53 / 76
王城にて③
しおりを挟む
「前公爵、貴方は王族に対してのその無礼な発言、覚悟しているのでしょうね?」
団長が静かに問う。
「わたしは本当のことしか言っておりません。どこが無礼なのです?不敬でわたしを罪に問うとでも?」
前公爵は悪びれることもなく言った。
「しかとその発言覚えておきましょう」
ジャスティア殿下は陛下に発言の許可がおりない今言葉を発することは出来ない。しかし顔は鬼のような形相で綺麗な顔はゆがんで憎悪に満ちた顔をしていた。
今までこんな屈辱を味わったことはないのだろう。思い通りにならないことなんてなかったのだから。
ある意味前公爵とジャスティア殿下は似ているのかもしれない。自分の思うように人を動かしてきた。
それが今思う通りにことが進まないのだから。
「バーランド前公爵、貴方は先ほど違法薬物を偽の殿下に勧めたことを認めましたね?そして孫娘を人身売買する契約書も見つかりました。これで二つの罪が見つかっています」
「わたしは何も言っていない。お前達が罠をかけたんだ。それにわたしが認めればそこの小娘の罪も認めなければいけないだろう?」
「先ほどから言ってますよね?殿下はご病気で寝込んでおりました。貴方は偽者の殿下に売り渡して売らせたのです。ああそれ自体も罪ですよね?王族と偽ったのですから」
「そんなことはしていない。わたしは関係ない。ダイアナのことだって大切な孫のことを考えての行動だ」
「大切な孫?ならどうして攫ったんです?」
俺は苛立ちをなんとか抑えながら聞いた。
殴りつけたい、もういっそこんなくだらない話はやめさせて切り捨てたいと思う。それを我慢しながら聞いた。
「攫う?わたしは孫を保護したまでだ」
「一度目は納屋の地下、二度目は高級なホテル。貴方は二回もダイアナを攫ったんです」
「意見の相違だ」
そう言うとプイッと一人違う方へと体の向きを変えて、もうこれ以上は話す気がないと言った感じで俺たちが何を話しかけても返事すらしてこなくなった。
まだまだ本人に聞きたいことはたくさんあった。
「バーランド前公爵、これ以上聞いても答えないのならこちらで把握している貴方の罪を全て読み上げる。返事がないものは全て罪を認めたことにする」
団長がそう言うと、陛下や王妃さま、そして見届け人でもある宰相の顔を見た。三人は了承したと頭を縦に振り頷いた。
「ではキース読み上げてくれ」
団長が俺に指示したので俺は一気に読み上げることにした。前公爵ができるだけ口を挟めないように。
「バーランド前公爵、違法薬物の斡旋、孫娘を売ろうとした人身売買、さらに偽の王族になり人々を騙した。そして孫娘を二回も攫った誘拐と監禁」
前公爵はプイッとしたまま。ここまではさっきまで話していたこと。
「さらに調べてわかったこと。貴方は息子の嫁を犯した強姦罪、さらに未成年の孫を攫って先程まで地下牢に何も与えずに監禁していましたね?長年自分の息子を洗脳して自分の思う通りに動かしていました。公爵に薬を盛り浮気をさせて強制的に子供を作らせていますね」
ーー読んでいて腹立たしいし同じ男として軽蔑する。
「ついでに調べていたら出てきたので読み上げます。
バーランド前公爵は他の貴族に嘘の情報を流し損をさせて借金で首が回らなくなったら、助けてやる代わりにそこの娘を自分に差し出すように言っていますね」
ーーこの男は盛りのついた動物以下だ。
「何人もの令嬢達が泣く目に遭って中には自殺した娘もいる、貴方はご存知ですか?」
「……お前が読んだ話は全て作りものだ。わたしは何も悪いことはしていない。助けてやったら娘をと差し出されただけだ。孫達も監禁していないし攫ってもいない。可愛い孫達を父親の毒牙から守るために屋敷に連れ帰っただけだ」
「エレファ様を犯したことは?息子に薬を盛ったことは?」
