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なんで⁈
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リヴィはミルヒーナの幼馴染。
幼い頃からずっと一緒に育った。
屋敷もお互いご近所で、両親も友達で、同い年。
誕生日も3日違い。
3日だけミルヒーナが早く産まれた。
同じ爵位の伯爵家の長女と長男。
歩き出したのは1週間リヴィが早かった。
歯が生えたのはミルヒーナが10日ほど早い。
いつも手を繋ぎ一緒にイタズラをして一緒に仲良く昼寝をする。
毎日ずっと一緒だった。
ずっと一緒にいるのが当たり前だと思っていた。
「リヴィ、ねっ?ずっと一緒にいようね?」
「ミル。僕がミルをずっと守ってあげる」
6歳の時に行われる魔力測定ではミルヒーナがずば抜けた魔力量で周囲をおどろかせた。
リヴィは平均的な魔力量。
しかし8歳の時に魔法学校への入学が決まり、蓋を開けてみるとミルヒーナには魔法のセンスがなかった。
魔力はあっても魔法は習得しなければ使えない。なので魔力のある子供達は魔法学校へ進み、そこで魔法を習う。
もちろん両親や周りを見て育ち早くから魔法を使える子供もいた。
リヴィは早くから魔法を操ることができていた。
だけど、のんびりやのミルヒーナは『学校に行き出してから魔法は習うからいいや』と言ってリヴィの魔法を操る姿を見て楽しんで過ごした。
学校に入ってみれば、ミルヒーナはどんなに頑張って訓練しても魔法が上手く使えない。一方リヴィは魔力量は普通なのだが、魔法のセンスは一流で子供ながらに大人顔負けの魔法を披露した。
「ミルは魔法が下手くそだな。そんな風だとこの学校ではみんなについていけないぞ」
リヴィは自分が魔法が得意なことがわかり、少し驕りもあった。
「うーん、仕方ないよ」
ヘラっと笑うミルヒーナ。
本当はミルヒーナに「リヴィ、魔法の練習を手伝って!」とただ甘えて欲しかった。
「リヴィってすごいね」って褒めて欲しかった。
なのにミルヒーナは、魔法ができなくてもヘラッと笑って気にもしていなかった。
それどころか最近では仲良くなったヴァードという男の子とよく図書館で一緒に本を読んだりしていた。
(僕のミルがなんで他の男の子と仲良くするんだ!)
思わず意地悪な言葉をまた言ってしまう。
「ミルヒーナってこのままじゃ学校やめるしかないんじゃない?このままじゃ落第するからね」
リヴィはミルヒーナにそう言って意地悪く笑った。
ミルヒーナは一瞬笑顔が固まった。でもリヴィに向かってもう一度笑顔を作り直した。
「うーん、仕方ないわよね?その時は領地でのんびりと女学校にでも通うわ」
「えっ?そんな………いいの?」
自分がそう言っておきながらリヴィは酷く傷ついた顔をした。
ミルヒーナが泣いて『一緒にいたい』と言ってくれるものだと思っていた。『リヴィ、手伝って!』泣きついてくると思っていた。
だってずっとずっと一緒だったのに。
他の子達と仲良くなったミルヒーナ。それに魔力量が多いのに努力をしないミルヒーナにちょっとだけヤキモチを焼いて意地悪を言ったつもりが、まさか本当にすぐに魔法学校を辞めてしまうとは思ってもいなかった。
「ミル!本当に辞めるの?」
ミルヒーナの屋敷に顔を出したリヴィは泣きそうな顔になりながら尋ねた。
「うん、お母様が領地でゆっくり過ごしなさいって言ったから。ガトラもまだ赤ちゃんでしょう?三人で領地で暮らすことになったの。お父様は王城でのお仕事があるからこちらの屋敷に残るわ。だからリヴィの両親は寂しくはないと思うの」
(うちの両親なんてどうでもいい!僕は?僕を置いていくの?)
「なんで、領地なんだよ!魔法が使えなくてもそれ以外の教科は全てミルが1位なんだし、辞めなくてもいいだろう?」
「うーん、先生ももう少し頑張れば魔法も使えるようになるだろうと言ってはくれたわ」
「だったら頑張れよ!僕も手伝うから!」
「いいの。わたし、それよりも体の弱いガトラについて領地へ行く方がいいもの。リヴィはせっかく魔法が上手なんだから頑張ってね」
「次はいつもどってくるんだ?」
「えっ?わかんないよ。多分ガトラのことを考えるとしばらくは戻ってこられないと思うの。リヴィ、たまには領地に会いにきてね、待ってる」
「僕……忙しいから会いに行けないと思う……」
(なんでなんだよ。ずっと一緒だと思ってたのに)
リヴィはそれからミルヒーナに会うことを拒絶した。
(ミルのバカ!絶対許さない!)
