばいつでも会いに来れる。だから今まで通りの生活のままでもミルといられるんだ」
「このままで?ずっとオリソン国に住んでも会えるの?」
「うん、俺は毎日ミルに会いたい」
「わたしも……会いたかったわ……もう嫌われたんだと思ってた」
「じゃあ、結婚してくれる?」
「う……うん……わたしのこともう嫌わないでね?ずっと一緒にいてくれる?」
「当たり前だ!好きなんだ、もう離さない」
リヴィに抱きしめられてミルヒーナは顔まで真っ赤になってしまった。
だって周りにはメルリナの家族や使用人がいて「おめでとうございます」とみんなからお祝いの言葉を言われるのだもの。
わたし……リヴィと結婚します。
終わり
読んでいただきありがとうございました。
二人の結婚生活を少しだけ番外編で書けたらいいなと思っています。
ミルヒーナにとってリヴィは幼馴染で友人でそれ以上の存在なのに、お互いが拗らせ過ぎて大切な人だと気がつけずに過ごしていました。
周囲はみんな二人が両思いだと気がついていたんだけど……
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●ご注意 作者はモトサヤハピエン作家です。どんなヒーローが相手でもいつも無理やりモトサヤに持っていきます。
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所々に誤字脱字がトラップのように点在すると思われます。
そこのところをご了承のうえ、お読みくださいませ。
小説家になろうさんにも時差投稿いたします。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
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【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
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