「そんなことをした証拠はないだろう?そんな昔の話誰が信じるんだ」
「ダイアナは覚えていましたよ?」
「何をだ?」
「貴方がエレファ様を犯しているところを何度となく目撃していました」
「同意だ。あの女はわたしを愛していたからな」
「それは有り得ませんね、ダイアナは忘れてしまっていたようですが思い出してわたしに教えてくれました。エレファ様の日記を隠していたことを。誰にも見つからないように幼い頃隠していたエレファ様の日記の隠し場所を聞いて見つけてきました。そこには貴方にされた辛い屈辱的なこともしっかり書かれていました」
「病床のエレファが何を書けると言うんだ?」
「貴方に脅されたこと。わざとダイアナに見せつけるように犯される辛さ。夫のダニエルを裏切った自分の辛い心境、そして夫が新しい家族に夢中になり自分とダイアナに見向きもしない日々、それでも夫のために、公爵にさせてやりたいから耐えると書いてありました」
「はっ、死にゆく病人の妄想だ」
「いい加減に認めたらどうですか?ダイアナの証言と日記、日記の文字はエレファ様が生前書かれた手紙と文字を照らし合わせて本物であると確認が取れています。さらに古くから居るバーランド公爵家の使用人達にも話は聞いて証言をとっています」
前公爵は次第に激高して蒼白な顔色になってきた。
「わたしは悪くない。悪いのはエレファだ!わたしの前であんな綺麗で魅力的な姿をして現れたからだ!ダニエルには勿体ない、だからわたしがもらうことにしたんだ。エレファが死んでからはエレファの代わりを探した。いくら他の女を抱いてもエレファより興奮する女はいない。だからダイアナに目をつけた。エレファに似た美しい娘。一度嫁に行かせて傷モノになればわたしの元に置いておいても何も言われはしない。数年後にはわたしのものになるはずだったんだ」
「この、クソジジイ!」
俺は思わず叫んでいた。
団長が静かに問う。
「わたしは本当のことしか言っておりません。どこが無礼なのです?不敬でわたしを罪に問うとでも?」
前公爵は悪びれることもなく言った。
「しかとその発言覚えておきましょう」
ジャスティア殿下は陛下に発言の許可がおりない今言葉を発することは出来ない。しかし顔は鬼のような形相で綺麗な顔はゆがんで憎悪に満ちた顔をしていた。
今までこんな屈辱を味わったことはないのだろう。思い通りにならないことなんてなかったのだから。
ある意味前公爵とジャスティア殿下は似ているのかもしれない。自分の思うように人を動かしてきた。
それが今思う通りにことが進まないのだから。
「バーランド前公爵、貴方は先ほど違法薬物を偽の殿下に勧めたことを認めましたね?そして孫娘を人身売買する契約書も見つかりました。これで二つの罪が見つかっています」
「わたしは何も言っていない。お前達が罠をかけたんだ。それにわたしが認めればそこの小娘の罪も認めなければいけないだろう?」
「先ほどから言ってますよね?殿下はご病気で寝込んでおりました。貴方は偽者の殿下に売り渡して売らせたのです。ああそれ自体も罪ですよね?王族と偽ったのですから」
「そんなことはしていない。わたしは関係ない。ダイアナのことだって大切な孫のことを考えての行動だ」
「大切な孫?ならどうして攫ったんです?」
俺は苛立ちをなんとか抑えながら聞いた。
殴りつけたい、もういっそこんなくだらない話はやめさせて切り捨てたいと思う。それを我慢しながら聞いた。
「攫う?わたしは孫を保護したまでだ」
「一度目は納屋の地下、二度目は高級なホテル。貴方は二回もダイアナを攫ったんです」
「意見の相違だ」
そう言うとプイッと一人違う方へと体の向きを変えて、もうこれ以上は話す気がないと言った感じで俺たちが何を話しかけても返事すらしてこなくなった。
まだまだ本人に聞きたいことはたくさんあった。