幼い頃からずっと一緒に育った。
屋敷もお互いご近所で、両親も友達で、同い年。
誕生日も3日違い。
3日だけミルヒーナが早く産まれた。
同じ爵位の伯爵家の長女と長男。
歩き出したのは1週間リヴィが早かった。
歯が生えたのはミルヒーナが10日ほど早い。
いつも手を繋ぎ一緒にイタズラをして一緒に仲良く昼寝をする。
毎日ずっと一緒だった。
ずっと一緒にいるのが当たり前だと思っていた。
「リヴィ、ねっ?ずっと一緒にいようね?」
「ミル。僕がミルをずっと守ってあげる」
6歳の時に行われる魔力測定ではミルヒーナがずば抜けた魔力量で周囲をおどろかせた。
リヴィは平均的な魔力量。
しかし8歳の時に魔法学校への入学が決まり、蓋を開けてみるとミルヒーナには魔法のセンスがなかった。
魔力はあっても魔法は習得しなければ使えない。なので魔力のある子供達は魔法学校へ進み、そこで魔法を習う。
もちろん両親や周りを見て育ち早くから魔法を使える子供もいた。
リヴィは早くから魔法を操ることができていた。
だけど、のんびりやのミルヒーナは『学校に行き出してから魔法は習うからいいや』と言ってリヴィの魔法を操る姿を見て楽しんで過ごした。
学校に入ってみれば、ミルヒーナはどんなに頑張って訓練しても魔法が上手く使えない。一方リヴィは魔力量は普通なのだが、魔法のセンスは一流で子供ながらに大人顔負けの魔法を披露した。
「ミルは魔法が下手くそだな。そんな風だとこの学校ではみんなについていけないぞ」
リヴィは自分が魔法が得意なことがわかり、少し驕りもあった。
「うーん、仕方ないよ」
ヘラっと笑うミルヒーナ。
本当はミルヒーナに「リヴィ、魔法の練習を手伝って!」とただ甘えて欲しかった。
「リヴィってすごいね」って褒めて欲しかった。
なのにミルヒーナは、魔法ができなくてもヘラッと笑って気にもしていなかった。
それどころか最近では仲良くなったヴァードという男の子とよく図書館で一緒に本を読んだりしていた。
(僕のミルがなんで他の男の子と仲良くするんだ!)
思わず意地悪な言葉をまた言ってしまう。
「ミルヒーナってこのままじゃ学校やめるしかないんじゃない?このままじゃ落第するからね」
リヴィはミルヒーナにそう言って意地悪く笑った。
ミルヒーナは一瞬笑顔が固まった。でもリヴィに向かってもう一度笑顔を作り直した。
「うーん、仕方ないわよね?その時は領地でのんびりと女学校にでも通うわ」
「えっ?そんな………いいの?」
自分がそう言っておきながらリヴィは酷く傷ついた顔をした。
ミルヒーナが泣いて『一緒にいたい』と言ってくれるものだと思っていた。『リヴィ、手伝って!』泣きついてくると思っていた。
だってずっとずっと一緒だったのに。
他の子達と仲良くなったミルヒーナ。それに魔力量が多いのに努力をしないミルヒーナにちょっとだけヤキモチを焼いて意地悪を言ったつもりが、まさか本当にすぐに魔法学校を辞めてしまうとは思ってもいなかった。
「ミル!本当に辞めるの?」
ミルヒーナの屋敷に顔を出したリヴィは泣きそうな顔になりながら尋ねた。
「うん、お母様が領地でゆっくり過ごしなさいって言ったから。ガトラもまだ赤ちゃんでしょう?三人で領地で暮らすことになったの。お父様は王城でのお仕事があるからこちらの屋敷に残るわ。だからリヴィの両親は寂しくはないと思うの」
(うちの両親なんてどうでもいい!僕は?僕を置いていくの?)
「なんで、領地なんだよ!魔法が使えなくてもそれ以外の教科は全てミルが1位なんだし、辞めなくてもいいだろう?」
「うーん、先生ももう少し頑張れば魔法も使えるようになるだろうと言ってはくれたわ」
「だったら頑張れよ!僕も手伝うから!」
「いいの。わたし、それよりも体の弱いガトラについて領地へ行く方がいいもの。リヴィはせっかく魔法が上手なんだから頑張ってね」
「次はいつもどってくるんだ?」
「えっ?わかんないよ。多分ガトラのことを考えるとしばらくは戻ってこられないと思うの。リヴィ、たまには領地に会いにきてね、待ってる」
「僕……忙しいから会いに行けないと思う……」
(なんでなんだよ。ずっと一緒だと思ってたのに)
リヴィはそれからミルヒーナに会うことを拒絶した。
(ミルのバカ!絶対許さない!)
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