「バーランド前公爵、これ以上聞いても答えないのならこちらで把握している貴方の罪を全て読み上げる。返事がないものは全て罪を認めたことにする」
団長がそう言うと、陛下や王妃さま、そして見届け人でもある宰相の顔を見た。三人は了承したと頭を縦に振り頷いた。
「ではキース読み上げてくれ」
団長が俺に指示したので俺は一気に読み上げることにした。前公爵ができるだけ口を挟めないように。
「バーランド前公爵、違法薬物の斡旋、孫娘を売ろうとした人身売買、さらに偽の王族になり人々を騙した。そして孫娘を二回も攫った誘拐と監禁」
前公爵はプイッとしたまま。ここまではさっきまで話していたこと。
「さらに調べてわかったこと。貴方は息子の嫁を犯した強姦罪、さらに未成年の孫を攫って先程まで地下牢に何も与えずに監禁していましたね?長年自分の息子を洗脳して自分の思う通りに動かしていました。公爵に薬を盛り浮気をさせて強制的に子供を作らせていますね」
ーー読んでいて腹立たしいし同じ男として軽蔑する。
「ついでに調べていたら出てきたので読み上げます。
バーランド前公爵は他の貴族に嘘の情報を流し損をさせて借金で首が回らなくなったら、助けてやる代わりにそこの娘を自分に差し出すように言っていますね」
ーーこの男は盛りのついた動物以下だ。
「何人もの令嬢達が泣く目に遭って中には自殺した娘もいる、貴方はご存知ですか?」
「……お前が読んだ話は全て作りものだ。わたしは何も悪いことはしていない。助けてやったら娘をと差し出されただけだ。孫達も監禁していないし攫ってもいない。可愛い孫達を父親の毒牙から守るために屋敷に連れ帰っただけだ」
「エレファ様を犯したことは?息子に薬を盛ったことは?」
「そんなことをした証拠はないだろう?そんな昔の話誰が信じるんだ」
「ダイアナは覚えていましたよ?」
「何をだ?」
「貴方がエレファ様を犯しているところを何度となく目撃していました」
「同意だ。あの女はわたしを愛していたからな」
「それは有り得ませんね、ダイアナは忘れてしまっていたようですが思い出してわたしに教えてくれました。エレファ様の日記を隠していたことを。誰にも見つからないように幼い頃隠していたエレファ様の日記の隠し場所を聞いて見つけてきました。そこには貴方にされた辛い屈辱的なこともしっかり書かれていました」
「病床のエレファが何を書けると言うんだ?」
「貴方に脅されたこと。わざとダイアナに見せつけるように犯される辛さ。夫のダニエルを裏切った自分の辛い心境、そして夫が新しい家族に夢中になり自分とダイアナに見向きもしない日々、それでも夫のために、公爵にさせてやりたいから耐えると書いてありました」
「はっ、死にゆく病人の妄想だ」
「いい加減に認めたらどうですか?ダイアナの証言と日記、日記の文字はエレファ様が生前書かれた手紙と文字を照らし合わせて本物であると確認が取れています。さらに古くから居るバーランド公爵家の使用人達にも話は聞いて証言をとっています」
前公爵は次第に激高して蒼白な顔色になってきた。
「わたしは悪くない。悪いのはエレファだ!わたしの前であんな綺麗で魅力的な姿をして現れたからだ!ダニエルには勿体ない、だからわたしがもらうことにしたんだ。エレファが死んでからはエレファの代わりを探した。いくら他の女を抱いてもエレファより興奮する女はいない。だからダイアナに目をつけた。エレファに似た美しい娘。一度嫁に行かせて傷モノになればわたしの元に置いておいても何も言われはしない。数年後にはわたしのものになるはずだったんだ」
「この、クソジジイ!」
俺は思わず叫んでいた。
86
お気に入りに追加
3,973
あなたにおすすめの小説
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる